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投節【なげぶし】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

投節
なげぶし
日本音楽の種目および旋律名称。時代,場合によってその内容が異なる。 (1) 江戸時代初期に流行した遊里流行歌謡。明暦万治 (1655~61) 頃,京都島原の遊女河内が創始したものともいわれ,「江戸弄斎」を変化させたものともいい,また節尻を「ヤン」とげるように歌うことから,この名義となったともいわれる。本来,梛節 (なぎぶし) の唱歌を作りかえたものともいい,また,歎 (なげ) 節の字をあてる説もあった。大坂新町の「まがき節」,江戸吉原の「つぎ節」とともに3都の遊里のそれぞれを代表する3名物の一つとされた。ただし,元禄 (88~1704) 頃には,その旋律,テンポその他に変化を生じたことが『松の葉』に記され,文政 (1818~30) 頃には,「そそり節」を投節ともいっている。歌詞は,3・4,4・3,3・4,5調を原則とし,間に間投語の「ナ」「ヤン」が入り,合の手も入る。『大ぬさ』『姫小松』などに,その三味線の記譜が示される。 (2) 三味線音楽の各種目において,おもに遊里の情景を表わす部分に用いられる旋律名称。半太夫節,河東節の助六浄瑠璃,一中節,富本節などの浅間浄瑠璃などに多用され,そのほか,長唄の『吉原雀』,常磐津節の『関の扉』『古山姥』『戻駕』などに用いられていることが有名。「馴れし郭…」などという句につくことが多い。「大津投節」といわれるもの。ほかに「そそり節」による部分をいう場合が,清元節の『権八』『神田祭』,常磐津節,長唄の『角兵衛』などにある。歌舞伎下座では,世話物のだんまり場,悲しい別れの場などに利用されている。

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デジタル大辞泉

なげ‐ぶし【投節】
《歌の末尾を投げるように歌うところから》
江戸初期の流行歌。明暦・万治(1655~1661)ごろに京都島原の遊里で起こり、宝永正徳(1704~1716)ごろ衰退。梛節(なぎぶし)。
江戸後期の流行歌で、そそり節の一種。歌詞は七・七・七・五調で、間に「な」「やん」という囃子詞(はやしことば)が入る。
三味線音楽の曲節の一。長唄常磐津(ときわず)などで、郭(くるわ)の情景を表す旋律型として用いられる。

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世界大百科事典 第2版

なげぶし【投節】
江戸時代の流行歌謡。三味線伴奏の流行歌謡としては,弄斎節(ろうさいぶし)に次ぐ古い成立のもの。元禄期(1688‐1704)のものは墨譜,三味線譜も遺存するので,その音楽的実態がある程度類推できるし,同一旋律による同一詩型の詞章が300首以上作られているが,その詞章の収録も《松の葉》をはじめ数多い。後代には,遊里の流行歌謡の代表名称としても用いられ,また,三味線音楽各種目において,曲節名称としても用いられたが,その性格は必ずしも一定していない。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

なげぶし【投節】
承応(1652~1654)から元禄(1688~1704)にかけて流行した三味線伴奏の小歌。京都島原の遊女河内が歌い始めたと言われ、各地で遊里中心に広まった。詞形は七・七・七・五の近世調。大津投節はその一種。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

投節
なげぶし
江戸時代、とくに明暦(めいれき)から宝永(ほうえい)(1655~1711)ころまで、おもに遊里で好んで歌われた「はやり歌」で、小歌の一種。歌の末尾を投げ出すように歌ったことから、投節とよばれるようになったという。本来楽器の伴奏を伴わない、いわゆる素唄(すうた)であるが、三味線の伴奏を加えて、さまざまな種目の歌曲のなかに取り入れられている。粋(いき)ななかにもどこかもの悲しげな憂いを帯びたものが多く、歌舞伎(かぶき)の下座(げざ)音楽にも取り入れられ、悲しい別離の場面や幕切れなどに用いられている。[渡辺尚子]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

なげ‐ぶし【投節】
〘名〙
① 江戸初期の流行歌。明暦・万治(一六五五‐六一)の頃から京都の島原の遊郭で歌い始められたもので、貞享・元祿(一六八四‐一七〇四)の頃最も流行し、京都・大坂・江戸ばかりでなく、地方の遊里などでも広く行なわれたが、宝永・正徳(一七〇四‐一六)頃を限度として次第に衰えた。
② そそり節の一種。清元「神田祭」の「森の小烏…」の箇所など。初めの頃は、歌の終わりを「やん」と投げてうたったが、後にはいいすてるようになった。
③ 三味線音楽の曲節の一つ。郭を表わす所に使う。長唄や清元の「吉原雀」の「馴れし郭の…」の箇所など。

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