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実験心理学【じっけんしんりがく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

実験心理学
じっけんしんりがく
experimental psychology
実験的方法を研究の手段とする心理学の意であるが,一般的には人間の精神現象あるいは動物や人間の行動の研究に実験的方法を適用し,人為的に統制された実験室内で組織的な条件変化を加えた際の現象や行動の変化を観察,記述しようとする心理学の分野を総称していう。狭義には,心理学実験の方法そのものの組織的研究という意味にも用いられる。歴史的には,19世紀,G.T.フェヒナー精神物理学を構築し,1879年,W.ブントライプチヒ大学に世界最初の心理学実験室を設けたときに,実験心理学の基礎が確立されたといわれている。

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デジタル大辞泉

じっけん‐しんりがく【実験心理学】
精神現象および行動の研究に実験的方法を用いる心理学。方法による区分なので、研究領域は限定されないが、一般に知覚学習についての基礎的研究をさすことが多い。

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監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

じっけんしんりがく【実験心理学 experimental psychology】
心理学の発達とともにその意味する内容は複雑多岐にわかれ一定していないが,狭義には厳密な実験的方法によって正常な成人の感覚,知覚,記憶,学習,思考,感情などにおける一般的傾向に関して,個人的行動と言語報告からえられた事実のみによって構成された心理学を意味する。このような態度はフェヒナーの《精神物理学要論》(1860)に端を発しているが(精神物理学),ブントが形を整えた。彼はライプチヒ大学に世界最初の正式な心理学実験室を開設し(1879),この用語を使用した。

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大辞林 第三版

じっけんしんりがく【実験心理学】
精神活動や行動を実験的方法で研究する心理学の総称。一九世紀後半にフェヒナーやブントによって確立され、現代心理学の主流をなす。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

実験心理学
じっけんしんりがく
experimental psychology
思弁的心理学に対し、実験的方法を用いて研究する心理学。自然科学の実験法を採用したフェヒナーの精神物理学やブントの内観法に始まるといわれる。しかし、実験法を導入した初期には、心理学で扱う事象は感覚などの内観報告を含む実験の領域に限られていた。その後、20世紀に入ってワトソンの行動主義を契機として、複雑な高等精神機能についても実験的方法が適用されるようになり、広い領域にわたって行動の実験的研究が行われている現在では、初期の意義は失われている。広義には科学的心理学scientific psychologyと同じ意味で、研究領域も個人心理に限らず発達心理、比較心理、社会心理にわたっている。狭義には実験心理学の方法論を意味し、精神物理的測定法psychophysical method、実験美学的方法experimental aesthetic methodなどの実験法を扱い、調査、検査、臨床などの非実験法に対置して用いられることもある。また、厳密な実験的事実の集まりから構成され、直接、理論体系とは関係しないものとして、理論心理学theoretical psychologyに対置されることもある。[小川 隆]

実験心理学の発展

初期の実験心理学では、直接経験(意識)の内観introspectionが重視され、構成主義的な立場から意識内容を心的要素と対応づけることがもっぱら目ざされたが、内観には公共性を欠く点が、また人工的な心的要素の構成が批判され、明確に客観化される行動の観察、他面、心的要素の構成と離れた記述が関心をもたれるようになった。実験的行動分析experimental analysis of behaviorなど今日の行動観察では、パブロフの条件反射の実験法に影響された小単位の受動的反応に限らず、能動的な全体的行動を制御する条件づけの実験法が考案されている。一方、高次の心的過程を扱う認知心理学cognitive psychologyでは、心的過程を階層的な情報処理過程としてとらえ、直接には観察されない模型(仮説的構成)を含む事象の研究が進められている。実験心理学の方法は他の諸科学の場合と同様、実験条件の制御、観察事実(報告)の選択、実験記録(報告)の処理に関係する。今日では学際科学の進歩を取り入れた実験装置、記録装置の改良、実験計画法design of experimentsの利用が実験方法をいっそう精緻(せいち)にしている。[小川 隆]

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精選版 日本国語大辞典

じっけん‐しんりがく【実験心理学】
〘名〙 生物体の精神現象および行動の研究に実験的方法を用いる心理学。一九世紀の後半、ブントが旧来の思弁的心理学に反対して主張し、その後の心理学の発達の基礎をつくった。〔哲学階梯(1887)〕

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最新 心理学事典

じっけんしんりがく
実験心理学
experimental psychology
実験心理学とは,実験を研究の手段とし,その成果に基づいた心理学であり,比較的早い時期に実験法を導入した研究領域をその名でよぶ。また,心理学における実験法を指すこともある。

 実験心理学の成立は,ブントWundt,W.がライプチヒ大学に創設した心理学実験室が世界で初めて公認された1879年をその誕生とするのが通例であるが,フェヒナーFechner,G.T.が『精神物理学原論Elemente der Psychophysik』を著わした1860年を始まりとすることもできる。彼が用いた感覚の数量的測定をめざす精神物理学的測定法psychophysical methodはきわめて手堅い客観的な方法であり,今日でも広く感覚や知覚の研究に用いられている。またドンデルスDonders,F.C.(1868)は,反応時間reaction timeの精密な測定を試み,弁別課題を与えた時と単純な反応時間の差から,弁別に要する精神過程の時間を測定する減算法subtraction methodを提唱した。また当時はヘルムホルツHelmholtz,H.らの感覚生理学研究が盛んになった時代でもあった。これらが実験心理学成立の歴史的背景をなしている。

 ブントは心理学の研究対象を直接経験すなわち意識consciousness(英),Bewusstsein(独)であると定義した。彼は心理学者が各自の意識を観察し,分析して,心理学の基本データとする内観法introspection(英),Selbstbeobachtung(独)を提唱した。しかし,内観法で研究できる問題は限られている。ブント自身も精神物理学的測定法や反応時間測定法を広く用い,幼児や動物の心理状態にも考察を広げている。続いてエビングハウスEbbinghaus,H.(1885)はフェヒナーに啓発されて,実験的・数量的方法を記憶の問題に適用した。

 20世紀に入ると,ウェルトハイマーWertheimer,M.(1912)の仮現運動の研究を契機に誕生したゲシュタルト心理学Gestalt psychologyは,分析的内観よりも,現象的観察を重んじ,知覚研究などに大きな影響を与えた。さらにワトソンWatson,J.B.(1913)が主張した行動主義behaviorismでは,刺激stimulusと反応responseの関係を明らかにして,刺激により反応を予測し統制することを心理学の課題であるとした。その後トールマンTolman,E.C.(1932),ハルHull,C.L.(1943)などの新行動主義neo-behaviorismでは,独立変数である刺激などの条件と従属変数である行動との間に仮説的な仲介変数(媒介変数)intervening variableを介在させて,独立変数と従属変数を間接的に結びつけようとした。彼らが考えた仲介変数は,有機体の習慣や動機であった。さらに,1970年代からは心理過程を情報処理過程とみなす認知心理学cognitive psychologyが盛んになり,とくに注意,心像,記憶,思考研究に大きな影響を与えている。

 実験心理学の研究対象である感覚,知覚,学習,記憶,注意,認知,要求,感情,情動,思考などは,他者が観察できるものではない。独立変数である刺激などの条件と従属変数である反応の間に仮定される仲介変数と考えられる。実験心理学では,多くの場合,実験室中で実験装置を用いて,単純で特殊な条件を計画的に作り,それを組織的に変化し,反応を測定器を用いて厳密に測定して,条件と結果との関数関係を追究する。実験は同一条件において繰り返すことが可能であり,実験回数を増やして信頼性を高め,異なった研究者によって独立に反復検証することで客観性を高められる。また,特定の仮説を検証するために最も適した条件を意図的に設定することもある。

 ブント時代の内観法と異なり,今日の心理学では実験者と研究対象の人とは別人である。実験の対象となる人は被験者subject(S)(英),Versuchsperson(Vp.)(独),実験参加者participant(実験協力者)などとよばれる。また研究テーマによっては観察者observer(O)(英),Beobachter(独)ともよばれる。被験者のプライバシーと人権を尊重し,精神的・身体的危害を与えないように万全の注意が必要である。遺伝的素因や生育歴,生活環境などの厳密な統制が容易な動物を被験体として使う場合もある。 →研究者倫理 →心理学史 →精神物理学的測定法
〔大山 正〕

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