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教養と無秩序【きょうようとむちつじょ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

教養と無秩序
きょうようとむちつじょ
Culture and Anarchy
イギリスの詩人批評家マシュー・アーノルドの社会評論中の代表作。 1869年刊。 67年7月から翌年9月にかけて『コーンヒル・マガジン』に連載されたが,序論と第1章はオックスフォード大学詩学教授の最終講義「教養とその敵」をまとめたものである。産業革命による中産階級勃興の一消極面として現れた低次元の自由主義のもたらす「無秩序」を culture (教養=文化) によって救おうという意図で書かれたもの。アーノルドによれば,教養とは人間による「完全の追求」であり,それは「知的な人間をより知的にする」ヘレニズム側面と「道理と神の意志を世に行わしめる」ヘブライズム的側面との総合によってもたらされるが,これはやがて社会の全成員に浸透するのが理想であり,そのためには単にエリートの教育のみならず下層中産階級のそれが肝要となり,これを担当し指導統制を強力に行う機関として国民の「最善の自己」の結晶たる国家が考えられるのである。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

きょうようとむちつじょ〔ケウヤウとムチツジヨ〕【教養と無秩序】
《原題Culture and Anarchyマシュー=アーノルドによる社会批評集。1869年刊行。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

きょうようとむちつじょ【教養と無秩序 Culture and Anarchy】
イギリスの詩人,批評家M.アーノルドの社会・文化論。1869年刊。副題は〈政治および社会に関する批評〉。彼の用いる〈教養〉という言葉は,人間の精神的可能性の十全な実現を,また〈無秩序〉とは,イギリスの個人主義・反体制主義の伝統が招来する危険性のある状態を意味している。アーノルドによると,ビクトリア朝社会は貴族蛮人,中産階級=俗物下層階級大衆とに分化・対立しており,社会的に影響力を増しつつある中産階級を教化することこそ急務であると説いている。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

教養と無秩序
きょうようとむちつじょ
Culture and Anarchy

イギリスの詩人・批評家M・アーノルドの文明批評論。1869年刊。文学における情緒的耽溺(たんでき)を排し、現代的知性と古典主義的秩序を説いた彼は、社会批評においても、時流に流されぬ高邁(こうまい)でしかも柔軟な知的展望を説き続けた。ビクトリア朝社会を「蛮族」(貴族階級)、「ペリシテ人」(中産階級)、「大衆」(下層階級)に分け、とりわけ中産階級の俗物性を教養(または文化)の理想によって徹底的に批判した本書は、その優雅、明晰(めいせき)、辛辣(しんらつ)な風刺の絶妙さによって、社会・文明批評の一傑作とよんでいい。

[高橋康也]

『多田英次訳『教養と無秩序』(岩波文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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