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放牧地【ほうぼくち】

日本大百科全書(ニッポニカ)

放牧地
ほうぼくち
牛馬を放し飼いにして飼養する野草地。自給的農業の時代には採草地とともに牛馬の主要な飼養基盤で、村人の共同管理の下に牧柵(ぼくさく)や土塁を築き、入牧期間、頭数を制限し、火入れを行って維持されてきた。しかし1800年代末の官民区分で官没(国有化)された所が多く、国有林経営が本格化する時期からは林業に押されて奥山へ後退していった。それでも、耕うん機が普及する1960年(昭和35)前後までは、北海道、東北の北上・阿武隈(あぶくま)山地、中国山地、九州の阿蘇(あそ)・九住(くじゅう)・飯田(はんだ)など、農耕牛馬の供給地を中心に約30万ヘクタールの放牧地が残されていた。今日の放牧地は、人工的に造成された草地と野草地とを組み合わせたもので、畜種は乳牛の育成牛、繁殖用肉牛が主体である。管理主体も入会(いりあい)形態のものだけでなく、市町村営、農協営など公共的なものが増加し、電気牧柵、退避舎、給水・給塩施設などを備えた近代的な放牧地がみられるようになった。しかし従来の奥山放牧地を継承しているため、立地条件が悪く、管理費の高騰と相まって赤字経営が大半を占めるなど、問題も少なくない。[宇佐美繁]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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