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実在論【じつざいろん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

実在論
じつざいろん
realismus
意識現象のほかになんらかの実在 realitasを認め,その認識が可能であるとする存在論,認識論の立場。存在論的には当の実在を物的なものとみる唯物論 (レウキッポス,ルクレチウス,近世以後の自然科学,マルクス) ,物的なものと霊的なものとみる二元論 (デカルト) ,霊的なものとみる唯心論 (プロチノス,ライプニッツ,バークリー,ラシュリエ) に分けられる。中世の普遍論争において実在論とは個に先立って普遍者が実在するという立場であり,その源流は普遍的本質であるイデアを真実在としたプラトンにあり,観念実在論すなわち実念論と呼ばれる (エリウゲナ,アンセルムス,マルブランシュ) 。この意味の実在論は唯物論,概念論と対立し,客観的観念論と等しい。認識論的には観念論と対立し,日常的体験にみられるように対象が知覚されるとおりに実在するとする素朴実在論,感覚所与に批判を加えることで実在を措定しようとする批判的実在論 (E. v.ハルトマン,キュルペ,ラブジョイ,サンタヤナ) などがある。存在論と認識論は密接な関係にあるが,たとえばカントは物自体の実在を認めるがその認識可能性を否定するから認識論的には不可知論であって,存在論的実在論が必ず認識論的実在論をとるわけではない。現代は実在論が主流となる傾向にあり,代表的な思潮としてはマルクス主義の史的唯物論,新トミズム,ラッセル,ムーアら英米で盛んな新実在論などがあり,現象学や実存哲学もこの傾向に貢献している。

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デジタル大辞泉

じつざい‐ろん【実在論】
意識・主観を超えた独立の客観的実在を認め、このような実在をとらえることにおいて認識が成立すると説く立場。唯物論は物質を実在とし、客観的観念論は理念を実在とする。リアリズム
実念論

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

じつざいろん【実在論 realism】
原語は〈ものres〉に由来し,〈ものの実際の,真実のすがたrealitas,reality〉を把握しているとする立場。観念論に対立する。訳語は明治初期の実体論,実有論を経て,ほぼ20世紀初頭に実在論として定着。中世の普遍論争において,類や種などのカテゴリーすなわち普遍概念を〈実在的なものrealia〉とみなす実念論(概念実在論)者realen,realistaと,個々の事物の実在性を認め普遍的概念は〈声vox〉〈名nomen〉に過ぎぬとする唯名論(名目論)者nominalenとの対立があり,最初の実在論はこの実念論に当たる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じつざいろん【実在論】
意識や主観を超えた独立の実在を認め、何らかの意味でそれとかかわることによって認識や世界が成立すると説く立場。唯物論は物質を実在とし、プラトンなど客観的観念論は理念を実在とするが、それぞれ実在論の一つといえる。リアリズム。 → 観念論唯物論
普遍に関する実在論としては、「人間」「動物」などの普遍概念に対応する普遍的なものが、個物とは別に、何らか存在することを主張する立場。中世哲学における実在論。概念実在論。実念論。 → 唯名論普遍論争

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日本大百科全書(ニッポニカ)

実在論
じつざいろん
realism
哲学上のリアリズムrealismの訳語。認識論の考え方で、意識、主観とは独立の客観的存在を認め、それを正しい認識の目的、基準とする立場。観念論と対立するが、普遍概念の実在を認める意味での実在論はかならずしも観念論と対立しない。すなわち、個々の机や三角形の図形などの個物に対して、机一般、三角形一般などの抽象的普遍概念の実在を認める立場も実在論とよばれるときがある。しかし、それは経験的実在としての個物とは異なった、超越的、観念的対象を認める点では観念論的である。そこで、この傾向には、個物以外に普遍の実在を認めない唯名(ゆいめい)論に対立する用語としての「実念論」という名称が適切である。普遍の問題を別にして、実在論には次のような立場と問題が指摘される。
〔1〕素朴実在論 知覚、経験をそのまま実在と考える立場。素朴な形而上(けいじじょう)学的唯物論などにみられる傾向だが、心理的な「錯覚」などに基づく直接所与(しょよ)の主観性、相対性を理由に疑問視されることがまれでない。
〔2〕科学的実在論 色、匂(にお)い、寒暖などの主観的な第二性質の背後に、実在の客観的性質として物理的な延長、固体性、運動などの第一性質を考える傾向(ガッサンディ、ロックら)があり、認識の近代科学による説明と物質の機械観的な考察の進展に応じて有力となった。しかし、経験的対象としては、第一性質が第二性質と同様に主観と相対的なことも明らかであり、延長や運動それ自体は経験からの抽象の所産である。しかも、科学的探究は実在的性質の定義を不断に変化させる。以上の点で、この立場も問題をもつ。
〔3〕カントとそれ以後の立場 そこで、さらにカントは第一性質も含めた経験的認識の全対象を「現象」として、その背後に認識の可能性を超えた「物自体」を想定した。カント以後の多様な実在論の立場は、物自体という問題の概念をめぐって生まれたともいえる。さらに19世紀から20世紀にかけて、ヘーゲルを頂点とするドイツ観念論への反動、批判として、全ヨーロッパに多彩な実在論、実証主義の立場が生じた。カントをいちだんと実在論的に解釈しようとする新カント学派のある者(A・リール、N・ハルトマンら)、唯物論、模写説を主張しながらも、素朴実在論と客観の静的な認識という考えを捨てて、動的な科学的実在論の立場をとる弁証法的唯物論などがその例である。
〔4〕現代英米哲学の実在論 以上のヨーロッパ大陸、とくにドイツを中心とした流れのほかに、英米に有力な現代実在論がある。すなわち、20世紀初頭のケンブリッジ分析学派(ラッセル、ムーア、ウィットゲンシュタインら)は、イギリス・ヘーゲル学派の観念論への批判として台頭し、アメリカの現代実在論とともに新実在論とよばれる。後者は共同論集『新実在論』The New Realism(1912)を刊行したペリー、スポールディングら6人の見地で、彼らはプラグマティズムの真理観も主観的と考え、抽象的対象も含めた広義の客観が意識から独立であることを認め、それと外的関係において認識は成り立つと考えた。以上は一括して批判的実在論ともいわれるが、この名称は、狭くはイギリスのヒックスと、とくに『批判実在論論集』Essays in Critical Realism(1920)を共同研究の成果として刊行した7人のアメリカ哲学者(サンタヤーナ、ラブジョイら)をいう。彼らは主観主義の誤謬(ごびゅう)を指摘するとともに、ペリーらの極端な実在論も批判し、知覚作用、性質複合としての所与、知覚の対象の三者の区別と存在を認める。
 プラグマティズムも一種の経験的実在論といえるが、さらにケンブリッジ分析学派の影響を受けた論理実証主義、また同学派のムーアと、後期ウィットゲンシュタインの流れをくむイギリス日常言語学派の傾向は、経験的実在論としてもきわめて重要な論点を宿す。論理実証主義は、実在論と観念論および両者の対立そのものが、言語の用法の混乱から生ずる形而上学的擬似問題と考える。また後期ウィットゲンシュタインは、外的対象の実在の確実性はもはやその証拠の底がつき、正当化を不要、不可能とする生(せい)の根源的形式と考える。また日常言語学派のなかには、哲学用語による非日常的な抽象的概括化を離れれば、経験的対象の実在を認める常識的立場を自然と考える者、オースティンのように「錯覚」による実在論の批判を不当とする見地もある。
 前記の傾向の意義としては、以下のような点があげられる。(1)常識哲学の実在論の洗練であり、(2)経験の背後の原理的に非経験的な実在との関係を論ずる、伝統的傾向の根本的難点を排し、(3)概念実在論のように科学的諸性質や法則を実体化せずに、それらを経験から抽象され構成された記号体系と考える。とくにプラグマティズムは、この種の契機を経験理解のための道具、手段とみる柔軟で融通の効く観点をとっている。[杖下隆英]

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精選版 日本国語大辞典

じつざい‐ろん【実在論】
〘名〙
① 認識論の考え方で、意識・主観とは異なった独立の客観的存在を認め、それを正しい認識の対象または基準とするもの。知覚や経験の内容をそのまま実在と考える素朴実在論をはじめとして、色・かおりなどの主観的知覚の背後に物理的実在を考えるロックの科学的実在論、カントの経験的実在論、ラシュリエの唯心論的実在論、イギリスの新実在論、アメリカの批判的実在論など、時代的・地域的にさまざまの立場がある。リアリズム。
※自識録(1900)〈西村茂樹〉「実在論とは天地間の万事万物は皆真実に存在すと云ふ者なり」

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