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斜視【しゃし】

妊娠・子育て用語辞典

しゃし【斜視】
両眼の視線(黒目方向)が違う方向を向いていることです。片側の眼が外側を向いていれば「外斜視」、内側を向いているときは「内斜視」といいます。ものが2つに見えたり重なって見えたりするために、一方の眼だけでものを見るようになります。そのままにしておくと他方の眼の視力が弱くなってしまうので、早く発見し、早い時期に矯正治療をスタートすることが大切です。

出典:母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(愛育病院院長)、子育て編:多田裕(東邦大学医学部名誉教授)
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デジタル大辞泉

しゃ‐し【斜視】
眼筋の異常により、一方の目が物を直視しているとき、他方の目が別方向を向いている状態。斜眼やぶにらみ
横目で見ること。流し目を使うこと。
「竊(ひそ)かにベンタドアを―す」〈織田訳・花柳春話

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

しゃし【斜視 Strabismus】
◎片方の視線がずれている
[どんな病気か]
 ある目標を見るとき、両目の視線はその目標に向かうのがふつうですが、片方の目の視線だけは正しく目標に向かい、もう一方の目の視線がずれている状態です。つまり斜視とは、まず目の視線の向き(眼位(がんい))の異常であるわけです。
 斜視はほかにも異常をきたします。人間には目が2つありますが、ふだんは目が2つあるとは意識しておらず、まるで1つのもののようにはたらいています。これは、両目で受け入れた感覚を脳でまとめて、1つの新しい感覚としているからで、このはたらきを両眼視(りょうがんし)といいます。たとえば、ものが立体的に見えるのはこの両眼視のおかげです。斜視があると、この両眼視ができないので、斜視はまた、両眼視の異常もひきおこすのです。
 また、斜視があると、両眼視ができなくなり、その結果、斜視のあるほうの目の視力が悪くなることがあります(これを弱視(じゃくし)という)。
 このように、斜視は眼位の異常、両眼視の異常、それに弱視という視力の異常にも関与している病気です。
 斜視はその方向によって、片方の目が内側に寄る内斜視(ないしゃし)、外側に寄る外斜視(がいしゃし)、上下のいずれかに寄る上下斜視(じょうげしゃし)などに分けられます。
 また、常に斜視の状態にあるものを恒常性斜視(こうじょうせいしゃし)、ときどき斜視になるものを間欠性斜視(かんけつせいしゃし)といいます。
[原因]
 生後6か月未満に明らかになってくる内斜視に乳児内斜視(にゅうじないしゃし)があります。原因不明で、弱視になることも多い斜視なので、赤ちゃんの目が内側に寄っている場合、なるべく早く専門医の診察を受けてください。
 遠視(えんし)が原因でおこる斜視もあります。私たちが近くを見るとき、調節(近くへのピント合わせ)と輻輳(ふくそう)(目の内側への寄せ)がおこりますが、遠視がある程度以上に強くなると、ものを見るとき、ふつうの人より余分に調節をする必要があるため、目が内側に寄って内斜視になるのです。このような内斜視を、調節性内斜視(ちょうせつせいないしゃし)といいます。
 調節性内斜視のうち、遠視でないのにおこるものがごくまれにあり、これを非屈折性調節性内斜視(ひくっせつせいちょうせつせいないしゃし)といいます。
 外斜視のうちもっとも多いものは間欠性外斜視です。この斜視は、目が疲れたり眠くなったときに、片方の目が外にはずれる、視線が合わなくなるというものです。明るいところで片目をつぶったりする子どもでは、この斜視のことがあります。
 目を動かす筋肉や神経の異常、目のほかの部位の病気、あるいは頭の中の病気などで眼球(がんきゅう)の運動がうまくいかなくなっても斜視になることがあります。
[検査と診断]
 斜視と思い込んでも、ときとして斜視でない場合や、斜視でも単なる斜視でなく、白内障(はくないしょう)などの他の目の病気であったということもあります。そこで、まず斜視であるかどうか、他の病気がないかどうかを検査します。
 斜視でないのに斜視のようにみえるものを偽斜視(ぎしゃし)といいます。よくみられるのは乳児の偽内斜視(ぎないしゃし)です。乳児は鼻根部(びこんぶ)(眉間(みけん)の鼻のつけ根の部分)の発育が悪いため、その部分が広くなり、両目が離れていて内側に結膜(けつまく)(白目(しろめ))がみえず、一見、内斜視のようにみえるものです。偽内斜視は、成長とともに鼻も発育して高くなり、両目の間も狭くなって、斜視にはみえにくくなりますが、ほんとうの斜視になることもあり、やはり専門医の診察が必要です。
 斜視の場合には、眼底検査をして異常がないか、眼球の動きが悪くないか、弱視がないかなどを調べます。
 つぎに、内斜視や弱視がある場合には、遠視があるかどうかを調べます。この場合、目の調節を一時的に休める目薬を点眼したうえで調べます。
◎めがねや手術で対応
[治療]
 斜視の治療は、眼位を治すこと、正しい両眼視ができるようにすること、弱視があれば視力を向上させることの3つが必要になってきます。
●屈折矯正(くっせつきょうせい)
 遠視が原因でおこる調節性内斜視では、めがねをかけますが、その目に合った度のめがねでなければ意味がありません。
 非屈折性調節性内斜視は、遠くを見るときにはその目に合った度、近くを見るときにはそれに凸(とつ)レンズの度を加えるという二重焦点(にじゅうしょうてん)レンズめがね、あるいは累進焦点(るいしんしょうてん)めがねをかけることになりますが、このような斜視は、きわめてまれです。
●手術
 調節性内斜視以外の斜視では、手術を必要とする可能性があります。調節性内斜視でも、半数はめがねだけでは治らない部分調節性内斜視があり、この場合は、めがねと手術の両方が必要となります。
 手術は、目の筋肉の位置をずらすだけなので、技術的にはそれほどむずかしくはありませんが、どちらの目のどの筋肉に、どの種類の手術をどの程度行なうかは、斜視の種類によって異なり、手術前に斜視の程度や両眼視の状態を十分検査しておく必要があります。
 乳幼児の斜視の手術は、全身麻酔で行なうので、なおさら正確な検査が必要になります。年長児や成人では必ずしも入院は必要ではなく、通常は局所麻酔で手術をします。
●視能矯正(しのうきょうせい)
 めがねをかけたり、手術を行なうことで眼位を治すことはできますが、両眼視が回復しないことがあります。このような場合に、両眼視をうまくできるようにしたり、視力を回復させる目的で、視能矯正という治療を行なうことがあります。
 視能矯正は、国家試験に合格した視能訓練士が医師の指示に従って行ないますが、これによって、すべての人が治るわけではありません。適応のある人に対して正しい方法で行なうようにし、あまり効果がない場合には、長期間続けることは意味がありません。
●その他の治療
 眼球の動きが悪い斜視では、原因をよく検査して、その原因に対する治療を行なうのが原則です。それでも治らない場合には、手術を行ないます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

しゃし【斜視 strabismus】
俗に〈やぶにらみ〉〈寄り目〉〈すがめ〉〈ひがめ〉〈ロンパリ〉などとも呼ばれる。一つの目標を見ようとするとき,片眼だけがその目標にむかい,他眼が目標以外の方向にむいてしまう状態で,その方向により,内斜視,外斜視,上下斜視などに分けられる。かなり目立つ状態であるため,紀元前1700年ころのエジプトの記録にもみられる。
[斜視の原因と症状]
 新生児では,眼の位置が不安定であるが,徐々に安定し,目標物に両眼の視線をむけることが可能となって,正しい眼位を確立する。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

しゃし【斜視】
( 名 ) スル
両眼で物を見るとき、一眼が正しく目標に向かわない状態。視力低下、眼筋の異常などにより起きる。やぶにらみ。
流し目に見ること。 「窃ひそかにベンタドアを-す/花柳春話 純一郎

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

斜視
しゃし
squint
俗に寄り目,やぶにらみという。ある物体を凝視したとき,一眼は目標に向うが,他眼 (斜視眼) は向かない状態をいう。視力の異常を伴う。視線のずれ方によって,外斜視,内斜視,上斜視,下斜視に分けられる。両眼が交代して斜視になるものは交代性斜視という。また,両眼で注視すると正位をとるが,一眼をおおうと他眼が偏位する潜在性斜視 (斜位) がある。別に,眼筋麻痺のために起る麻痺性斜視があり,この場合は複視を訴える。子供の斜視は,できるだけ早く眼科専門医の診療を受ける必要がある。治療は手術で眼球を正位に復し,大型弱視鏡などで両眼視の訓練を行う。ただし,遠視を伴う調節性内斜視には手術は行わず,遠視めがねの装用あるいは抗コリンエステラーゼ剤の点眼をする。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)

斜視
しゃし
片方の目の視線が正しく目標に向いているのに他方の目の視線が目標に向かない眼位の異常をいう。神経や筋肉の異常によって目が動かない麻痺(まひ)性斜視と、片方ずつでは一見正常に動くのに視線が両眼になるとあわない共同性斜視とに分類され、通常、斜視といえば後者をさす。
 代表的ないくつかの斜視について述べる。[大島 崇]

乳児内斜視

目が内側に寄ってしまう斜視で生後3~6か月以内に発症し、角度は大きく、著明な斜視である。外転(目じりのほうに向けること)はできないようにみえるが、片方ずつにすれば可能であることが多い。放置すると、斜視弱視になることがある。治療は眼鏡またはコンタクトレンズで屈折矯正を行い、片方の目ばかりが内側に曲がって視線があわなければ、健全なほうの目を一時的に遮蔽(しゃへい)して、どちらの目でも使えるようにしたのち、手術を行う。[大島 崇]

調節性内斜視

生後6か月から3歳くらいまでの間、いつでも発症する可能性がある遠視による斜視である。すなわち、遠視が強度なため、絶えず調節していなければものが見えず、調節するときは両眼の視線を一致させるために内側へ寄せる輻輳(ふくそう)もおこるので、ときに内側へ寄りすぎてしまうためにおこると考えられている。遠視の矯正下では斜視が消失する。したがって、遠視が軽くなるまでは、矯正眼鏡を除去すると内斜視をおこしてしまうため、いつも眼鏡を使用する必要がある。また、場合によっては手術を行う。[大島 崇]

間欠性外斜視

かつて潜伏性斜視とよばれたものの一種で、日本人にもっとも多い斜視である。遠くを見たり、ぼんやりしているときは目が外側(目じり)へ寄ってしまうが、近くを見るときは正位に戻るものをいう。弱視にはなりにくいし、近くを見るときは両眼を正常に使えるので、斜位が大角度でなければ手術を行わないことも多い。[大島 崇]

下斜筋過動症

横を見たとき、内側へ寄せるほうの目が上方へ偏位してしまうもので、上斜視の一種である。単独のこともあるし、内斜視や外斜視に伴うもの、上直筋や上斜筋(ともに目を動かす眼筋の一種)の麻痺に二次的におこることもある。手術が必要な場合が多い。[大島 崇]

斜視の手術

結膜(しろめ)を切って強すぎる筋肉を後方へ下げて弱め、弱すぎる筋肉を切り縮めて強くする。結膜をていねいに縫合するので、ほとんど痕(あと)は残らない。[大島 崇]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

しゃ‐し【斜視】
〘名〙
① 眼筋の異常のため、一眼の視線が正しく目標に向いているのに、他眼の視線が異なる方向に向くもの。やぶにらみ。〔医語類聚(1872)〕
② (━する) 横目に見ること。流し目をつかうこと。また、その目つき。
※古文真宝桂林抄(1485頃)坤「睨は斜視也」
※崖の下(1928)〈嘉村礒多〉「ぢろりと敵意のこもった斜視を向けて圭一郎を見たが」 〔何遜文‐七召〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

斜視
しゃし
Heterotropia
(眼の病気)

どんな病気か

 斜視とは、眼球の方向(眼位)が、光が正常に入射してくる軸に対して常にずれている状態のことです。片眼のみが斜視の状態(これを恒常性(こうじょうせい)斜視と呼ぶ)が続くと、眼の奥に像を正常に結ぶことができないために、視力の発達が損なわれます(斜視弱視(しゃしじゃくし))。また、そのままだと物が2つに見えるため、頭のなかで斜視眼の像は打ち消されるようになり(抑制)、両方の眼で見る機能(両眼視機能)の発達が損なわれることにもなります。

 斜視があっても、斜視眼が切り替わる場合(これを交代性斜視と呼ぶ)は、両眼にほぼ均等に視覚入力があるため、両眼視は悪くても、視力的な予後は良好です。

 斜視は原因によりいくつかの種類に分類されます。以下に主な種類を示します。

さまざまな斜視

乳児内斜視(にゅうじないしゃし)

 出生6カ月以内に斜視が明らかになった、内向きの斜視(内斜視)です。角度が大きく、左右の眼で交互に物を見ている場合が多いです。早期に手術することにより、両眼で物を見ることができるようになりますが、立体的に物を見る力(立体視)は不良のことが多いようです。放置すると治りにくくなるので、早期の治療開始が必要です。

間欠性外斜視(かんけつせいがいしゃし)

 斜視の場合とそうでない場合が混在している状態です。斜視でない状態(正位)の時は正常な視覚入力が得られるため、斜視の状態が短ければ、一般的に両眼視機能は良好です。小児の外斜視は、ほとんどがこのタイプです。正位に保つのが困難になると、恒常性外斜視となります。成人の外斜視は、これが原因でなることが多いです。

調節性内斜視(ちょうせつせいないしゃし)

 中等度の遠視のため、物を見る時に過度の調節が必要となり、眼球が内斜することによって起きます。2歳以降に発症することが多い斜視です。始めは時々眼が内に寄る間欠性内斜視の状態であることが多いようです。遠視を完全に矯正した眼鏡を装用すると、正位になることが多いです。しかし、眼鏡でも斜視が十分矯正(きょうせい)できない場合は手術が必要になります。

廃用性斜視(はいようせいしゃし)

 先天性の白内障(はくないしょう)や眼底疾患などにより、視覚入力が妨げられた状態が長く続くと、黄斑部(おうはんぶ)の機能は使われなくなり、斜視が起きます。

偽内斜視(ぎないしゃし)

 眼の位置は正常ですが、乳幼児の場合、鼻根部(びこんぶ)の皮膚の発達が足りないために、外見上内斜視に見えるもので、斜視ではありません。一般的に治療は不要ですが、間欠性内斜視の場合があり、注意が必要です。フラッシュをたいた顔写真を撮っておくと、あとで眼科を受診する際に役立ちます。

治療の方法

 一方の眼のみが常に斜視になっている場合は、放置しておくと弱視になるため、早急な治療が必要とされます。治療は遮閉具(しゃへいぐ)(アイパッチなど)により正位の眼を遮閉して、斜視眼を多く使用させ、視機能の発達を促す方法が中心となります。

 交代性斜視の場合は、弱視にはなりにくいですが、両眼視機能の発達が妨げられるため、早期(2歳前)に手術が必要になります。

 内斜視の場合は、遠視による調節性内斜視の要因がないか、眼科医による早めのチェックを受ける必要があります。

 間欠性の外斜視に関しては、外見的に目立つようであれば、小学校入学前に手術を行います。成人で眼が疲れやすくなったり、物が2つに見える場合も手術の適応になります。

 手術は、眼球を動かす筋肉の付着部をずらすことにより行いますが、斜視の角度を精密に測定したうえで、何㎜ずらすかを決定します。

 斜視は弱視や両眼視異常につながることがあるため、早期発見、早期治療が重要になります。

下條 裕史

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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