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役者評判記【やくしゃひょうばんき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

役者評判記
やくしゃひょうばんき
評判記の一種。役者の演技の評判を記した書。江戸時代初期に歌舞伎が盛んになったとき,見物の鑑賞に供するために起った。初めは『野郎虫』 (1660) や『剥野老 (むきところ) 』 (62) など野郎歌舞伎の容色中心の評判をする野郎評判記であり,元禄期 (88~1704) に入って演技中心の役者評判記となった。形式はすでに存在していた遊女評判記にならったもので,京,大坂,江戸の三都別に3冊に分けられ,それぞれ役者目録,開口,評判という部位をとる。開口は小説風な趣をもち,評判は頭取やひいきを配して会話体から成り,役者の位づけをしている。横小本の型が多いが,こうした形式の定着は,江島其磧 (えじまきせき) の『役者口三味線』 (1699) の好評に負うところが大きい。また,これらは京都の八文字屋から多く出版された (→八文字屋本 ) 。以後明治初期まで続くが,新聞の劇評の出現によって衰えた。

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デジタル大辞泉

やくしゃ‐ひょうばんき〔‐ヒヤウバンキ〕【役者評判記】
歌舞伎役者の容色や技芸を評し、位付けをした書。江戸時代から明治初期にかけて、京都・大坂・江戸の3都を中心に刊行。元禄(1688~1704)末ごろから、3都別3分冊の黒表紙小型の横本で、1月と3月の年2回の刊行が原則となった。

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世界大百科事典 第2版

やくしゃひょうばんき【役者評判記】
歌舞伎役者に対する芸評の書。広義には歌舞伎若衆の容色を品評する〈野郎(やろう)評判記〉をも含めることもあるが,普通はこれと区別して,立役,敵役若女方などすべての役柄の役者の技芸を批評する書物をいう。〈野郎評判記〉は1656年(明暦2)に始まると伝えられるが,〈役者評判記〉は1687年(貞享4)ころに始まる。すなわち《野良立役舞台大鏡(やろうたちやくぶたいおおかがみ)》《役者大鑑(やくしやおおかがみ)》などによって,各種の役柄にわたって役者に上上吉,上,中などの位付(くらいづけ)を付し,その技芸を賞賛し,あるいは非難するという〈評判〉の姿勢が形成された。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

やくしゃひょうばんき【役者評判記】
歌舞伎俳優の容色・技芸を批評した書。1656年刊の「役者の噂」が最古とされ、99年刊の「役者口三味線」にいたって整ったとされる。京都・大坂・江戸の三都の役者を細評した形式がその後踏襲され、明治初期まで毎年一、二回刊行された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

役者評判記
やくしゃひょうばんき
歌舞伎(かぶき)劇書。江戸時代初期から明治初頭まで、京・江戸・大坂(ときに名古屋を加える)の歌舞伎を対象に、毎年出版された役者の技芸批評の書物。現在残る最古の書は1659年(万治2)刊『野郎虫(やろうむし)』。初期には野郎役者の容姿の特色をあげ、特技を褒める役者賛仰(さんぎょう)の記だったが、歌舞伎の演劇的成長とともに技芸の批評へと進んだ。1699年(元禄12)刊『役者口三味線(やくしゃくちじゃみせん)』(京・八文字(はちもんじ)屋刊)で、ほぼ一定の型を備えるに至る。
 書物の体裁は、京・江戸・大坂をそれぞれ一冊とする三冊本、黒表紙小形の横本形式。役者を役柄で分類し、それぞれの役者に「位付(くらいづけ)」と称する評価(極上上吉、上上吉、上上半白吉、上上、上など)を与え、当該年度の所属座を明記する。評判は、「ひいき」「わる口」などが登場して、褒貶(ほうへん)さまざまの印象を述べ批評しあうのを、「頭取(とうどり)」が出て「まあまあ」ととりなす形式をとることにより、役者を褒めることに主眼を置きながら、批判も盛り込めるようになっていた。役者中心の構造をもつ歌舞伎史を知るうえで、欠くことのできない重要資料である。[服部幸雄]
『歌舞伎評判記研究会編『歌舞伎評判記集成』(第1期10巻・別巻1〈『野郎虫』から享保末年まで〉1972~77、第2期10巻・別巻1〈元文2年の『役者多名卸』から明和末年まで〉1987~95・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典

やくしゃ‐ひょうばんき ‥ヒャウバンキ【役者評判記】
〘名〙 江戸時代から明治初期にかけて、京都・大坂・江戸の三都を中心に刊行された歌舞伎役者の容色や技芸を評した書。元祿一二年(一六九九)刊の「役者口三味線」以後、三都別に三冊一部として、年二回刊行が原則となる。書物の形式をとったものとしては明暦二年(一六五六)版「役者の噂」が最古だが、初期のものは野郎評判記として区別される。役者評判。
※洒落本・辰巳之園(1770)「黒ひ 役者評判記より出たり。の事

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