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心臓移植【しんぞういしょく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

心臓移植
しんぞういしょく
heart transplantation
臓器提供者 (ドナー) から取った心臓を受容者 (レシピエント) に移植すること。人間における世界最初の臨床例は,1964年6月にアメリカのミシシッピ大学の J.ハーディがチンパンジーの心臓を人間に移植した例である。チンパンジーの心臓の血液ポンプ力が小さいためにこの例は失敗したが,67年 12月に南アフリカ共和国で C.バーナードによって行われたヒトからヒトへの心臓移植は一応成功し,患者は 18日間生存した。その後,心臓移植の臨床例は世界中に広まり,68年8月には札幌医科大学和田寿郎らが日本において初めて実施し,一応の成功をみたが,患者は術後 83日目に死亡し,手術の是否について大きな論議を引起した。心臓移植の問題の第1はドナーであり,人間の心臓を用いるかぎり,死の定義 (脳死の是非) ,社会通念,倫理観などに関した制約が大きな影響をもつ。他種の動物からの異種移植や人工心臓が実用可能になれば,このドナーの問題は解決できる。第2の問題は拒絶 (または拒否) 反応である。生体の免疫現象に由来する移植臓器への拒絶反応を克服するためには,分子生物学の進歩を待たねばなるまい。第3は臓器の保存および適合した組織タイプの登録システム,すなわち臓器バンクのシステムであろう。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

心臓移植
心臓の働きが望めなくなった時の治療法。1967年に南アフリカ共和国のC.バーナードが行ったのが最初。現在では、心臓移植の延命率及び生存率は向上している。心臓障害はよく肺高血圧症などを伴い、逆に肺の病変で心臓が障害を受けることがある。両臓器が侵されると心肺移植が治療法となる。日本では、脳死による心臓移植が99年から開始された。
(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

世界大百科事典 第2版

しんぞういしょく【心臓移植 heart transplantation】
心臓の筋肉がさまざまの病気で治る見込みのない傷害を受け,ポンプとしての働きが悪くなったときに延命を図ろうとすれば,その人の心臓の代りに人工心臓か他の人の正常な心臓を用いることも必要となる。この他の人の心臓を体内に植え込むことを(同種)心臓移植という。心臓移植を必要とする病気は,心筋症冠状動脈の硬化による高度の心筋の変化,技術的に手を加えることの困難な心臓奇形等である。心臓移植には二つの方法があり,元の心臓を除去してそのあとへ移植する同所性移植と,元の心臓はそのまま残して他の異なった場所へ移植する異所性移植である。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

心臓移植
しんぞういしょく
heart transplantation
心臓移植とは、重症心不全患者に対する究極の治療法として、健全な他人の心臓を植え込む臓器移植術の一つである。心移植ともいう。心臓移植には大別して二つの方法があり、元の病的な心臓を除去してその後に新たな心臓を植え込む同所性移植と、元の心臓は残して他の異なった場所にもう一つの心臓を移植する異所性移植がある。現在は前者の方法が主流で、後者は成績不良のため、限られた施設において行われているのみである。心臓移植が必要とされる疾患は心筋の収縮力が高度に障害される拡張型心筋症や、冠状動脈病変で心筋が壊死(えし)に陥って心不全となった虚血性心筋症などである。[西村和修]

心臓移植と脳死

心臓移植においては正常に拍動している元気な心臓が必要である。この心臓提供者のことをドナー(臓器提供者)とよぶが、ドナーは脳死患者から得られる。脳死とは脳外傷や脳血管障害で脳機能が停止した状態で、患者は意識がなく、自発呼吸も不可能であるので人工呼吸器による呼吸補助が必須(ひっす)である。人工呼吸により体内の酸素化が維持されるので、脳死患者ではしばらくの間、心臓は通常に拍動し、他の肝臓や腎臓などの重要臓器もその機能が維持される。しかし、いずれは(通常4~5日以内)血圧低下とともに心臓死へと至る。脳死は不可逆であることがわかっており、その診断方法も確立されているので、脳死が成立した時点で死と判定すれば、ただちに心臓を取り出してそれを他の心不全患者に移植するという医療が成り立つ。欧米各国では心臓移植がすでに標準的治療方法として社会に根づいているが、日本では1997年(平成9)10月に臓器移植法が施行され、認定施設においてのみ心臓移植が許可された。99年になってようやく3例が施行されて、いずれも成功を収めている。2002年10月現在、認定施設は、大阪大学、国立循環器病センター、東京大学、埼玉医科大学の4施設である。[西村和修]

心臓移植の歴史

心臓移植の歴史は古く、1905年にはすでにカレルAlexis Carrel(1873―1944)らによって動物実験の報告がされている。60年にアメリカのスタンフォード大学のシャムウェイNorman Shumway(1923―2006)らが同所性心移植の手術手技とその動物実験の成功(最長21日)を報告した。人における最初の心臓移植は、67年南アフリカのバーナードChristiaan Barnard(1922―2001)によって行われた。症例は54歳の虚血性心筋症の患者で、手術は成功したものの患者は18日で肺炎のために死亡した。68年末までに17か国で102例の心臓移植が行われ、このなかで日本でも68年(昭和43)に札幌医科大学教授であった和田寿郎(じゅろう)(1922― )によって18歳の弁膜症患者に対して心臓移植が行われたが83日で死亡した。日本ではこの症例の脳死手続、手術適応等に不明朗な点が指摘され、その後脳死移植が社会的に認知されにくい遠因ともなった。諸外国においても、初期の心臓移植の成績が不良であったため、70年代になるとスタンフォード大学以外では心臓移植は行われなくなった。80年になって画期的な免疫抑制剤シクロスポリン(サイクロスポリン)が使用されるようになり、心臓移植の成績は飛躍的に向上した。また、同時期より欧米において心臓移植が日常的な医療となり、世界における年間の心臓移植件数は86年には1000例を超え、91年には4000例に達し、以後はほぼ横ばい状態である。[西村和修]

心臓移植の成績と今後の課題

心臓移植の成績は年々向上し、現在、生存率は術後1年で約80%、5年で約70%程度である。心臓移植後の生活の質は移植を受ける前に比べて格段に向上する。移植後は仕事、通勤、通学を含め、ほぼ通常の生活が可能である。臓器移植においては他人の臓器を排除しようとする拒絶反応をいかに制御するかが重要なポイントである。拒絶反応を抑えるためには前述の免疫抑制剤を使用するが、免疫機能を抑制しすぎると、逆に細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まって感染を生じやすくなる。したがって、移植術後における免疫抑制剤の使用方法がきわめて重要となる。術後の死亡原因は術後1年くらいまでは急性拒絶反応と感染症が多くを占めているが、遠隔期になると慢性拒絶反応とされる冠動脈硬化症、悪性腫瘍(しゅよう)等が主死因となっており、これらの克服が現在の課題である。
 心臓移植は重症心不全患者を救う手段として、現在のところ最良の方法である。一方で、臓器移植は脳死となった臓器提供者が存在してはじめて成立する医療であるので、この医療の恩恵を受けられる患者は臓器提供者の数に依存する。現在、心臓移植を必要とされる患者数は実際に移植を受けた患者の数倍から十数倍いると試算されている。実際、心臓移植待機中の患者の3分の1から2分の1が待機中に死亡している。したがって心臓移植にかわる治療として、人工心臓、骨格筋ポンプ、心臓部分切除術、異種心臓移植等が研究され、一部臨床応用されている。今後は心臓移植とともにこれらの代替治療も発展していくであろう。[西村和修]
『ニューハートクラブ・純君基金編『ヘアフィールド物語―イギリスでの心臓・心肺移植にかけた日本人たち―』(1993・メディカ出版) ▽山内喜美子著『海を渡るいのち』(1992・講談社) ▽『心臓移植・肺移植 技術的、倫理的整備から実施に向けて』第3版(1997・日本胸部外科学会) ▽板東興著『心臓外科医』(岩波新書) ▽和田寿郎著『神から与えられたメス 心臓外科医56年の足跡』(2000・メディカルトリビューン)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

心臓移植(人工臓器・補助循環・臓器移植)
(1)心臓移植の歴史
 ヒトにおける心臓移植の第一例目は1967年南アフリカのBarnardらによるとされる(Barnard,1967).そのレシピエントは18日間の術後生存であったが,1968年には世界中に心臓移植手術が広まることとなった.わが国においても同年札幌医科大学においていわゆる「和田移植」が行われ,83日間生存したものの,医学的適応や脳死判定の不備などから世論の激しい非難を浴びる結末となった.また一部の施設以外では成績が思ったほど向上しなかったこともあり,1970年代には多くの施設が心臓移植から撤退した.1981年にシクロスポリンが免疫抑制薬として使用可能となったことは心臓移植再開の火付け役となった.同年,国際心臓移植学会が設立され,それは現在国際心肺移植学会(International Society of Heart and Lung Transplantation:ISHLT)に受け継がれ,世界中の心臓移植のデータベース管理を行っている.
(2)日本における臓器移植法とその改正
 わが国において脳死は現在でも原則として人の死ではない.脳死に対してさまざまな見解があるなかで旧臓器移植法が1997年に制定施行された.この法律は脳死判定に際してドナーとなり得る人本人の意思表示カードによる生前の提供意思表明を必要としたもので,ある意味ドナー候補を限定する内容となっていた.このため,年間心臓移植数は最大11例にとどまっていた.また旧法では15歳未満の臓器提供は禁止されており,小児の心臓移植は事実上日本では行えないシステムであったため,渡航移植が頻繁に行われていた.2008年国際移植学会による移植ツーリズム自粛を含んだイスタンブール宣言が発表され,2010年WHO(世界保健機関)もこれを批准し,ヨーロッパを中心に渡航移植受け入れが激減した.このこともあり,2009年7月に臓器移植法が改正され,翌2010年7月施行された.改正新法は臓器提供への生前の拒否の意思が明らかでない場合は家族の同意で脳死判定から臓器提供可能となる道が開かれ,年間の心臓移植数が40症例前後と急増した.また脳死判定可能な年齢も制限が撤廃され,小児移植の可能性が出てきたものの,現時点ではきわめて少数例にとどまっている.なお,心臓移植に限り18歳未満のドナーは登録時18歳未満で待機中のレシピエントに優先的にマッチングするシステムも始まった.新法では親族優先提供という事項もあるが,心臓移植についてはよほどの偶然がないかぎり適用されるものではないであろう.心臓移植実施認定施設は2011年12月現在,9施設である(北海道大学,東北大学,東京大学,埼玉医科大学,東京女子医科大学,大阪大学,国立循環器病研究センター,岡山大学,九州大学).
(3)心臓移植の適応(表5-16-1)(絹川,2011)
a.心臓移植の適応となる疾患
 心臓移植の適応となる疾患は従来の治療法では,救命ないし延命の期待がもてない以下の重症心疾患とする.
 拡張型心筋症・拡張相の肥大型心筋症・拘束型心筋症・虚血性心筋疾患・先天性心疾患・その他日本循環器学会および日本小児循環器学会の心臓移植適応検討会で承認する心臓疾患(心サルコイドーシス,弁膜症などを含む)
b.適応の医学的要件
 不治の末期的状態にあり,長期間または繰り返し入院治療を必要とする心不全,β遮断薬およびACE阻害薬を含む従来の治療法ではNYHAⅢ度ないしⅣ度から改善しない心不全,または現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例を対象とする.なお,当座のわが国の移植事情をふまえて年齢は60歳未満が望ましいとされてきたが,今後65歳程度をめどに延長される可能性がある.また,社会的適応の観点から服薬や生活の自己管理能力,精神的安定度,家族構成なども十分検討すべきである.
c.心臓移植の絶対的除外条件
 下記の条件を合併する場合は心臓移植の適応とならない.
肝臓,腎臓の不可逆的機能障害活動性感染症(サイトメガロウイルス感染症を含む)
肺高血圧症(肺血管抵抗が血管拡張薬または補助人工心臓を使用しても6 Wood 単位以上)
薬物依存症(アルコール性心筋疾患を含む)
悪性腫瘍
HIV(human immunodeficiency virus)抗体陽性
(4)日本臓器移植ネットワーク(Japan Organ Transplant Network:JOT)への登録
 日本循環器学会心臓移植適応小委員会の審査承認を経た後,JOTへ登録申請を行い,移植待機患者として正式に登録される.登録されたレシピエントはその状態により下記の3つのステータスに分類される.
 ステータス 1:
① 補助人工心臓を必要とする状態
② 大動脈内バルーンポンプを必要とする状態
③ 人工呼吸を必要とする状態
④ 集中治療室などの重症室に収容されていて,かつカテコールアミンなどの強心薬の持続点滴投与が必要な状態
 ステータス 2:待機中の患者で,上記の状態1に該当しないもの
 ステータス 3:ステータス 1またはステータス2で待機中に,除外条件(感染症・脳梗塞など)を有する状態ステータス 2については幅が広いが,おおむね心肺機能検査で最大酸素摂取量が14 mL/kg/分以下であることを基準としている.
 2011年11月末現在登録患者総数198名,うち男性140名,ステータス 1が124名,となっている.60歳未満という制限を反映して図5-16-1に示すように拡張型心筋症が圧倒的に多い.わが国において心臓移植を受けたレシピエントはすべてステータス 1であり,心臓移植までの平均待機日数は873日(2009年12月末)であった.
(5)心臓移植手術
 心臓移植の術式は大きく分けて2種類である.レシピエントの両心房を一部残して吻合するLower-Shumway法が当初開発された.この方式は手術時間が比較的短くできること,先天性心疾患患者のような解剖学的異常のあるレシピエントでも対応しやすいこと,小児例など大静脈径のミスマッチが大きくても可能なこと,再手術例など右心房の癒着があっても可能なこと,などの利点があるが,一方右心房の拡張やねじれを生じて洞不全症候群や三尖弁閉鎖不全を合併する率が高く,心房収縮が一様でないため心拍出量も低めであるとされている.この点を解消するため最近では上下大静脈レベルで吻合するbicaval法が採用されることが多くなってきている.
(6)心臓移植後の免疫抑制療法と拒絶反応
a.心臓移植後の免疫抑制療法
 ステロイド,カルシニューリン阻害薬(calcineurin inhibitor),核酸合成阻害薬の3剤併用が一般的である.カルシニューリン阻害薬はシクロスポリンまたはタクロリムス,核酸合成阻害薬はミコフェノール酸モフェティル(MMF)を使用する.カルシニューリン阻害薬はトラフ値を測定しながら移植後の経過に応じて用量を調節する.最近,mammalian target of rapamycin(mTOR)阻害薬であるエベロリムスが使用可能となり,今後のエビデンスの集積が待たれる.
b.拒絶反応
 ドナーの心臓が非自己と認識され,レシピエントのリンパ球や抗体などの作用によって移植された臓器を破壊しようとする拒絶反応には,リンパ球性(細胞性)拒絶として移植後早期に起こり心筋に傷害を起こす急性拒絶反応と,抗体関連性拒絶として急激な血行動態の悪化をもたらす液性拒絶反応と,数カ月以降に冠動脈病変として現れる慢性拒絶反応がある.急性拒絶反応の確定診断は心筋生検が最も信頼度が高く,拒絶反応が疑われた場合には心筋生検は必須の検査である.通常右室中隔から心筋を採取し,生検組織の所見により拒絶のグレードを下記のように判定する.
 グレード0:拒絶の所見なし,グレード1R:1部位までの間質または血管周囲へのリンパ球の浸潤と心筋傷害,グレード2R:2カ所以上のリンパ球浸潤と心筋傷害(図5-16-2A),グレード3R:びまん性のリンパ球浸潤と心筋傷害,ときに浮腫,出血,血管炎を伴う.グレード0〜1では,カルシニューリン阻害薬の増量などで対処する.グレード2〜3の場合,ステロイドパルス療法が施行される.
 液性拒絶の組織診断として補体の1つであるC4dが染まることが多いとされている.治療は血漿交換を主体とした集学的治療を行う.
 心移植後冠動脈病変(cardiac allograft vasculopathy :CAV)は多くの場合粥状硬化と異なり,びまん性に同心円状に内膜肥厚をきたすことが多い.ISHLTのデータでは毎年7%ずつ発生しているとされる.そのため,通常の冠動脈造影では狭窄が発見できないことも多く,これが移植後のフォローアップに血管内超音波が欠かせない理由である(図5-16-2B).エベロリムスがCAVの進行を抑制する可能性はあるが,確立された治療法はない.
(7)心臓移植の遠隔成績(Hertzら,2011)
 ISHLTのレジストリーによれば,世界中でおよそ3500件程度の心臓移植が行われている.そのうち北米が2000件以上を占め,ついでヨーロッパが1000件弱であり,その他の地域はまだ少ないことがわかる.心臓移植後の予後曲線を図5-16-3に示す.シクロスポリンが使用可能となった1980年代以降約30年経過し,10年ごとの予後曲線は少しずつ上方に推移しているが,これはよくみれば術後管理の向上による部分がほとんどで,長期的な移植後管理に関する部分は大きな変化がないともいえる.死因の代表的なものは術後5〜10年をとると1位が悪性腫瘍,2位がグラフト不全,3位がCAV,4位が感染症となっており,既存の免疫抑制薬では解決できないまたは免疫抑制薬の副作用と考えられるものが多くあがっている.悪性腫瘍は皮膚癌が多い.しかし,移植対象者はこれまで圧倒的に白色人種が多く,日本人においても同様であるかどうかは不明である.移植後に特徴的な悪性腫瘍に移植後リンパ増殖性疾患(posttransplant lymphoproliferative disorder:PTLD)がある.これはEBウイルス関連疾患とも考えられるもので,消化管での発生が多い.PTLDに対してエベロリムスが有効との報告がある.
 一方,日本において2011年12月現在心臓移植数は累計で120例,うち51例が2010年7月の改正法施行後以降に行われている.わが国における心臓移植の長期予後はデータ数としてきわめて少ないながら,非常に良好である.1年生存率98.6%,5年生存率95.6%というのが2010年7月時点での予後である.2011年12月現在,120名の移植レシピエントのうち死亡は4名のみである.[絹川弘一郎]
■文献
Barnard CN: The operation. A human cardiac transplant: an interim report of a successful operation performed at Groote Schuur Hospital, Cape Town. S Afr Med J, 41:1271-1274, 1967.
Hertz MI, Aurora P, et al: Scientific Registry of the International Society for Heart and Lung Transplantation. J Heart Lung Transplant. 30:1071-1132, 2011.
絹川弘一郎:心臓移植の適応疾患と適応基準,除外基準・禁忌.心臓移植(松田 暉監修,布田伸一・福嶌教偉編),pp111-114,シュプリンガー・ジャパン,東京,2011.

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

心臓移植
(循環器の病気)

 ほかの方法では改善が見込めない重症慢性心不全の治療法です。脳死ドナー(臓器提供者)からの提供があって成り立つ医療ですし、現在はドナーの数が限られているので、心臓移植の必要性を外部の機関で十分に検討し、(社)日本臓器移植ネットワークに登録をして待機します。

 人工心臓は原則として、移植のドナーが現れるまでの間をしのぐために使われます。

 心臓以外に重大な病気のない比較的若年の人が、心臓移植の対象になります。移植を受けた人の生活の質(QOL)は著しく向上し、過半数の人が10年以上生存します。

 ただし、急性拒絶反応を予防するために免疫抑制薬をのみ続けなければならず、感染症などの副作用に常に注意が必要になります。また、数年の経過で慢性拒絶反応といわれる冠動脈硬化が現れることが問題になっています。

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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