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心室細動【しんしつさいどう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

心室細動
しんしつさいどう
ventricular fibrillation
心臓の拍動において,心室の各小部分が無秩序で不規則に収縮する状態をいう。収縮の頻度,すなわち心電図上の波形毎分 170~300のものを粗動,毎分 300~600のものを細動区別していうこともあるが,周期にはっきりした規則性がないので,心室に関しては細動と粗動の区別が困難である。心室細動のとき,心室からの血液の拍出ができないので,心停止が起る。この場合,ただちに救急救命処置を行わないと突然死にいたる。除細動器の使用が有効である。心室細動は,冠状動脈硬化症によることが最も多いが,ジフテリア,梅毒性大動弁閉鎖不全症などでもしばしば起る。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

しんしつ‐さいどう【心室細動】
心室の筋肉が不規則に収縮(細動)する状態。この状態で心臓は血液を送り出せない。心筋障害・心筋梗塞(こうそく)などでみられる。除細動などの治療が行われる。Vf(Ventricular fibrillation)。V.fib。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

しんしつさいどう【心室細動 Ventricular Fibrillation】
[どんな病気か]
 心室の中で、非常に速くて不規則な電気の旋回(せんかい)(空回り)が生じておこる不整脈(ふせいみゃく)です。心室細動がおこると、心臓は小刻みに震えるだけとなり、血液を送り出すことができなくなり、心臓停止と同じ状態になります。そのため、意識がなくなり、けいれんがおこります。
 心室細動がおこったときは一刻を争って治療しないと生命にかかわります。
[原因]
 心室細動は、心筋梗塞(しんきんこうそく)や心筋症(しんきんしょう)などの心臓病にともなう心室頻拍(しんしつひんぱく)が生じたときにおこるのがほとんどです。まれに、WPW症候群(しょうこうぐん)でもおこることがあります。
 心臓病や他の病気がまったくないにもかかわらず、急に心室細動がおこって、突然死することもあります。特発性心室細動(とくはつせいしんしつさいどう)といい、「ぽっくり病」の原因の1つと考えられています。
[治療]
 心室細動がみられた場合は、すぐに心臓マッサージを行ない、除細動器で電気ショックをかけ、蘇生(そせい)を試みます。
 蘇生に成功した人に、心室細動が再発してもそれを自動的に停止できるよう、植え込み型除細動器という器械(コラム「植え込み型除細動器」)を植え込むことがあります。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

しんしつさいどう【心室細動】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

しんしつさいどう【心室細動】
心室筋が無秩序に興奮していて、血液を送り出すような収縮が生じない状態。一種の心停止状態。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

心室細動
しんしつさいどう
心室全体が一律に収縮・拡張することなく、部分的に細かい単位で不統一に収縮・拡張を繰り返す致死的不整脈の一つである。心臓は有効な収縮をなしえず、心臓からの血液の拍出は停止する。したがって、適切な処置を行わなければ3~5分で脳に不可逆的な変化を生じ、死に至る。心電図では、正常人にみられるP波、QRS波、T波の区別はなくなり、波形・波高が不統一で、基線が不規則に動揺しているだけである。
 原因としては、心筋梗塞(こうそく)をはじめ、完全房室ブロックに伴う徐脈、ジギタリス中毒、感電、血清電解質異常などがあげられる。心室細動がなんの予告もなく出現することは少なく、前駆状態に続いて心室細動が発生することが多いので、この時期に適切な処置を行えば予防が可能である。多源性、連発性、RonT型の心室性期外収縮などは心室細動の前駆不整脈と考えられており、これらの不整脈が発見されれば、ただちにリドカインなどの抗不整脈剤が投与される。いったんおこってしまった心室細動に対しては、3分以内に電気的除細動を行うのが最良の治療法である。[井上通敏]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

心室細動(心室性不整脈)
d.心室細動(ventricular fibrilation:VF
 心室細動は致死的不整脈であり,臨床上最も重篤な不整脈である.心室の無秩序な電気的興奮によりQRS波とT波は識別不能となり,300/分以上の不規則な心室波を示す(図5-6-34).心室細動発現と同時に心臓からの有効な血液の拍出が停止するため,脳血流が途絶し3~5秒でめまい,5~15秒で意識消失が出現し,3~4分持続すると脳の不可逆的変化が生じ死に至る.心室細動は通常自然停止することはまれで,致死性であるが,致死的不整脈には心室細動以外に心静止(補充収縮を伴わない洞停止あるいは完全房室ブロック)が含まれ,両者を合わせて心停止発作とよぶ.
心電図
 心室細動は心電図上QRS波とT波が識別されず200~300/分以上の不規則な心室波を示し,QRS波形のベクトルや大きさ,形状も変動する.200~250拍/分の規則性をもつ大きなサインカーブを示す場合には心室粗動ともよばれる.
臨床的意義
 基礎心疾患としては急性心筋梗塞や陳旧性心筋梗塞,心筋症,高血圧心疾患などの器質的心疾患を有する場合が多い.しかし明らかな心疾患を認めない成人における特発性心室細動も報告されており,QT延長症候群ではtorsade de pointes型心室頻拍から心室細動へ移行する.また,近年注目されているのがBrugada症候群である【⇨5-4-3)】.
 心室細動は心臓突然死(sudden cardiac death)の最も主要な原因であり,米国では心臓突然死の80~90%が心室細動や心室頻拍によると考えられ,米国内における蘇生可能例は約10~30%,蘇生例は1年以内に20~40%が再発すると報告されており,適切な治療が必須である.
治療
 心室細動発生から1分経過するごとに救命率が約10%低下し,10分以上放置された場合,救命率はきわめて低くなる.さらに救命されても高次脳機能障害などが残り社会復帰が困難となるため,心室細動が発見されたら直ちに緊急救命処置を施行しなければならない.救命処置として,心肺蘇生,除細動および蘇生後療法の3段階に分けられるが,現在の蘇生法のなかではできるだけ早い除細動が最も重要であると考えられている.
1)心肺蘇生:
心臓マッサージと人工呼吸である.仰臥位で頭部後屈にし,5 cm以上の胸骨圧迫を少なくとも100回/分の非開胸式心臓マッサージを施行する.また,自発呼吸のない場合には口-口式人工呼吸を施行する(胸骨圧迫30回と人工呼吸2回)が,1人で蘇生を行う場合には,人工呼吸は省略してよい.
2)電気的除細動:
致死的不整脈である心室細動に対する唯一の確実な治療方法は,電気的除細動(electrical defibrillation)であり,救急措置には不可欠の治療法である.電気的除細動とは,心室細動に対してQRS波と同期させずに直流通電を加え,洞調律に復させる治療であり,電気的除細動器(electrical defibrillator)を用いて行う.通電量は単相性波形では200~360 J,二相性波形では120~270 Jが推奨され,それでも無効な場合はⅢ群抗不整脈薬,アドレナリン,バソプレシンなどの静注後に再度電気的除細動を行う.
 自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED):院外で出現した心室細動の救命率は前述のように除細動までの時間に依存する.救急救命士が到着するまでの時間は平均十数分であり,その救命率は以前は2~3%にすぎなかった.そのため,目撃者である市民が使用可能な,小型で軽量な携帯型自動体外式除細動器が開発された.AEDは自動的に心室細動を診断した後,使用者に充電を指示し,電気的除細動器の作動を指示する.それにより心停止発見後早期の除細動が可能となり救命率の改善に通じるため,わが国でも公的機関への配置と市民教育が現在普及しつつある.
 電気的除細動による合併症は,火傷などの軽度の合併症を除いても約10%にみられる.血清酵素(AST,ALT,CPK,LDH)の上昇,ST上昇やT波の変化,塞栓症,肺水腫,心室頻脈性不整脈,洞停止および完全房室ブロック,低血圧などがあるので除細動後は心臓マッサージを続行し,これらの問題に対応する必要がある.心室細動停止後は,再発予防としてアミオダロン,ニフェカラントなどのⅢ群抗不整脈薬,またリドカインなどのⅠ群抗不整脈薬を点滴静注する.また心室細動により惹起されたアシドーシスや低酸素血症などの病態の改善,電解質異常や心不全などの心室細動の誘発・増悪因子の是正と基礎心疾患治療に努めることは必須である.
3)心室細動の予防:
心室細動の予防として抗不整脈薬は,心室細動のトリガーとなる重症度の高いLown分類Ⅲ,Ⅳa,Ⅳb,Ⅴの心室性不整脈や心室頻拍などの抑制のために用いる.心機能低下を伴う基礎心疾患合併心室細動に対してはⅢ群抗不整脈薬に属するアミオダロンは心室期外収縮のみならず,心室頻拍/心室細動抑制による最も強力な突然死予防薬である.また,β遮断業やアンジオテンシン阻害薬も突然死予防効果が期待される.さらに心室頻拍/心室細動の修飾因子である心筋虚血や心不全などの修飾因子に対する治療も予防の観点から重要である.
4)植え込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator:ICD):
左鎖骨下の体内に植え込み,鎖骨窩静脈から心室内に電極を挿入することで,心室細動を感知し,自動的に除細動機能が作動する電気的除細動器である(図5-6-31).1980年に臨床応用が始まり,欧米では2010年には年間10万人をこえる植え込み例が報告され,わが国においても植え込み症例は2010年では年間8000例をこえている.心室細動蘇生例は2年間で10~30%の頻度で再発するが,ICDの導入により多くの例で突然死の2次予防が可能である.ICDの適応は当初は心室細動および持続性心室頻拍の既往例に対する二次予防であったが,現在では心筋梗塞後や拡張型心筋症などにおける低心機能例の非持続性心室頻拍に対する一次予防へとその適応が拡大されている. また2005年以降,慢性心不全症例の予後規定因子である左脚ブロック型心室内伝導障害に対して,右室電極に加え左室自由壁の遠位冠静脈内に電極を留置し,両心室ペーシングを行うことで,左室の収縮同期不全を是正し心機能を改善させる心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy:CRT)が施行されている.さらに,慢性心不全症例の死因の30~50%が突然死であり,その多くが心室細動による心停止発作であるため,除細動機能を付加した両室ペースメーカ(CRT-D)が開発され,心不全の非薬物治療として確立されるに至った.現在慢性心不全症例に対する,CRT-D植え込みによる心機能改善効果と心停止発作治療効果による生命予後の改善が期待されており,今後も大きな発展が望まれる.[青沼和隆]
■文献
笠貫 宏:心室性不整脈.内科学 第九版(杉本恒明,矢崎義雄編),pp472-480,朝倉書店,東京,2007.

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

心室細動
しんしつさいどう
Ventricular fibrillation
(循環器の病気)

どんな病気か

 前述の心室頻拍(ひんぱく)は、異常に速い心拍ではあるものの、心室には規則的な収縮があります。しかし、心室細動(VF)では心室の筋肉の規則的な収縮は失われ、ただ不規則に細かくけいれんしているだけになります。心電図上でも規則的な波形は消え、不規則に震えるような波形だけになります。

 心室細動になると心室のポンプ機能は失われ、血液を送り出せなくなります。結果として血圧はほぼゼロになり、脳は虚血状態になり意識は消失し、そのまま心室細動が続けば死に至ります。心室細動が自然におさまることはまれです。

原因は何か

 急性心筋梗塞(しんきんこうそく)や心不全の進行に伴って心室細動が起こったり、全身状態の悪化で生じた電解質の異常(体液のミネラル成分のバランスが大きく崩れること)から心室細動が起こることがあります。このような心室細動を二次性心室細動ということがあります。また、本来は不整脈を治すための抗不整脈薬やその他の薬剤によって、かえって心室細動が生じやすくなることもあります。

 一次性心室細動は、原因となる心疾患や電解質の異常などの誘因がない人に突然生じるもので、病態にはいまだ不明な点が多く残っています。QT延長症候群(コラム)やブルガダ症候群といった病気では、普段でも心電図の波形に異常が現れますが、このような病気では心室細動が現れやすいことがわかっています。

症状の現れ方

 心室細動が生じると心室のポンプ機能が失われ、血圧はほぼゼロになるため、5~15秒で意識が消失します。意識消失とともに、全身けいれんが生じることもあります。

治療の方法

 心室細動が起こっている時、心室の筋肉では無秩序で不規則な電気的興奮が生じています。この無秩序な電気的興奮が自然におさまり、心室細動がやむことはまれです。

 胸部から直流電気ショック通電を行うと心室細動がやみます。これを直流通電除細動(じょさいどう)といいますが、心室細動に対する最も確実な治療法です。

 心室細動に陥ってから時間がたてばたつほど、除細動の成功率は低下します。また、時間がたてば、仮に除細動が成功しても脳に酸素が供給されなかった時間が長くなり、低酸素脳症(ていさんそのうしょう)の後遺症が残る可能性が高くなってしまいます。

病気に気づいたらどうする

 病院内で発症した心室細動なら早急に除細動を行うことが可能なので、救命の確率が高いといえます。しかし、院外で発症した心室細動では、救急隊による直流通電除細動までの時間、およびその間の蘇生術(そせいじゅつ)の施行の有無が救命の可能性を決定するといえます。

 適切な治療が行われないと、3~5分間で脳死になる可能性が高くなるといわれています。直流通電除細動が行われるまで心臓マッサージを行えば、蘇生の成功率を上げ、脳後遺症の発生率も下げることができます。

 最近、自動体外式除細動器(AED)が公共の場所に置かれることが多くなってきましたが、一般市民による早期の除細動が心室細動の患者さんの蘇生率改善に大きく寄与してきています。AEDは消防署や日本赤十字社で使用方法の講習会が開かれていますが、講習会を受けていない人でも簡単に使用できるような平易な構造になっています。

 まれですが、自然におさまる心室細動では意識が回復します。このような場合でも、再び心室細動が発生する可能性もあるので、やはり早急な受診が必要です。

 心室細動から救命された患者さんには、心室細動を予防する治療とともに、心室細動が再発した場合でも確実に救命がなされるように植込型除細動器(うえこみがたじょさいどうき)(コラム)の植え込みがすすめられます。

野上 昭彦

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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知恵蔵

心室細動
心房細動」のページをご覧ください

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

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