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寄生虫【きせいちゅう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

寄生虫
きせいちゅう
parasite
他の動物体内または体外付着して栄養をとり,生活する動物。一般に付着のための,吸器などをそなえ,運動器官感覚器官などが消失している。特に内部寄生虫では消化管やその付属器官が単純化し,ときには消失している。類により,宿主,寄生部位に特異性があり,また一生を同一宿主で生活する種と,一時的に生活する種がある。中間宿主をもつ種ではしばしば発生が複雑で,著しい変態や幼生生殖が営まれる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

きせい‐ちゅう【寄生虫】
寄生生活をする小動物。体内に寄生する回虫蟯虫(ぎょうちゅう)肺吸虫条虫などの内部寄生虫と、体表に寄生するノミシラミダニなどの外部寄生虫があるが、前者をさすことが多い。
自分では働かず、他人に依存して生活している者。「業界の寄生虫

出典:小学館
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栄養・生化学辞典

寄生虫
 一般に比較的高等な生物に寄生する微生物を除く下等な生物.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

きせいちゅう【寄生虫 parasite】
ある生物が他の生物の体表または体内で,一時的または持続的にその生命現象を営む場合,前者を寄生体,後者を宿主と呼ぶ。寄生体のうち,寄生虫と呼ばれるものには,単細胞性の原生動物(原虫)と多細胞性の後生動物がある。このうち,宿主の体表あるいは皮膚内に一時的あるいは長期にわたって寄生生活を行うものを外部寄生虫ectoparasite,体内に寄生するものを内部寄生虫endoparasiteという。後生動物には袋形動物扁形動物節足動物などが含まれるが,前2者には内部寄生虫として重要なものが多く,まとめて蠕虫(ぜんちゆう)類と呼ばれる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

きせいちゅう【寄生虫】
寄生生活をする動物。宿主の体の内部に寄生するもの(カイチュウ・サナダムシなど)と外部に寄生するもの(ナンキンムシ・ダニなど)とに分ける。寄生動物。
他人の財産を食い物にし、また他人の労力などに頼って生活する者。 「社会の-」

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

寄生虫
きせいちゅう
parasite
寄生虫は、宿主(しゅくしゅ)とよばれる他の種類の生物に環境と食物を依存している動物である。医学・獣医学領域では、原生動物、扁形(へんけい)動物、線形動物、鉤頭(こうとう)動物、節足動物のうちでヒトや家畜・家禽(かきん)などの脊椎(せきつい)動物に寄生する動物を寄生虫というが、このほかにも寄生生活を営む動物は多数みられ、無脊椎動物の綱のうちで寄生種を含まない綱はないといっても過言ではない。ここでは医学・獣医学で扱う寄生虫について述べる。
 寄生虫は種類によってそれぞれ固有の宿主をもち、その宿主の一定の部位に寄生する。宿主の体表に寄生するものを外部寄生虫、体内に寄生するものを内部寄生虫という。吸血のために一時的に宿主の体表に止まるカなども外部寄生虫として取り扱うことがある。寄生生活に適応するにつれて、吸虫や条虫のように宿主の寄生部位に付着するために吸盤や鉤(かぎ)などが発達し、運動器官や感覚器官は退化し、条虫や鉤頭虫のように消化器官がまったく消失したものもある。一方、生殖器官は非常に発達し、体の大部分を占め、1日に10万個以上の卵を産むものもある。原生動物では、宿主体外に排出されたりして環境条件が悪化すると、ふくろ(嚢)をかぶって抵抗型の嚢子(のうし)となり、これが宿主体内に入ってふたたび環境がよくなると栄養型となり、活発に運動し食物をとって増殖する。外部寄生虫も寄生生活に適応して著しく変形を遂げた種類がみられる。[町田昌昭]

発育環

生活史あるいは生活環ともいう。寄生虫は種類によってそれぞれ特有の発育環をもっているが、かならず1種類以上の宿主を必要とする。寄生虫がその体内で成熟して両性生殖を行う宿主を固有宿主(終宿主ともいう)といい、幼虫期に寄生する宿主を中間宿主という。中間宿主と固有宿主の間に移動宿主(延長中間宿主ともいう)が介在することもある。これは寄生虫の発育にとって不可欠の宿主ではないが、固有宿主に対して有力な感染源となる。
 蟯虫(ぎょうちゅう)や鞭虫(べんちゅう)はヒトを固有宿主とし、その発育には中間宿主を必要とせず、体外に排出された卵がふたたびヒトの口から入って感染する。ウェステルマン肺吸虫はヒト、イヌ、トラなどを固有宿主とし、カワニナを第一中間宿主、モクズガニやサワガニを第二中間宿主、イノシシを移動宿主とする。吸虫(二生類)の発育環では固有宿主体内で両性生殖、中間宿主体内(肺吸虫の場合第一中間宿主)で複雑な幼生生殖が行われる。このように両性生殖と幼生生殖とが交互する世代交代を混合生殖(アロイオゲネシスalloiogenesis)という。また糞(ふん)線虫のように両性生殖と単為生殖とが交互する世代交代、すなわち異常生殖(ヘテロゴニーheterogony)を営むものも知られている。[町田昌昭]

感染経路

寄生虫は固有宿主に侵入するとき一定の経路をもつ。感染力を備えた卵や幼虫が口から入る場合を経口感染、幼虫が皮膚を穿通(せんつう)して入る場合を経皮感染(マラリア、日本住血吸虫、鉤虫(こうちゅう)、糸状虫など)という。このほか母親の胎盤から胎児に移行する胎盤感染(トキソプラズマ、イヌ回虫など)や、母乳から子供に移行する経乳感染(ネコ回虫、イヌ鉤虫など)もある。[町田昌昭]

病害性

寄生虫の種類、寄生数、寄生部位などによって異なるが、ほとんど症状のないこともある。ウマの盲結腸にはおびただしい数の小形円虫類が寄生しているが、非吸血性の種類はほとんど病害性をもたない。しかしズビニ鉤虫のように、ヒトの小腸に咬着(こうちゃく)して吸血するものでは、1匹が1日に失血させる血液量は0.16~0.23ccに及ぶ。寄生数が多くなれば当然失血量も増加し、約30匹の寄生で宿主の貧血を招くという。またヒトの回虫が胆管や虫垂に迷入したり、ウェステルマン肺吸虫が脳に迷入して重篤な神経症状をおこす。このほか、寄生虫が分泌あるいは排泄(はいせつ)する物質が宿主に有害な化学的障害を与えたり、アレルギー反応による障害も考えられる。吸血性の外部寄生虫ではかゆみや皮膚炎を引き起こすほか、ウイルス、リケッチア、細菌などを媒介することもある。また本来、ヒト以外の動物を固有宿主とする寄生虫がヒトに感染していろいろな疾病の原因となることも知られている。イヌ回虫の幼虫による肝腫大(しゅだい)、アニサキスの幼虫による胃痛や腹痛、広東(かんとん)住血線虫の幼虫による好酸球性髄膜脳炎、有棘顎口(ゆうきょくがっこう)虫の幼虫による皮膚のみみずばれなどがある。[町田昌昭]

防除

それぞれの寄生虫の発育環のなかでもっとも防除効果のある箇所を切断する。その第一は駆虫である。たとえば幼児に蟯虫が寄生していれば、卵がさかんに放出されて、本人のみならず他の人々にも感染する。この場合幼児1人だけの駆虫でなく、家族や学校で集団駆虫を行えばなおいっそう効果があろう。次に体外に排出された卵や幼虫を殺滅する。これには糞尿処理や中間宿主の問題がかかわってくる。日本住血吸虫は中間宿主であるカタヤマガイの生息地に分布するので、日本では灌漑(かんがい)水路をコンクリート化してカタヤマガイを撲滅し大きな効果をあげている。さらに感染力を備えた卵や幼虫が固有宿主体内に侵入するのを防ぐ。たとえば蟯虫の予防には爪(つめ)を切り、手指をきれいにする習慣をつけ、下着や敷布も清潔にする。また肝吸虫や肺吸虫はそれぞれ淡水産の魚やカニが感染源となっているので、これらの生食を避けることにより感染を防除できる。[町田昌昭]

日本の寄生虫症の現状

第二次世界大戦直後の日本では、寄生虫感染率が70%を超え「寄生虫王国日本」とまでいわれたが、その後の著しい生活環境の改善によって、現在では4%台にまで低下した。しかしその内容をみると、回虫や鉤虫の感染は確かに激減したが、蟯虫の感染はいっこうに減る傾向がみられない。北海道に分布する多包条虫(エキノコックス)は、キタキツネの毛皮に条虫卵が付着していることが多いので注意を要する。また、近年の食生活の多様化やペット動物との接触から、新しい寄生虫症が登場してきた。すなわち、サバやイカの刺身から感染する「アニサキス症」、クマ肉の生食による「旋毛虫症」、ドジョウのおどり食いに原因する「顎口虫症」、ネコの糞便から感染する「トキソプラズマ症」、幼犬に由来する「イヌ回虫症」などがある。さらに、東南アジアやアフリカなどの地域に出かけ、「マラリア原虫」「アメーバ赤痢(赤痢アメーバ)」「ランブル鞭毛虫」「有鉤条虫」「無鉤条虫」「顎口虫」などに感染する例も増えている。それぞれの寄生虫項目の解説を参照されたい。[町田昌昭]

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