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文化人類学【ぶんかじんるいがく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

文化人類学
ぶんかじんるいがく
cultural anthropology
諸民族の文化・社会を比較研究する学問アメリカでは,人類学は人間についての総合的研究であるとして,自然人類学,考古学,文化人類学,ときには言語学も含めた3ないし4部門から成るが,文化人類学の占める割合が大きいことから,人類学としばしば同義に用いられる。一方ヨーロッパでは,アメリカでいう文化人類学を民族学あるいは社会人類学と呼ぶ。非西欧的な習俗・習慣についての興味に始り,18世紀に関心が高まって,1839年フランスの哲学者 W.F.エドワールの提唱によりパリ民族学会が誕生。 43年ロンドン民族学会が発足し,84年にはオックスフォード大学で民族学が開講され,E.B.タイラーが初代講師となった。その後イギリスでは,社会組織の分析が中心となり,社会人類学という名称が用いられるようになった。ドイツ,オーストリアでは,20世紀前半にウィーン学派と呼ばれる歴史民族学が成立。日本へは 20世紀初頭に民族学が輸入されるが,本格的な研究は第2次世界大戦後になって始った。一般に,文化人類学は諸分野に専門化されており,言語,生態,社会,法,政治,経済,宗教,象徴,芸術,音楽,映像,心理,認識,教育,都市,医療人類学などがあるほか,応用人類学と呼ばれる人類学的知識の活用研究も行われる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ぶんか‐じんるいがく〔ブンクワ‐〕【文化人類学】
人類の社会・文化の側面を研究する学問。生活様式・言語・習慣・ものの考え方などを比較研究し、人類共通の法則性を見い出そうとするもの。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

ぶんかじんるいがく【文化人類学 cultural anthropology】
文化人類学は,自然(形質)人類学physical anthropologyと並んで人類学の一分科をなし,人類の集団的変異と類似を,とくに文化面について記述し,説明もしくは解釈することを基本的課題とする学問である。ここでは人類学の発達を,その誕生時にまでたどって整理・詳述する。
[人類学の誕生]
 人類学は,ある社会の人間が,身体形質や言語,風俗習慣などについて,自分たちとは異なる人間集団を発見したときに芽生えたものであるが,そのような異人種・異民族の発見は,ヨーロッパの場合,古代ギリシアにまでさかのぼることができ,そこで人類学の起源をこの時代におく科学史家もある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ぶんかじんるいがく【文化人類学】
人間を文化・社会の面から実証的に研究する学問。文化の構造・機能・動態・類型などを研究する。 → 自然人類学

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

文化人類学
ぶんかじんるいがく
cultural anthropology
文化人類学という学問は、アメリカでは人類学のなかに含まれるとされている。つまり文化人類学は人類の生物学的人類学と並んで、人類の社会的・文化的側面の研究を行う学問とされている。その背景には、人類の生物学的研究には、社会的・文化的要因の考慮が必要であり、人類の文化的側面の研究には、その生物学的条件の考察が必要であるという考え方が潜んでいる。したがって、アメリカの大学においても、人類学科には、文化人類学者とともに形質人類学者が所属している。文化人類学はアメリカでは先史考古学、民族学、社会人類学、生態人類学、言語人類学、心理人類学などを含むとされている。
 先史考古学は、遺物や遺跡を通じて過去の文化を研究し、民族学は主として未開民族の文化を比較研究する。特定の社会(未開社会、村落社会など)の現地調査による研究は民族誌(エスノグラフィー)とよばれている。社会人類学は、家族・親族組織、政治組織などを含む社会組織に重点を置く分野であるが、宗教や神話、シンボリズムの研究も行う。生態人類学は、社会の環境との適応関係を中心に研究する分野である。
 心理人類学は、かつて「文化とパーソナリティー」という名称でよばれた分野であるが、その後、社会的知覚や認知体系の研究が盛んになり、最近では心理人類学、認知人類学とよばれている。認知体系の研究というのは、諸民族は自然界をどのように分類しているかを実証的に研究するものである。たとえば中央アメリカのマヤ系インディオであるチェルタルが動植物をどのように分類しているかについて詳しい報告がある。こういう研究はエスノサイエンス、エスノセマンティクスともよばれる。これは、特定の社会における語彙(ごい)の分析を通じて、自然界がいかに分類されているかをとらえようとする。それに対して、言語の分類からは把握できないような分類体系、とくに象徴的分類を儀礼活動の分析を通じて摘出しようとする研究もあり、象徴人類学と総称される分野である。
 イギリスでは、社会人類学を文化人類学の一分野とはみなさず、考古学、言語学などを含めるアメリカの文化人類学とは異なる独立の学問と考えられている。心理人類学も含まれていない。イギリスでは文化人類学という名称を使わず、社会人類学を独立の学名としている。しかし1970年以降は、この英米の用語の違いは厳密ではなくなっている。ドイツ・オーストリアでは、人類学という学問は形質人類学だけをさし、文化面を扱うものとして民族学が置かれている。この民族学は歴史的研究を中心にしているので、先史考古学を含んでいる。当初ドイツ・オーストリアの学問の影響の強かった日本では、人類学と民族学を二分して、「日本人類学会」と「日本民族学会」という二つの学会が生まれ、これは現在まで続いている。しかし研究内容としては、戦後にアメリカの文化人類学、イギリスやフランスの社会人類学が導入され、異なる見方が共存している。
 文化(社会)人類学の研究法は簡単にいえば現地調査法と比較研究法からなるといえる。本格的な現地調査は20世紀初めにマリノフスキーとラドクリフ・ブラウンによって始められた。彼らによって機能主義が唱えられ、それ以前の進化主義的人類学は衰退した。機能主義は比較的最近まで支配的であったが、フランスのレビ(レヴィ)・ストロースの構造主義が1949年以降学界に登場して以来、イギリス、アメリカの文化(社会)人類学もその影響を受けるようになった。
 文化人類学は方法論的に二つの相反する流れに分けることができる。一つは、とくにアメリカにおける科学主義的、普遍主義的アプローチで、これは生態人類学や交差文化的比較研究に顕著であり、法則を求める科学的方法を重視する。もう一つは、文化(社会)人類学の人文学との接近を説き、分析や説明より、解釈を重んずる立場である。法則を求めるのではなく、理解を目ざすべきであるとする。
 現在の動向として、以下のようなことがいえる。
(1)いわゆる未開社会や農村の研究から、現在では、非西欧、西欧に限らず都市の調査が盛んになり、研究対象も資本主義、ジェンダー、ナショナリズム、エスニシティ、開発、環境問題などを含むようになった。
(2)どんな文化も「そこに存在するもの」あるいは実体であるかのようにとらえるのでなく、つねに変化し、構成され、再構成されていく過程として文化をみるという考え方が強くなりつつある。この傾向は当然、歴史的研究をいっそう重視することになる。イギリスのラドクリフ・ブラウンとその後継者たち、アメリカの人類学の創設者フランツ・ボアズとその後継者たちは現時点での研究を重んじ、歴史的研究を軽んじたが、その後もM・サーリンズMarshall Sahlins(1930― )のフィジー島やハワイのかつての王国の研究、J・フォクスの東インドネシアの政治的・生態学的な歴史研究をはじめ、多くの歴史的研究が行われている。
(3)人類学と植民地時代との関係。また西欧的科学合理主義の立場から、非西欧の思考、コスモロジーが理解できるかという研究の視点が認識されている。
(4)従来の西欧の人類学者その他によるイスラムや中近東の研究には、親イスラエル、反アラブ的な偏見があったのではないかという問題提起がなされている。[吉田禎吾]
『祖父江孝男・蒲生正男編『文化人類学』(1969・有斐閣) ▽吉田禎吾・蒲生正男編『社会人類学』(1974・有斐閣) ▽吉田禎吾編『文化人類学読本』(1975・東洋経済新報社) ▽R・E・リーチ著、長島信弘訳『社会人類学案内』(1985・岩波書店) ▽石川栄・梅棹忠男・祖父江孝男他編『文化人類学事典』縮刷版(1994・弘文堂) ▽山下晋司・船曳建夫編『文化人類学キーワード』有斐閣双書(1997・有斐閣)』

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精選版 日本国語大辞典

ぶんか‐じんるいがく ブンクヮ‥【文化人類学】
〘名〙 人類の社会・文化の側面を研究する学問。生活様式やものの考え方、言語や慣習など、多様な人間の諸文化を、フィールドワークによって記録、記述し、それを比較研究して、文化の側面における人類の共通の法則性を見出そうとするもの。アメリカで発達。

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