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故意【こい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

故意
こい
(1) 私法上の非契約責任発生要件の一つで,一定結果が発生することを知りつつ,その結果の発生を認容することをいう。民法上は,故意と過失で法律効果を区別しないのが普通であるから (709,415条) ,過失から厳重に区別する必要はないとされている。

(2) (a) 刑法上は「罪ヲ犯ス意」 (犯意) ともいい (38条1項本文) ,特定の犯罪構成要件に該当する具体的事実の認識,認容をいう。なお,行為が法律上許されないことの認識は不要と解されている。刑法は故意犯の処罰を原則とし,過失犯の処罰は例外的である (38条1項但書) 。

(b) 未必の故意 dolus eventualis 行為者が罪となる事実の発生を積極的に意図したわけではないが,そのような事実が発生するかもしれないと思いながら,あえてその危険をおかして行為をなす場合の心理状態をいう。未必の故意も故意の一種であり,故意犯の責任を負う。過失と未必の故意の限界については,犯罪事実発生の可能性を認識したか否かによる説 (認識説) と,犯罪事実の発生をやむをえないとして認容したか否かによる説 (認容説) とが対立している。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

こ‐い【故意】
わざとすること。また、その気持ち。「故意に取り違える」
私法上、自分の行為から一定の結果が生じることを認容しながら行為に出る心情刑法上は、罪となる事実を認識し、かつ結果の発生を意図または認容している場合をいう。⇔過失

出典:小学館
監修:松村明
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損害保険用語集

故意
ある行為を行えば一定の結果を生じさせることが認識されているにもかかわらず、あえてある行為を行うことをいいます。不法行為成立要件の一つとなります(民法709条)。

出典:自動車保険・医療保険のソニー損保

とっさの日本語便利帳

故意
刑法上は、罪となる事実を認識し、かつ結果の発生を意図または認容している場合をいう。犯罪の成立には原則として故意がなければならない。私法上も、自分の行為が一定の結果を生ずることを認識・認容することをいう。しかし私法上は刑法上ほど、故意と過失を区別しない。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

世界大百科事典 第2版

こい【故意】

[刑法]
 判例では,行為から一定の事実が発生することを認識していることとされている。しかし学説上,さらに事実発生に対する認容もしくは意欲を必要とするかについて争いがある(後述のように民法では肯定するのが通説)。故意は過失と並ぶ主観的要件である。刑法では,過失を処罰する特別な規定のない場合には,故意のないかぎり犯罪は成立しないので(刑法38条1項),故意の意義が重要な問題になる。 刑法上の故意とは,つまり犯罪を犯す意思(犯意)であり,犯罪事実の認識をいう。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

こい【故意】
ことさらにたくらむこと。わざとすること。 「 -に負ける」
〘法〙 自分の行為が一定の結果を生ずることを認識していて、あえてその行為をする意思。刑法上は罪を犯す意思すなわち犯意をいう。 ⇔ 過失 「未必の-」

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

故意
こい
犯罪を犯す意思。犯意ともいう。刑法第38条1項は、「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない」と規定している。犯罪として処罰しうるためには原則として故意が必要であり、過失犯は例外的に処罰されるにすぎない。民法上も不法行為の要件として一般に故意または過失が必要とされる。この場合の故意の内容は刑法上の故意と異ならない。ただし民法上は故意または過失を区別する実益は少ないとされる。
 近代法のもとでは、法的責任を問うためには、行為者個人に故意または過失が認められなければならない。とりわけ刑事責任においては、違法な行為を行ったことにつき行為者に責任非難を課しうる場合でなければならないが、この非難を課しうるための心理的要素が故意または過失である。故意または過失は、従来責任要素とされてきたが、単に責任の問題にとどまらず、違法要素であり、構成要件要素でもあるという見解も有力である。
 ところで、故意が認められるためには、まず、犯罪事実の認識および認容(容認)が必要である。ここに犯罪事実とは、行為、結果および両者の因果関係、行為の状況といった構成要件に該当する客観的事実をいう。これらの事実につき、行為者が認識するにとどまらず、これを認容することを要する(認容説)。したがって、当該犯罪事実につき認識がない場合はもとより、この認識はあるが認容がなければ故意は成立しない。
 次に、犯罪事実の認識・認容のほか、違法性に関しどのような認識または意識を要するかにつき困難な問題がある。この点に関して、犯罪事実の認識・認容があっても、違法阻却事由(違法性阻却事由)にあたる事実を認識している場合には故意が阻却されるものと一般に解されている。したがって、いわゆる誤想防衛(客観的には急迫不正の侵害が存在しないのにこれがあるものと誤認して反撃行為を行う場合)など違法阻却事由の錯誤においては故意が阻却され、せいぜい過失犯が成立するにとどまる。故意が成立するためには違法性の意識、すなわち自らの行為が違法であるという意識を要するか否かについては、これを要しないとする不要説(判例)、これを要するとする厳格故意説、その可能性で足りるとする制限故意説のほか、違法性の意識やその可能性は故意とは別個独立の責任要素であると解する責任説が大きく対立している。
 なお故意には、大きく分けて、犯罪事実の発生を確定的に認識する確定故意と、これを不確定なものとして認識する不確定故意とがある。このうち、不確定故意には、概括的故意(結果発生は確実であるが、その客体や個数が不確定である場合)、択一的故意(数個の客体のうち、いずれに結果が発生するか確定していない場合)、未必の故意(結果の発生を確定的に認識していないが、その発生を容認している場合)がある。このうち、未必の故意と認識のある過失との関係がしばしば問題になる。これはいずれも結果発生を不確実認識している点では同じであるが、それを認容しているか否かにより区別される。[名和鐵郎]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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