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【かばね】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


かばね
古代日本における氏族称号 (おみ) , (むらじ) ,君 (きみ) , (おびと) など三十種近くに上る。大和朝廷の国家統一が進むにつれて,姓は朝廷から諸豪族に授けられ,改められて次第に尊卑を表わすようになった。皇諸氏には臣,神別諸氏には連が与えられ,その最有力者の大臣,大連が朝政をとった。天武 13 (684) 年,従来の姓を真人 (まひと) ,朝臣 (あそみ) ,宿禰 (すくね) ,忌寸 (いみき) ,道師 (みちのし) ,臣,連,稲置 (いなぎ) の8種に整理統合し,朝廷から与えて家格を秩序づけた (→八色の姓 ) 。平安時代になると,皇子賜姓に朝臣が,遠い皇胤には真人が与えられ,その順位も転倒するなど,姓本来の意義は薄れた。

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せい
surname
家族,一族に固有の名。個人名に比べて発生は新しく,また,世界中どこにでもあるという習慣でもない。日本では明治維新で全国民が姓をもつようになった。西洋でも,ローマを別とすると中世以後 (イギリスドイツでは 11世紀頃から) ,姓をもつ習慣が最初は貴族階級から始り,次第に一般化した。世襲の姓ではなく本人一代限りの添え名を個人名のほかに周囲から与えられたり自分でつけたりする習慣をもつ社会も多い。添え名には本人の特徴を記述したり功績を記念したりするもの,父親の名を取るもの,居住地や職業を表わすものなどのタイプがあり,それが世襲化すると姓になる。

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デジタル大辞泉

かばね【姓】
上代、氏(うじ)を尊んだ称。氏そのもの、または朝臣(あそみ)宿禰(すくね)など、氏の下に付けてよぶものをいう。また、両者をあわせたものをも「かばね」とよぶ。狭義には、朝臣・宿禰などのことをさす。古代の「かばね」には、臣(おみ)連(むらじ)造(みやつこ)君(きみ)直(あたえ)など数十種あり、氏の出自によるものと、氏の職業に与えられたものとがある。
天武天皇13年(684)の八色(やくさ)の制で定められたもの。真人(まひと)朝臣宿禰忌寸(いみき)道師(みちのし)臣(おみ)連(むらじ)・稲置(いなぎ)の「かばね」を諸臣に与えて、氏族の身分秩序を確立しようとしたもの。

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しょう〔シヤウ〕【姓】
氏(うじ)。名字。せい。
「―はむばらになむありける」〈大和・一四七〉

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せい【姓】
名字(みょうじ)。氏(うじ)。「が変わる」
かばね(姓)

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せい【姓】[漢字項目]
常用漢字] [音]セイ(漢) ショウ(シャウ)(呉) [訓]かばね
〈セイ〉
同じ血統を表す、一族の名。「百姓同姓不婚
名字。「姓氏姓名改姓旧姓他姓
〈ショウ〉に同じ。「小姓素姓(すじょう)百姓
[名のり]うじ

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そう〔サウ〕【姓】
《「しょう」の直音表記》「せい(姓)1」に同じ。
「帝(みかど)の御子、三春といふ―を賜はりて」〈宇津保・藤原の君〉

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世界大百科事典 第2版

かばね【姓】
日本古代の豪族が氏名のもとにつけた称号。古代国家における政治的・社会的な位置の上下関係をあらわし,一族が世襲した。姓には,(おみ),(むらじ),(きみ),(あたい),(みやつこ),(ふひと)など多数があり,古くは公的・私的に用いられた尊称や称呼であったものに由来する。姓の君や(わけ)は,かつて首長を意味する豪族の尊称や称号,連はムラ(村)ジ(主)をあらわす尊称,(おびと)は集団のカシラ(頭)を示しオホヒト(大人)に語源をもつ統率者の称呼と考えられるが,大和国家の発展にともなって,諸豪族が朝廷のもとに組織づけられるようになると,かつての尊号や称号が一定の政治的・社会的な上下関係を示す称号として,秩序あるものとなってきた。

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せい【姓】
律令時代に中央の貴族から地方の農民に至るまで,全国の人々に付与された呼称。姓は朝臣(あそん),宿禰(すくね),臣(おみ),連(むらじ)などのカバネ((かばね))そのものを指すのではなく,またカバネが支配階級を構成する氏(うじ)に与えられた称号であるのと違って,姓は地方の一般人民にまで広く授与された公的な呼称である。姓が初めて全国の人民にいっせいに付与されたのは,庚午年籍(こうごねんじやく)とよばれる戸籍が作成された670年(天智9)のことであった。

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せい【姓】

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大辞林 第三版

かばね【姓】
古代の豪族が氏うじの下につけた称号。臣おみ・連むらじ・造みやつこ・直あたい・首おびと・史ふびと・吉士きしなど三十種余に及ぶ。古くは氏人が氏の長おさに付した尊称であったが、朝廷のもとに諸豪族が組織づけられるにつれて政治的・社会的な序列を示すものとなり、世襲されるようになった(氏姓制度)。684年、天武天皇が八色やくさの姓を定め、皇親を中心として再編成したが、氏よりも家いえに分裂する傾向が強まる中で自然消滅した。
うじ皇胤なれど-給ひてただ人にて仕へて/大鏡 基経

出典:三省堂
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しょう【姓】
呉音
うじ。苗字みようじ。かばね。せい。 -はむばらになむありける/大和 147

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せい【姓】
その家の名。名字みようじ母方の-を名乗る
かばね。
[句項目] 姓を冒す

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日本大百科全書(ニッポニカ)


かばね
古代の豪族・貴族が、その氏(うじ)の名に添えて家柄を示したもの。語源については、「あがめな(崇名)」「かばね(骨)」などからきているとして国語で解する説と、古代朝鮮語の「骨」すなわち族の意味をもつkyriの音をとったとする説があるが、後者が有力である。
 姓の起源は、首長(しゅちょう)や部族の長に対する尊称である彦(ひこ)、耳(みみ)、主(ぬし)、玉(たま)、根子(ねこ)、別(わけ)などにさかのぼり、これらは原始的姓とよばれることもあるが、原始的姓は私的な称号であり、天皇から授与ないしは承認され氏によって世襲された姓とは性格を異にする。
 原始的姓の間にはもともと上下尊卑の別はなかったが、大和(やまと)朝廷の統一支配の進展につれて、豪族の多くが氏という政治的な集団に編成されてくると、氏による職業の世襲と氏々の朝廷における地位・序列がおのずから定まり、それに伴って姓の制度が整えられ、姓間の尊卑もおよそ定まった。
 姓は朝廷における氏々の世襲の職業、政治的地位、家柄を示すものとして約30の種類があったが、姓の制度の形成に大きな影響を与えたのが百済(くだら)から輸入された部民(べみん)制である。部民制の導入によって大和朝廷の支配組織は飛躍的に進展し、氏々の朝廷の職務の分担・世襲や統属関係がいっそう明確となり、それに応じて部民を統率する伴造(とものみやつこ)の氏々に連(むらじ)・造(みやつこ)などの姓が授与されていった。また、大王(おおきみ)という称号の成立も、姓制度の発生に密接なかかわりを有している。
 大和朝廷の君主は7世紀以後天皇とよばれたが、それ以前は大王といい、さらに古くは一般の豪族と同じ称号を称し、称号や尊称の点で一般の豪族と違いがなかった。ところが5世紀中葉ころより大王という優越的な称号を称して、一般の豪族の称号や尊称と区別し、やがて大王は姓を制定して、これを諸豪族に授与する超越的な存在となっていった。大和朝廷の君主が大王や天皇という称号を有するのみで氏の名も姓ももっていないのは、姓制度の外にあって、姓を与奪できる唯一の超越的な存在であったからである。
 姓は、初めは大伴(おおとも)・物部(もののべ)氏など世襲の職名や部名を名のる伴造の氏々を対象にして連や造などの姓が賜与された。その後、居住地の地名を氏の名とする葛城(かつらぎ)、平群(へぐり)、巨勢(こせ)、蘇我(そが)氏などに臣(おみ)が授けられ、地方の国造(くにのみやつこ)や豪族も直(あたい)や君(きみ)などの姓が与えられて、姓の制度は6世紀のころまでに大和朝廷の支配組織としてほぼ完成された。
 約30種に及ぶ姓は、その性格によって三つに大別できる。一つは連・造など伴造の氏々に与えられたもの、一つは臣・君など中央・地方の自立的な有力豪族に授けられたもの、一つは国造・県主(あがたぬし)・史(ふひと)・薬師(くすし)などの官職や、別・宿禰(すくね)などの称号が姓化したものである。大化(たいか)以前の姓のなかでは臣と連がもっとも重んじられ、それぞれの姓を有する諸氏の最有力者が大臣(おおおみ)・大連(おおむらじ)に任命されて天皇を補佐し、国政の枢要にあずかった。
 大化改新によって大臣・大連制や伴造制が廃止されて、姓と政治・職業との結び付きが断ち切られた結果、姓は単に家柄や出自を示す標識となった。さらに天武(てんむ)朝における八色姓(やくさのかばね)の制定によって、最高の姓であった臣・連はそれぞれ第六位・第七位に位置づけられ、こうして大化改新以前の姓制度は大きく改められていった。そして平安中期以降、氏が多くの家に分かれ、おのおの苗字(みょうじ)を唱えて氏の名を用いなくなると、姓を称することもしだいに廃れていった。[前之園亮一]
『太田亮著『全訂日本上代社会組織の研究』(1929・磯部甲陽堂) ▽阿部武彦著『氏姓』(1966・至文堂)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

かばね【姓】
〘名〙
① 古代豪族がその氏(うじ)の名に付けて家柄を示した称号。元来は氏人が氏上を呼ぶ尊称で、姓の間に上下の区別がなかったが、各氏の政治的地位と職掌の世襲化が進み、大和政権が姓の与奪を通して豪族統制を強めるようになって、姓に上下の別がついた。臣(おみ)・連(むらじ)・造(みやつこ)・君(きみ)・直(あたい)・史(ふひと)・県主(あがたぬし)・村主(すぐり)など。かばねな。
※古事記(712)序「境を定め邦を開きて、近淡海に制め 姓(かばね)を正し、氏を撰びて」
② 氏(うじ)。姓氏。
※書紀(720)神代下(兼方本訓)「時に、皇孫、天鈿命に勅すらく、汝顕(あらは)しつる神の名を以て姓氏(カハネ)と為(せ)ん。因て猨女君の号(な)を賜ふ」
③ 転じて、ある人の素性、家柄、血筋または家をいう。
※咄本・千里の翅(1773)賀の餠「御いんきょ様もしわい人だ。おらがかばねでさへ、二百や三百のもちはつくに、たった百の賀もちとは」
[補注]天武一三年(六八四)に、各氏の家柄や天皇にたいする政治的貢献の度合を考えて、八色(やくさ)の姓の制度が定められた。平安以後は、各氏から分かれた家(いえ)がおのおの苗字を称して、姓は公式の場合にだけ使われるようになった。

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しょう シャウ【姓】
〘名〙 (「しょう」は「姓」の呉音) 氏(うじ)。苗字(みょうじ)。かばね。せい。
※大和(947‐957頃)一四七「一人はその国にすむ男、しゃうはむばらになむありける」
※風姿花伝(1400‐02頃)四「年十五にて、大臣の位に上り、秦の性(シャウ)を下さるる」

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せい【姓】
〘名〙
① 一族。血族の集団。〔詩経‐周南・麟之趾〕
② かばね。氏(うじ)を階層づけるための称号。しょう。そう。
※続日本紀‐天平九年(737)一一月壬辰「散位正六位上大倭忌寸小東人。大外記従六位下大倭忌寸水守二人。賜姓宿禰自余族人連姓。為神宣也」
※大鏡(12C前)一「姓はなにとかいふととひ侍ければ、夏山とはましける」 〔春秋左伝‐隠公八年〕
③ その家の名字(みょうじ)
※読本・英草紙(1749)二「小生(やつがれ)姓は横尾、名は時陰」

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そう サウ【姓】
〘名〙 一門一家の共通の名称。苗字。せい。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「帝の御子、三春といふさうを給はりて」

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旺文社世界史事典 三訂版


せい
血縁的原理にもとづく同族的集団
父系によって伝えられ,祖先祭り共通にする人びとの集団として,殷 (いん) 代までの社会の基本単位であった。氏 (し) は姓よりも小さい範囲の血族集団をさすと見られるが,周代に封建制度の実施に伴い,姓よりも細分化された氏が実質的な血縁団体となり,秦・漢代にかけて両者は一し,区別のないものになった。しかし,同姓の女をめとらないという同姓不婚の原則は変わりなく固く守られた。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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小豆畑和之 石井栄二 今泉博 仮屋園巌 津野田興一 三木健詞
 
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旺文社日本史事典 三訂版


かばね
古代氏族の称号で,大和政権における政治的地位を示す名称
臣 (おみ) ・連 (むらじ) ・君・直 (あたい) ・首 (おびと) ・忌寸 (いみき) など30数種に分かれ,臣・連の中の有力者が大臣 (おおおみ) ・大連 (おおむらじ) として国政に参与した。684年天武天皇は八色の姓 (やくさのかばね) を定めて豪族の統制をはかった。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
執筆者一覧(50音順)
金澤利明 竹内秀一 藤野雅己 牧内利之 真中幹夫
 
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