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天下【テンカ】

デジタル大辞泉

てん‐か【天下】
《「てんが」とも》
天が覆っている全世界。
一国全体。国じゅう。また、国家。「天下に号令する」「天下を治める」
世の中。世間。「天下に名を知られる」「天下に恥をさらす」
一国の政治。一国の支配権。「徳川の天下となる」「天下を掌握する」
権力をにぎって思うままに振る舞うこと。「かかあ天下
比類ないこと。この上ないこと。「天下の大泥棒」「天下の横綱」
江戸時代、将軍のこと。天下様。
「―の御城下なればこそ」〈浮・永代蔵・三〉
(「とも」「ども」などを伴って副詞的に用いて)どのように。どれほど。
「―に目つぶれ足折れ給へりとも」〈玉鬘

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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てん‐げ【天下】
てんか(天下)」に同じ。「天上天下唯我独尊」

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とっさの日本語便利帳

天下
全世界の意。天の命を受けた者が天の下を支配するという、天皇の支配力の正当さ、広大さを表すことばであったが、織田信長(一五三四~八二)の出現以降、国を超える統一概念として、「天下人」(てんかびと)のように、至高なるものを上に頂いた支配者、統一者という新たな中央集権像を表すものとなった。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

世界大百科事典 第2版

てんか【天下】
古代中国に由来し,文字どおりには全世界を意味し,〈天子〉の統治対象を指す語。〈天子,民の父母作(た)り,以て天下の主と為る〉(《書経》),すなわち〈天〉から〈命〉を受けた〈天〉の〈子〉が,〈天〉の〈下〉全体の最高支配者となると考えるのである。したがって,〈天下〉に正統な天子は1人しかありえず,外国を予想する〈国〉と違い,〈天下〉には理論上,境界線がない。それゆえ,〈天下〉の語は普遍性の語感を伴い,同時に,〈天下の人心〉〈天下の嘲り〉の句の示すごとく,ある権威を感じさせる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

てんか【天下】
〔「てんが」とも〕
天の下に広がる全空間。世界中。 「 -に比類のない名勝」
一国全体。国中。また、世の中。世間。 「 -を二分する戦い」 「 -を揺るがす事件」 「夜の幕はとくに切り落されて、-は隅から隅迄明るい/草枕 漱石
一国の政治。また、国家を治める権力。 「 -を取る」
力を十分に発揮できる状態。 「若者の-だ」
(「天下の」の形で用いて)他に並ぶ者がないこと。 「 -の横綱」 「 -の愚か者」
一国を支配する者。天子・摂関・近世の将軍など。 「その上-の敵になり参らせたる者にてあるに/義経記 6
めくりカルタで、あざの札。 「よく〱ぢや-を持つていなるるの/雑俳・削かけ」
(「とも」「ども」などを伴って)どんなに。いかに。 「 -に目つぶれ、足をれ給へりとも/源氏 玉鬘

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

てんが【天下】

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てんげ【天下】
〔「げ」は呉音〕
てんか(天下)」に同じ。 「 -人々ながるるとののしる事いできて/蜻蛉

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日本大百科全書(ニッポニカ)

天下
てんか
天の命を受けた天の子(天子)が、天の下(あめのした)を統治するという中国的な世界観。日本では埼玉県の稲荷山古墳(いなりやまこふん)出土の金錯銘(きんさくめい)鉄剣に「治天下獲加多支鹵大王(あめのしたしろしめすわかたけるのおおきみ)」(銘文に「辛亥(しんがい)年」の干支がある。471年)、また熊本県の江田船山古墳(えたふなやまこふん)出土の銀錯銘(ぎんさくめい)大刀にも「治天下」の語がみえ、5世紀後半までに天下に関する政治思想を受容していた。ただし、当時の倭国(わこく)は中国南朝の宋(そう)と冊封(さくほう)関係を結んでおり、中国の天下支配のもと、倭国の支配・統治権のなかで天下を治めたことになる。日本における「治天下」の用法は、百済(くだら)・新羅(しらぎ)などの蕃国(ばんこく)に対する支配が歴史的前提となっていた。「治天下大王」の表記は、のちの律令法で「御宇天皇(あめのしたしろしめすすめらみこと)」に変わった。[吉村武彦]
 古代中国で創案された独特の世界観を表す語。至上の人格神としての「天」が支配する全世界であると同時に、天命を受けて天子となった有徳(うとく)の為政者が「天」にかわって統治する世界(王土)を意味する(したがって本来「天下」と「王土」は決して対立概念ではなかった)。ただし不徳の天子が現れ撫民仁政(ぶみんじんせい)を忘れ、人民を苦しめるような政治をすれば、天命が革(あらた)まって新天子が登場し、天下的世界は再編成されるものと考えられた(易姓革命論(えきせいかくめいろん))。「天下」の語は日本でも上述のように古代から使われているが、中世以降武家政権の時代になると、武家は政権の公共性という見地から「天下」思想や「天道(天)」思想を標榜(ひょうぼう)し、王土思想によって一方的に王威・王権を絶対化する朝廷(公家)勢力と対決したり、下剋上(げこくじょう)の運動や武家政権の成立・交替などを正当化した。とくに戦国・安土桃山時代には日本全国、全国制覇の拠点となった京都、織豊政権の主権者などをさす流行語となった。[石毛 忠]
『石母田正著『日本古代国家論 第1部』(1973・岩波書店) ▽吉村武彦著『古代天皇の誕生』(1998・角川書店) ▽石毛忠著「戦国・安土桃山時代の思想」(石田一良編『体系日本史叢書23 思想史』所収・1976・山川出版社) ▽永原慶二著「天下人」(朝尾直弘他編『権威と支配』所収・1987・岩波書店) ▽石毛忠著「織豊政権の政治思想」(藤野保編『織豊政権の成立』所収・1994・雄山閣)』

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