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排尿障害【ハイニョウショウガイ】

デジタル大辞泉

はいにょう‐しょうがい〔ハイネウシヤウガイ〕【排尿障害】
排尿の回数が多い、尿が漏れる、尿が出にくい、尿に勢いがない、尿が残る感じがあるなど、尿の出方に何らかの異常がある状態。代表的な原因疾患として、前立腺肥大腹圧性尿失禁過活動膀胱などがある。

出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)

排尿障害
はいにょうしょうがい
排尿状態の異常を総称したもので、排尿困難、尿線(放尿の際に描く線)の異常、二段性排尿尿閉尿失禁および遺尿などがある。
(1)排尿困難 尿が出にくい場合を意味し、排尿しても膀胱(ぼうこう)が完全に空(から)にならない。多くは膀胱に尿がいつも残っている感じ(残尿感)を訴え、排尿後尿道から膀胱に細い管を入れて導尿すると残尿が証明される。前立腺(せん)肥大症、尿道狭窄(きょうさく)、神経因性膀胱、前立腺癌(がん)などでおこる。排尿困難が進行すると尿閉になることがある。
(2)尿閉 膀胱に尿がたまっているにもかかわらず一滴も出ない状態をいい、激しい尿意とともに膀胱が張ってくると非常な苦しみを訴える。前立腺肥大症をもつ人は飲酒中に突然尿閉になることがある。膀胱の収縮力が低下すると放尿力が低下し、尿線が細くなる。
(3)遷延性排尿 尿が出始めるまで時間がかかるものをいい、膀胱以下の部分に異物ができたり炎症がおこったりして尿道が狭くなったときにみられる。また、正常の人でも他人の見ている前で排尿するときは、心因性の遷延性排尿の状態になることがある。
(4)尿線の異常 尿の出口である外尿道口に異常があると、排尿の際に尿線が分かれる。排尿中突然、尿線が中絶する場合を尿線中絶といい、膀胱結石や凝血塊が膀胱の出口をふさぐためにおこる。
(5)二段性排尿 膀胱壁の一部が膀胱外へ嚢状(のうじょう)に突出した膀胱憩室があると、膀胱にある尿が一度出たあと憩室内の尿がふたたび膀胱にたまるため、もう一度排尿することになる。
(6)尿失禁 尿が無意識的に排出する排尿障害をいう。普通成人女子に多くみられるのは、咳(せき)、くしゃみおよび激しい体動のとき尿が漏れるもので、ストレス性尿失禁という。尿失禁は種々の器質的疾患でも多くみられ、脳卒中、脊髄(せきずい)損傷、前立腺肥大症、尿路先天性奇形などにおこる。
(7)遺尿症 膀胱に尿はたまるが、無意識のうちに排尿してしまうものをいい、普通は夜尿症を意味する。[土田正義]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

排尿障害(症候学)
概念
 ①排尿時に困難や疼痛を伴うことを排尿障害と定義する.②細菌性の膀胱炎や尿道炎が排尿障害をきたす最も頻度の高い疾患であるが,非細菌性で感染症によらない疾患でも排尿障害をきたすことが少なくない.
病態生理
①排尿過程は,膀胱に尿を貯留する蓄尿とそれに続いて尿を排泄する尿排出で構成されている.したがって,排尿障害は,蓄尿障害と尿排出障害に大別される.症候としては蓄尿障害には尿失禁があり,尿排出障害は程度により排尿困難,残尿,尿閉などに分けられる.②尿失禁とは,自分の意志とは関係なく尿が漏れてしまう状態である.
1)切迫性尿失禁:
強い尿意とともに尿が漏れる.膀胱の排尿筋の無抑制収縮(脳神経障害のある場合など)や下部尿路感染でみられる.
2)腹圧性尿失禁:
咳・くしゃみなど腹圧の上昇に伴う尿疾患.女性にみられる.
3)溢流性尿失禁:
尿排出障害があるため膀胱容量限界まで尿が貯留し尿が漏れ出る.前立腺肥大などの下部尿路閉塞あるいは排尿筋の収縮力減弱が原因である.
4)機能性尿失禁:
排尿機能は正常であるが,身体運動障害や認知症が原因で起こる.③排尿困難とは,スムーズな排尿ができず,排尿に努めても時間を要する状態を指す.残尿とは,排尿困難が進行し膀胱内に貯まった尿を完全に排出できず,尿が膀胱内に残存している状態を指す.尿閉とは,残尿がさらに進行し,膀胱内に尿が貯まっているにもかかわらず排尿できない状態をいう.
鑑別診断
①まずは蓄尿障害,尿排出障害いずれであるのかを判定する(表2-42-1).いずれも器質的な下部尿路閉塞と機能的な排尿筋の障害に分けられる.また,排尿障害ではしばしば排尿痛を伴う(表2-42-2).②鑑別のためには既往歴,出産歴,手術歴の聴取は必須である(表2-42-3).③溢流性尿失禁は大量の残尿があるため,超音波検査により診断は容易である.④尿排出障害が疑われた場合,直腸指診,直腸超音波で前立腺肥大や前立腺癌の鑑別を行う.場合により前立腺生検を行う.前立腺疾患が否定的であれば,膀胱尿道鏡,膀胱尿道造影,排尿筋・尿流量同時測定法などを行い,尿道狭窄,膀胱頸部狭窄の診断を行う.下部尿路閉塞がなく,膀胱排尿筋収縮低下があれば神経因性膀胱を疑い,膀胱内圧を測定する.⑤排尿障害で緊急処置が必要なのは急性尿閉である.無尿なのか尿閉なのかの鑑別が重要である.腹部超音波で膀胱に尿が充満しているか,水腎症を形成しているかなどをチェックする.⑥男性では圧倒的に前立腺疾患による下部尿路通過障害が多い.女性では,外尿道口狭窄,膀胱瘤,子宮脱が多い.[木村健二郎]

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

排尿障害
はいにょうしょうがい
Disturbance of urination
(お年寄りの病気)

高齢者での特殊事情

 尿が出にくい(排尿困難(はいにょうこんなん))、尿がもれる(尿失禁(にょうしっきん))、尿が出る回数が多い(頻尿(ひんにょう))、尿が出る時に痛い(排尿時痛(はいにょうじつう))といった症状は、排尿障害としてまとめられます(泌尿器(ひにょうき)生殖器(せいしょくき)の症状)。

 尿が出にくい、頻尿があるという場合は、高齢男性では前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)、あるいは膀胱を支配している神経に異常がある神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)が考えられます。特殊な場合として、何らかの原因で尿道が狭くなっている状態(尿道狭窄(にょうどうきょうさく))、あるいは膀胱、尿道に結石が存在することも考えられます。

 高齢女性の排尿困難、頻尿では、過去に子宮がんの手術などを受け、膀胱を支配する神経が損傷されたために起こる神経因性膀胱が原因になっていることが多いようです。まれに、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)による膀胱の出口の圧迫、尿道狭窄膀胱結石が原因になっていることもあります。

 高齢男性に多い前立腺肥大症については、次項で解説しているので参照してください。時に前立腺がんの心配があるので、血液中の前立腺腫瘍マーカー(PSA)、専門医による前立腺の触診、超音波検査、前立腺生検(針を刺し前立腺の組織片を取り出して顕微鏡で調べる)で確かめる必要があります。

 高齢の男女に共通してみられる排尿障害の原因として多いのが神経因性膀胱なので、以下、これについて解説します(表9)。

阿曽 佳郎

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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