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帰納【きのう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

帰納
きのう
epagōgē; induction
個々の事例の観察からこれを含む一般命題を確立する推理演繹に対する。完全帰納 (結論にいたるためのすべての事例を枚挙しうる場合) と不完全帰納 (事例のすべてを尽していない) の2種がある。前者は既知の事実の列挙にとどまるから演繹的論証の一種ともいえる。後者は結論への飛躍 (帰納的飛躍) があるが新法則の発見にいたる。 J.S.ミルは後者を真の帰納とみる。帰納的飛躍は自然の運行が空間的にも時間的にも斉一であることを前提とする。「すべてのAはBである」という結論が数的にも時空的にも限定されず一般的に適用されるとき,この一般命題は自然法則と呼ばれる。帰納による科学的研究法を帰納法という。ソクラテスの概念構成の仕方 epagōgēを最初とするが,アリストテレスが完成し,F.ベーコンが近代的発展の道を開き,さらにミルが発展させた。実験的探究に関するミルの一致法,差異法,一致差異併用法,剰余法,共変法の公理は特に有名である。ベーコン,ミルの帰納法を帰納論理学とも呼ぶが,R.カルナップの帰納論理学は仮説が結果によって確証される程度を明らかにするものである。また数学的帰納法は,命題 Pnがすべての自然数nに対して成り立つことを証明する方法である。

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デジタル大辞泉

き‐のう〔‐ナフ〕【帰納】
[名](スル)個々の具体的な事例から一般に通用するような原理・法則などを導き出すこと。「以上の事実から次の結論が帰納される」⇔演繹(えんえき)

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

きのう【帰納】
ギリシア語のepagōgē,ラテン語のinductioに由来するヨーロッパ語(英語のinductionなど)の訳語。もともとは〈上方に導くこと〉を意味したが,現在では,より特殊的な事例からより一般的な法則を導き出すこと,という意味で用いられる。その点で,より一般的な事態からより特殊的な事態を推理(推論)する演繹と対比的に用いられることが多い。人間の推理方法には,この二つの推理,すなわち,一般から特殊を導く演繹的推理と,特殊から一般を導く帰納的推理inductive inference(reasoning)が存在し,しかも,それらが異なる特徴をもつことを指摘したのはアリストテレスであった。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

きのう【帰納】
スル
個々の特殊な事実や命題の集まりからそこに共通する性質や関係を取り出し、一般的な命題や法則を導き出すこと。 ⇔ 演繹えんえき
反切によって漢字の音を導き出すこと。 西周にしあまね百学連環(1870~71年)で英語の induction を帰納の法と訳した

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

帰納
きのう
induction
特殊から一般を推論し、帰結すること。演繹(えんえき)、すなわち演繹的推論においては、前提が真であれば、結論も必然的に真でなければならない。これに対して、帰納においては、前提が真であるからといって、結論が真であるということは保証されていない。したがって、帰納に基づく論理、つまり帰納論理は厳密な意味では論理とはいえない。しかしながら、論理を演繹のみに限るといろいろと不都合なことがおこる。たとえば、科学理論を構成するに際しては、実験データや観測データから出発して理論が組み立てられるといわれている。つまり、データから理論が演繹されるのではなく、帰納される。
 データから理論へというこのプロセスを整理し、演繹論理とは別の論理、すなわち帰納論理を定式化しようという試みはF・ベーコンに始まり、J・S・ミルを経て、いまでは近代論理学の一分野として、統計学とも結び付いて活発に研究されている。
 とはいっても、理論物理学のような理論的科学においては、帰納によってデータから理論が構成されるわけではない。多くの場合、まず理論が組み立てられ、そこからデータと照合することができる命題が演繹され、データに合致するかどうかによって理論が検証される。したがって、こういった理論においては、帰納あるいは帰納論理は、演繹ほど大きな役割を演じていない。[石本 新]

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精選版 日本国語大辞典

き‐のう ‥ナフ【帰納】
〘名〙
① (━する) 個々の観察された事例から、一般に通ずるような法則を導き出すこと。⇔演繹(えんえき)
※百学連環(1870‐71頃)〈西周〉総論「其改革の法たる如何となれば、induction (〈注〉帰納の法)なるあり。此の帰納の法を知るを要せんには」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生と虚空「先生はかう云った事を吾々の精神的感覚を土台にして、だんだん帰納して行きつつあった」
② 名のりの時、文字の反切(はんせつ)に五行を配して、吉凶を判定すること。
※授業編(1783)三「韻鏡の反切、〈略〉何々の二字の帰納は某(それ)の字にこそなれと、帰納の字ばかりを書付つかわす事もあり」
③ よせ集めること。
[語誌]induction を「帰納法」と訳した例は①に挙げた「百学連環」に見えるが、この訳語が「哲学字彙」に受け継がれ、次第に定着するのに伴い、「する」を伴ってサ変動詞として、また、「帰納的」という形で形容動詞として用いられるようになった。

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