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失業保険【しつぎょうほけん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

失業保険
しつぎょうほけん
unemployment insurance
社会保険制度の一種。労働者が生業を失い,労働する意思と能力をもちながら労働の機会を得られず職業につけないでいる場合,一定期間一定金額を支給してその生活を救済することを目的とした保険制度。日本では 1947年制定の失業保険法により運営されたが,74年制定の雇用保険法により,名称を雇用保険に変更。

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デジタル大辞泉

しつぎょう‐ほけん〔シツゲフ‐〕【失業保険】
労働者が失業した場合に、一定期間、一定金額の保険金を支給して、生活の安定を保障しようとする社会保険。日本では昭和22年(1947)実施、昭和50年(1975)法改正により、雇用保険となる。
俗に、失業手当のこと。「失業保険を受給する」→基本手当

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世界大百科事典 第2版

しつぎょうほけん【失業保険】
労働者が失業した場合に,その所得保障を行うことを主目的とする社会保険。資本主義経済において不可避的に発生する失業は,賃金労働にもっぱら依存する労働者にとって,生活を脅かす主要な社会的危険の一つである。それに対して保険技術を利用して備える試みは労働組合によって行われたが,これに都市が補助する制度が,1901年ベルギーのヘントで始められた。強制的国家保険としての失業保険が世界で初めて成立したのは,11年イギリスにおいてである。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

しつぎょうほけん【失業保険】
失業者の生活を救済するために、失職後の一定期間、それまでの賃金の何割かを支給した社会保険。1947年(昭和22)より実施、75年に雇用保険に変更。 → 雇用保険

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

失業保険
しつぎょうほけん
労働者が失業した場合に、一定期間の所得保障を行うことによって、労働者の生活を保障しようとする社会保険の一種である。失業保険制度では就業期間中に保険料を納付したことが失業給付の前提となるが、無拠出の失業手当制度を設けた国もある。資本主義社会では失業が長期間続くと労働者は生存の危機にさらされるため、失業保険や失業手当の制度がなければ、失業者はたとえ労働条件の劣悪な不安定な職であっても就労を強制されることになる。[三富紀敬・伍賀一道]

外国の失業保険制度

19世紀なかばのイギリスでは、熟練労働者を組織した職業別労働組合(合同機械工組合)が相対的に高い賃金から組合費を拠出し、失業や疾病に備えて基金を設けた。しかし、女性や年少労働者などの不熟練労働者はこうした共済制度から排除されていた。19世紀末にかけて技術革新が進み、熟練労働者に依存する度合いが減少し、しだいに工場労働者のなかでは半熟練または不熟練労働者の比重が大きくなった。彼らは失業時の生活防衛手段を確保していなかったので、政府に対して失業時の生活保障制度を設けるように大規模な運動を行った。こうしたことを背景に1911年に国民保険法が成立、世界初の失業保険制度が設けられた。ただし、財政的理由により適用は建築、土木、造船、機械、製鉄、車両製造、製材の7部門に限定されていた。第一次世界大戦後のワイマール体制下のドイツでは、無拠出の失業手当制度が設けられた。1919年に創設されたILO(国際労働機関)は同年の第1回総会で「失業に関する条約」(第2号条約)と「失業に関する勧告」(第1号勧告)を採択し、各国で失業保険制度を設けることを求めた。こうした動きを背景にイタリア(1919)、オーストリア(1920)、ポーランド(1924)、ブルガリア(1925)、ドイツ(1927)、フランス(1930)、スウェーデン(1934)で相次いで失業保険制度が創設された。[三富紀敬・伍賀一道]

日本の失業保険制度

日本ではILO「失業に関する条約」を1922年(大正11)に批准し、憲政会は同年の帝国議会に失業保険法案を上程したが審議未了に終わった。1934年(昭和9)には失業保険制度の実施についてILOの勧告を受けたが、その成立は第二次世界大戦後まで持ち越された。敗戦後、大量失業と国民的窮乏が広がるなか、1947年12月に失業保険法が制定され、同年11月にさかのぼって実施された。当初、健康保険法の強制適用事業場の労働者を被保険者とし、日雇労働者、サービス業・建設業労働者などは適用除外とされた。このため、制定当時大量に存在した失業者の所得保障にはほとんど効力をもたなかった。その後1955年には、失業給付の一律支給を変更して、保険期間の長短による支給期間の4段階制が導入された。さらに1960年には、公共職業安定所の専断による個別的給付の延長措置と、これに伴う支給期間の差別化が始まった。なお、1949年に日雇労働者を対象とする日雇失業保険制度が別に定められている。
 1960年代中葉以降は、失業給付の受給者に対する就職斡旋(あっせん)が行政指導によって強められた。公共職業安定所が不適当と認める求職条件に固執する失業者などを「労働の意思および能力のない」者と推断して受給資格の決定を行わないという方法がとられた。1966年に制定された雇用対策法(昭和41年法律第132号)は、就職指導手当をはじめ広域求職活動費、移転資金などからなる職業転換給付金制度を設け、失業者の長期滞留の防止と低賃金での労働力の再配置を進めるための制度上の裏づけとした。[三富紀敬・伍賀一道]

雇用保険法への転換

1974年に失業保険法にかわって雇用保険法(昭和49年法律第116号)が制定された(1975年4月に施行)。雇用保険は従業員5人未満の農林水産業の個人経営を除くすべての事業所に強制適用された。被保険者となる労働者は1週間の所定労働時間が20時間以上で、雇用期間が1年を超えること、および年間賃金総額が90万円以上あると見込まれる場合とされた。「90万円以上」という規定は2001年(平成13)4月より撤廃、また2010年4月より雇用期間は「31日以上雇用されることが見込まれること」に変更された。
 失業給付の所定給付日数は、当初、被保険者期間が1年未満の場合には一律90日とされたのをはじめ、これが1年以上の場合には年齢別に30歳未満90日、30歳以上45歳未満180日、45歳以上55歳未満240日、55歳以上300日と定められた。その後、保険加入期間および離職理由によって給付日数に差が設けられたが、失業給付の所定給付日数は西欧諸国に比べ全体として短い。これは、日本の失業給付額が、欧米諸国で制度化されているような最低生活保障の原則を欠いていることと相まって、失業者に就労を迫る要因となっている。ILOのデータによれば(The Financial and Economic Crisis; A Decent Work Response, 2009)、日本の失業者のなかで失業給付を受給していない者の比率は77%(2006年)に達する。ちなみにドイツ6%(2008年)、フランス20%(同)、アメリカ59%(同)、カナダ56%(同)、イギリス45%(同)、中国84%(2005年)である。
 かつての失業保険制度にはみられない雇用保険の特徴は、使用者に対する種々の助成金給付制度を設けたことである。たとえば、企業が不況などを理由に操業短縮する際、事業主が労働者に支給することを義務づけられている休業手当の一部を事業主に対して助成する制度(雇用調整給付金、後に雇用調整助成金に名称変更)を新たに設けた。当初、助成金制度は雇用三事業(雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業)として始まったが、その後、企業の雇用維持または雇用拡大を目的に事業内容は多様化した。たとえば、高年齢者雇用開発特別奨励金(65歳以上の離職者を一定時間以上、1年以上雇用する労働者として雇い入れた場合、賃金の一部を助成)、試行雇用奨励金(職業経験、技能、知識などの面で就職が困難な求職者を試行的に雇用した場合に助成)、キャリア形成促進助成金(労働者に対して職業訓練を実施する場合に賃金および訓練経費の一部を助成)などがある。[伍賀一道・三富紀敬]
『林迪廣他著『雇用保障法研究序説』(1975・法律文化社) ▽大木一訓他著『現代雇用問題と労働組合』(1978・労働旬報社) ▽三好正巳編著『現代日本の労働政策』(1985・青木書店) ▽労働省職業安定局編著『雇用保険の実務手引』(1997・労務行政研究所) ▽厚生労働省職業安定局雇用保険課編『雇用保険法便覧』(2003・雇用問題研究会)』

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精選版 日本国語大辞典

しつぎょう‐ほけん シツゲフ‥【失業保険】
〘名〙 被保険者である勤労者が失業した場合に、保険金を支給して、その生活の安定をはかる社会保険。日本では昭和二二年(一九四七)から実施。同五〇年法改正により、雇用保険となる。
※時勢と労働保険(1908)〈渡辺巳之次郎〉「吾輩は敢て先づ失業保険を制定せよと絶叫するものにあらず」

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