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悲しみ/哀しみ/愛しみ【カナシミ】

デジタル大辞泉

かなしみ【悲しみ/哀しみ/愛しみ】
悲しむこと。悲しい気持ちや心。悲嘆。「―の色を浮かべる」「―に暮れる」⇔喜び
(愛しみ)いとおしむこと。情愛。
「末世の衆生に親子の―深きことを知らしめんがためなり」〈今昔・四・一〉

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

かなしみ【悲しみ】
人間の感情表現の一つであり,自己の無力感,挫折感を伴う。涙を流して泣く,独特の表情,意欲・行動の低下,自己へのひきこもりが観察され,胸がしめつけられるという身体症状の訴えもみられる。しみの生じる状況では,愛情や依存の対象が失われるという危機がみられる。この対象は人物の時に強く現れるが,仕事とか生き甲斐,自分の身体等も含まれる。対象喪失にさいし,最初は,怒りや事実を否認することで対処しようとするが,それがどうしようもない事実として認めざるをえなくなった時に,無力感とともに悲しみが生じてくる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

悲しみ
かなしみ
情動のうちで比較的基本となっている体験であり、喜びと対比される。さまざまな自己あるいは他人の不幸や失敗の経験、予期あるいは回顧などに伴う抑うつ的な情動をいう。これを引き起こす原因によって、その性質はかならずしも一定していない。軽度の場合には、なんとなく無力な感じという程度で、哀愁とでもいうことができる。特別に不幸や失敗を経験していないにもかかわらず、晩秋のもの悲しさを感じるというのはここに入る。激しい悲しみは悲痛とよばれている体験であり、泣いたり身をよじったりという身体的表出を伴うことが多い。もっとも、なんらかの身体的反応を伴うのは、あらゆる悲しみの情動に共通したことであって、悲痛の場合だけではない。哀愁であっても、落涙を伴うこともある。
 情動が身体的変化を引き起こすというのが一般的な考え方であるが、アメリカの心理学者W・ジェームズとデンマークの生理学者ランゲはこれに対して、身体的あるいは生理的な変化が情動を誘発するものであると説いた。悲しいから泣くのではなく、泣くことが悲しみの情動を引き起こすという考えである。これをジェームズ‐ランゲ説James-Lange theoryというが、現代の心理学はこの所説を全面的には肯定していないとしても、実際に涙をこらえているうちは悲しみも抑えられているが、ひとたび落涙し泣きだすに及んで、悲しみが高揚することは確かである。[花沢成一]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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最新 心理学事典

かなしみ
悲しみ
sadness,sorrow
愛する人や物を失うといった自分では修復することが困難な事態によって引き起こされる情動emotionであり,切なさや泣きたくなるような心の痛みだけでなく,あきらめや無力感を伴う。愛着を抱いていたものを奪われる,あるいは手放すといった喪失lossに対する心理的ないしは身体的反応である悲嘆griefにおける中核概念である。悲嘆とは,悲しみや怒りなどの情動だけでなく,故人への没頭などの認知,故人を探し求めるなどの行動,故人と類似した身体愁訴などの身体的変動といった4側面の反応からなり,反応自体は人類におおむね共通している一方で,その表出は喪の儀式に代表されるような社会的規範に規定される。また,小此木啓吾(1979)によれば,精神分析学では愛情や依存の対象である人物,所有物,環境,身体の一部などを死別あるいは別離によって失う体験を対象喪失object loss,喪失体験後の心理過程を悲哀mourningとよぶ。

 心理学的位置づけとしては,悲しみは情動であり,急激に生起し短時間で終結する比較的強力な感情であるとされ,ラザラスLazarus,R.S.(1991)は,一定期間持続した抑うつ気分を伴ううつdepressionと区別している。プルチックPlutchik,R.(1962)によれば,人間の基本情動の8要素(喜び,受容,驚き,恐れ,悲しみ,嫌悪,期待,怒り)の一つであり,これらを類似性によって円環状にした場合には,喜びと対照的な情動として対置される。悲しみという情動に応じて特定の行動が発現するというよりも,むしろ活動の低下や引きこもりが特徴であり,落涙という現象を伴うことがある。さらに,修復と救援という二つの機能を有する。修復とは,活動を不活発にしてエネルギーを蓄積させ,防御体制を準備することで個人の立て直しを図るといった生物学的機能biological functionである(Plutchik,1980)。またイザードIzard,C.E.(1991)は,救援とは,他者からの共感・同情や保護・援助を引き出すことによって,援助的やりとりを促進させるといった社会的適応機能social adaptive functionであるとしている。

 悲しみの発達過程に関しては,ルイスLewis,M.(1993)の発達理論がある。それによると,悲しみは生後6ヵ月ごろまでにはすでに観察される原始的情動の一つであり,個体の学習や経験によらず発達の早期段階から見いだされる。またコールCole,P.M.(1986)によれば,悲しみの制御は,2歳以降にその強弱の調整(眉間に皺を寄せるといったネガティブな情動の自己制御)が,4歳以降は中性化(ポーカーフェイス),6歳以降はマスキング(悲しいのに楽しそうに装うといった情動が逆転した態度形成)が可能になる。さらに成人では自我機能の発達に伴って,さまざまな心理的な防衛機制を用いた悲しみへの対処が可能になる。たとえば,意識から追い払う,あるいは抑えるといった抑圧repressionなどである。この対処は,シフニオスSifneos,P.E.が提唱した心身症患者の特徴の一つである感情への気づきや表現が制約された失感情症alexithymiaと一見似通ってはいるが,失感情症は大脳の機能障害であり,情動の中枢である辺縁系と認知表現の中枢である新皮質との神経生理学的な乖離がある点で本質的に異なる。抑圧以外の悲しみへの対処としては,他者への建設的な援助提供といった利他的行動altruismを通して自分も間接的に満足する,あるいは喜劇的要素を用いることで自分だけでなく他者にも不快感を与えないユーモアhumorの活用などがある。
〔浅井 真理子〕

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