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屋敷【やしき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

屋敷
やしき
家屋そのものをいう場合もあるが,普通には母屋を中心とした諸施設を収容する一定区画の土地,いわゆる屋敷地をさす。イジ (居地) ,カマチ,カコイなどの呼び方をするところもある。たいてい周囲には垣根や土塀がめぐらしてあり,堀を掘って外からの侵入を防ごうとしたものもある。屋敷内の建築施設としては,母屋のほか,釜屋,風呂,便所,土蔵,仕事小屋,堆肥小屋,家畜小屋などがある。隠居屋やりっぱな長屋門などを備えているもの,戌亥の隅などに小祠を建てて屋敷神を奉斎しているものも多い。東北地方の曲屋 (まがりや) や飛騨の合掌造など大きな建物の場合には,これらの付属屋の多くが母屋に含まれているが,一般的には別棟になっていることが多く,時代をさかのぼるほどそれが顕著であった。屋敷内には,建築物のほか,しばしば作業場として使ったり,苗床,温床を設ける広い前庭や,菜園,防風,防暑などを目的とする屋敷林などがある。都市部や漁山村のものに比べて,農村部の屋敷は一般的に広くて付属施設も多く,そこは居住の場であるとともに,生産物を調整・保存する機能ももつ。屋敷地の広狭や諸施設の種類,数,配置などは,立地条件や生業形態と密接に関連しているが,陰陽道による家相に基づいて決められる場合もある。また,家格や財産の有無などにも大きく左右され,母屋の大きさ,土蔵の数,門構え,屋敷林の大きさなどは,家格,財産の象徴ともなっている。近世の町屋には地割が定められており,間口の広さが課税の基準とされたこともある。一方,借地,借家に住む者は,都市においても村落においても厳密には正規の構成員と認められず,この傾向は近年まで続いていた。その意味では,まず屋敷を所有することが,独立した家として認められるための基本的な条件であったといえる。

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デジタル大辞泉

や‐しき【屋敷】
家が建っている一区切りの土地。家屋なども含めていう。「家屋敷を手放す」
土地も広く、りっぱなつくりの大きな家。邸宅。「堂々とした門構えの屋敷
武家屋敷」の略。「下(しも)屋敷
家を建てるための土地。邸宅。
「国に―など、永代限りて宛て給ひけり」〈著聞集・一〉
[下接語]空き屋敷家屋敷オランダ屋敷角(かど)屋敷上(かみ)屋敷組屋敷蔵屋敷下(しも)屋敷新屋敷大名屋敷唐人屋敷中屋敷化け物屋敷花屋敷控え屋敷武家屋敷牢(ろう)屋敷

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世界大百科事典 第2版

やしき【屋敷】
家の建っている敷地。
[中世]
 古くは家地,屋地(やち)ともいわれた。屋敷の語は平安後期から史料上にあらわれ,延久3年(1071)6月25日付播磨国大掾秦為辰解(げ)案に,〈件の畠,先祖相伝の領地屋敷たるなり〉とあるのが文書史料上の初見。領主,僧侶,神官,百姓をとわず,家の建つ敷地は屋敷と呼ばれ,また本宅だけでなく別業田屋などの立つ場も屋敷の語で表現された。屋敷は,百姓の場合家屋と庭と若干の菜園をもって構成され,面積も1~2反程度のものが多く,簡単な垣などで外界と区別され,屋敷神の守護する聖域という観念と表裏の関係で,年貢については賦課を行わない場と認められていた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

やしき【屋敷】
家の建っている土地の一区画。また、その中の家。特に、大きな家。
家を建てるべき土地。 「あなたに、ひろひろとした-をとつておかせられてござるほどに/狂言・武悪」
本宅以外に設けた敷地や家屋。また、諸藩が本拠地以外に設けた藩邸。 「裏に-を何程か建て出し/浮世草子・桜陰比事 2
武家屋敷」に同じ。 「後呼びの内儀は今度は-から(支考)/続猿蓑」
屋敷者」の略。 「 -も町も嬉しがり/滑稽本・根無草後編」

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日本の地名がわかる事典

〔宮城県〕屋敷(やしき)

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日本大百科全書(ニッポニカ)

屋敷
やしき
主屋(おもや)をはじめ生活や生産に必要な諸施設を配した一構えの土地。「やがまえ」「かいと(垣内)」などとよぶ地方もある。屋敷の入口を「じょうのくち」といい、悪霊や疫病をそこで防ぐ所と解せられた。地方によってはそこに長屋門を建てることもある。一般に季節風の方向を考えて、周辺に屋敷林を植えてこれを防ぐ。北西とか北を重視することが多い。ところが北陸地方では、冬の季節風は北西風が多いが、それが中央山脈に突き当たり、強さを増して南東から逆流して吹き付ける。そのためその方向にも厚く高い防風林を植える。したがって屋敷内に太陽光線が射入するのに妨害となる。それが種々の地方病を誘発する。屋敷林は防風だけでなく、防雪の役目も果たすし、古来薪炭(しんたん)材や建築用材の供給にも有効である。東北地方の平坦(へいたん)地ではそのため屋敷林を高く繁茂させる。これをイグネとよんでいる。武蔵野(むさしの)台地でも、ケヤキの大木で屋敷を守る風習があった。そのケヤキ林は一種の家格を示す象徴とも考えられ、ケヤキダイジンの呼称もあった。山陰地方の築地松(ついじまつ)は一種の防風林であるが、角型に美しく刈り込んでいるので、集落の景観に特色を示している。屋敷の中央付近に主屋を建て、その北西隅(戌亥(いぬい)の方角)に土蔵を設けるのをもって福徳とするという習俗は、かなり広い地域に分布している。屋敷の北東隅(丑寅(うしとら)の方角)は鬼門にあたるとして、屋敷神の祠(ほこら)を祀(まつ)る地方もかなりある。主屋の前の空き地をオモテとかソトニワといい、穀物の干し場その他になくてはならないものとされる。主屋の左右をコヒラ、背後をセドヤとよぶが、ときにはオモテの一部をツボニワとする。
 主屋以外、屋敷のなかには、厩(うまや)、作業場(こなしば)、納屋、物置、風呂(ふろ)場、便所、ぬか屋(籾殻(もみがら)置き場)、みそ部屋、薪(まき)小屋、堆肥(たいひ)舎、灰小屋などが随所に配置される。その配置方法については家相の支配を受けることが多い。東北地方から関東にかけては、屋敷は比較的広く小屋の数も多いが、西に行くにしたがって、これと反対になる傾向がみられ、また屋敷林よりも付属施設で屋敷を囲う場合が多い。[竹内芳太郎]

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精選版 日本国語大辞典

や‐しき【屋敷】
〘名〙
① 家屋を建てるべき地所。また、そこを含む地域。屋敷地。宅地。
※東寺百合文書‐ヰ・延久三年(1071)六月二五日・大掾秦辰解案「右件畠、為先祖相伝領地屋敷也」
② 家の建っているひと区切りの地。また、その中にある田畑や家屋。
※源平盛衰記(14C前)一〇「屋敷(ヤシキ)は昔に替らねども」
※東武実録(1684)五「屋敷之内に、町人并無主置候事堅停止に候」
④ 本宅の外に、別の地に設けた家。また、諸藩が本拠とする土地以外に建てた藩邸。
※随筆・折たく柴の記(1716頃)中「西国の大名の家人等、外使来らむを送りし後は、をのをの大坂の屋敷に帰りて」
⑤ 大きな住宅。立派な構えの家。邸宅。御屋敷。
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「とある邸内にもぐり込んだ。〈略〉偖(さて)(やしき)へは忍び込んだものの」
⑥ 「やしきもの(屋敷者)」の略。御屋敷。
※俳諧・続猿蓑(1698)上「後呼(のちよび)の内儀は今度屋敷から〈支考〉 喧𠵅のさたもむざとせられぬ〈惟然〉」

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