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大蔵経【だいぞうきょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

大蔵経
だいぞうきょう
蔵経』『一切経』『三蔵』ともいう。大別して3種類になる。 (1) パーリ語三蔵 原始仏教聖典で,仏陀の説いた教え (蔵) と戒 (律蔵) ,ならびに弟子たちの教法に対する研究 (蔵) を含んでいる。論蔵は紀元前に成立し,経蔵と律蔵はそれより以前に成立した。パーリ語三蔵は大乗経典をまったく含まない点に特色がある。 (2) チベット大蔵経  13世紀以後,数回にわたって木版により出版された。日本では『北京版チベット大蔵経』を写真版によって印刷した『影印北京版西蔵大蔵経』が出版されている。 (3) 漢訳大蔵経 中国で翻訳された経典や論書を中心とし,さらに中国教者の著作をも含めて編集したものであり,大乗,部派仏教の経律論をすべて含み,分量が最も多い。2世紀以後約 1000年間にわたる翻訳が,そのままの形で現存しているのが特徴であり,仏教の思想的研究をするためには不可欠のものである。さらに中国人はインドと異なる独自の仏教を発展させたが,この研究にも『漢訳大蔵経』が不可欠の資料となっている。以上の3種の大蔵経のほかには,モンゴル語満州語,西夏語の大蔵経があるが,その内容はいまだ明らかではない。

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デジタル大辞泉

だいぞう‐きょう〔ダイザウキヤウ〕【大蔵経】
仏教の聖典を総集したもの。経・律・論の三蔵を中心に、それらの注釈書を加えたもの。一切経(いっさいきょう)。蔵経。

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世界大百科事典 第2版

だいぞうきょう【大蔵経】
仏教聖典を総集したもの。〈一切経(いつさいきよう)〉〈三蔵(さんぞう)〉とも呼ぶ。元来,〈大蔵経〉の呼称は漢訳の〈三蔵〉に若干の中国人の撰述書を加えたものを指したが,現在ではその他の国語によるものも広く総称する。すなわち,漢語のほかに,パーリ語,チベット語,モンゴル語,満州語のものがあり,西夏語のものも一部現存する。漢語やパーリ語から日本語に訳したものもこれに準じて扱われる。また,元来は〈大蔵経〉に編入される書物の基準は厳格に決められ,それ以外のものは〈蔵外(ぞうがい)〉と称されたが,近年日本で編纂されたものでは,より広範囲のものも含めている。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

だいぞうきょう【大蔵経】
経・律・論の三蔵を中心とした仏教聖典の叢書。梵語・パーリ語の原典のほか、チベット語・中国語・蒙古語・満州語の訳本がある。一切経。蔵経。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

大蔵経
だいぞうきょう
漢文に訳された仏教聖典の総称。一切経(いっさいきょう)ともいう。詳しくは漢訳大蔵経といい、略して蔵経という。チベット文のものを『西蔵(チベット)大蔵経』と称するごとく、現在では仏教聖典を集成したものについて広く転用される。本来は経(きょう)・律(りつ)・論(ろん)の三蔵を中心とした仏教典籍の総集をさすが、広義には中国、朝鮮、日本の撰述(せんじゅつ)書を含む。中国南北朝時代には一切衆蔵経典(いっさいしゅうぞうきょうてん)、一切経蔵の呼称がみられ、『天台智者(ちしゃ)大師別伝』には大蔵経の名がみえる。中国で初めて経典を翻訳したのは、後漢(ごかん)の桓(かん)帝の代148年(建和2)ごろ、洛陽(らくよう)にきた安息国の安世高(あんせいこう)である。おもに小乗経典を訳したが、霊帝の光和(こうわ)・中平(ちゅうへい)年間(178~189)に支婁迦讖(しるかせん)が翻訳したものは大乗経典であった。その後、各時代にわたって翻訳が行われ、元(げん)の時代まで1000年以上も続く。
 当初は、各自が書写して伝えたが、数の増大とともに正しく伝承し護持するために、訳された経典の目録がつくられた。もっとも古い目録は、前秦(しん)の道安(どうあん)の手になる『綜理衆経(そうりしゅうきょう)目録』(『道安録』とも略称される)である。これは、それまでの翻訳経典を分類整理して、(1)撰出経律論録、(2)異出経録、(3)古異経録、(4)失訳経録、(5)凉(りょう)土異経録、(6)関中異経録、(7)疑経録、(8)注経・雑経志録の8部に分かち、639部886巻を収めたとされる。この目録は現存しないが、梁(りょう)代に僧祐(そうゆう)がこれに基づき、さらに増補して『出三蔵記集(しゅつさんぞうきしゅう)』を著した。これが現存最古の優れた経録であり、『道安録』のおもかげをも伝えている。さらに隋(ずい)代には『法経(ほうきょう)録』、『彦(げんそう)録』(『仁寿(にんじゅ)録』ともいう)、『歴代三宝紀(れきだいさんぽうき)』がつくられ、唐代には『静泰(じょうたい)録』『大唐内典(だいとうないてん)録』『開元(釈教)録』『貞元(じょうげん)録』などが著された。これらの諸経録において、大・小乗、経律論などの分類・組織がしだいに確立され、とくに『開元録』に至って、もっとも完璧(かんぺき)な目録が出現した。その入蔵録に示されている1076部5048巻という部数・巻数は、大蔵経を新しく書写・入蔵する際の信頼すべき標準となった。俗に「5000余巻の大蔵経」といわれるのは、これに基づく。その後も、新訳経の追加や遺漏の補充がなされ、大蔵経の規模はますます大きくなり、中国人の著作も入蔵を許されるようになった。
 木版印刷の技術は唐代には開発されていたが、これを大蔵経に応用したのは宋(そう)代になってからである。これまでは写本の大蔵経であったが、この時代から刊本の大蔵経がつくられる。宋の太祖は971年(開宝4)、張従信(ちょうじゅうしん)を蜀(しょく)の益州(成都)へ派遣して大蔵経の雕造(ちょうぞう)を命じ、『開元録』に基づいて作業が進められ、12年かかって完成した。その板木を用いて太平興国寺(たいへいこうこくじ)内の印経院で刷られたものが、有名な蜀版大蔵経(北宋勅版大蔵経)である。宋代にはほかに福州東禅寺等覚院大蔵経(祟寧万寿(そうねいまんじゅ)大蔵)、福州開元寺版大蔵経(毘盧(びる)蔵、福州版)、湖州円覚寺版大蔵経(思渓(しけい)蔵、宋版)、磧沙(せきしゃ)版大蔵経があり、また宋代に着手し元代に完成した普寧寺(ふねいじ)版大蔵経(元版白雲宗門蔵経)がある。さらに宋版を模刻した元版大蔵経や、明(みん)の太祖による南京(ナンキン)大報恩寺版大蔵経(南蔵)、清(しん)の太宗による北京(ペキン)勅版大蔵経(北蔵)があり、明の万暦(ばんれき)年間(1573~1619)につくられた万暦版大蔵経がある。
 また中国以外でもたびたび開版がなされた。高麗(こうらい)では成宗(せいそう)(在位982~997)から顕宗(けんそう)(在位1010~30)の時代に蜀版を受け継いだ高麗(こうらい)版大蔵経がつくられた。高宗の時代に再雕(さいちょう)されたのが現存の海印寺版である。このほか、契丹(きったん)版、金(きん)版、西夏(せいか)版などもつくられた。このように多くの官版や私版による大蔵経の刊行は仏教の流伝に大きく貢献した。
 日本では988年(永延2)に東大寺の(ちょうねん)が宋から蜀版大蔵経を将来したのが大蔵経の初伝であろう。その後、高麗版や宋版、元版、明版が伝えられ、大蔵経開版も何度か企てられたが、完成をみなかった。最初に成功を収めたのは天台宗の天海(てんかい)による寛永寺(かんえいじ)版(天海(てんかい)版)である。その後、臨済(りんざい)宗の鉄眼道光(てつげんどうこう)によって明の万暦版を範とした黄檗(おうばく)版(鉄眼版)がつくられた。いずれも江戸時代である。明治になると、活版印刷の大蔵経がつくられた。縮刷蔵経、卍(まんじ)蔵経、卍続蔵経などがそれである。縮刷蔵経は高麗版に基づき、さらに中国・日本の典籍を増補して1916部8534巻とし、40帙(ちつ)418冊に収めた。卍蔵経は7082巻36套(とう)、卍続蔵経は7140余巻150套である。その後、大正から昭和の初頭にかけて刊行されたのが『大正蔵経』(『大正新修大蔵経』)で、本蔵1~85巻に収められた部数・巻数は3053部1万1970巻に上る。これに目録3巻、図像12巻を加え、全100巻の大叢書(そうしょ)とした。高麗版を底本とし、宋・元・明の各版を対校し、さらに天平(てんぴょう)写経、隋唐(ずいとう)の古写経、敦煌(とんこう)写本をも参照して学的な取捨を加え、質・量ともに充実を図った。現存するもっとも完備した大蔵経である。
 なお、転用された意味での大蔵経(一切経)には『国訳一切経』『国訳大蔵経』『日本大蔵経』『昭和新纂(しんさん)国訳大蔵経』『南伝大蔵経』『西蔵(チベット)大蔵経』『蒙古(もうこ)蔵経』などがある。いずれも一定の方針に基づいて編纂された仏教聖典の叢書である。『日本大蔵経』は日本撰述の仏典を集成したもの、『南伝大蔵経』はパーリ語の仏典を日本語に訳したもの、『西蔵大蔵経』『蒙古蔵経』はそれぞれチベット語、モンゴル語による大蔵経である。[岡部和雄]

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精選版 日本国語大辞典

だいぞう‐きょう ダイザウキャウ【大蔵経】
〘名〙 仏語。経律論の三蔵を中心に諸高僧などの著書を集めた仏教典籍の総集。梵語の原典は完全な形をとどめないが、パーリ語原典をはじめ、中国語、チベット語、蒙古語、満州語などの訳本が現存。最も完備し大部なのは中国語訳で歴朝にわたって翻訳され、唐代に五〇四八巻に定まり、のち一一九七〇巻に大成。一切経。蔵経。
※正法眼蔵(1231‐53)看経「それ我与汝看転大蔵経あきらかなり」

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旺文社世界史事典 三訂版

大蔵経
だいぞうきょう
仏教のすべての典籍を集録したもので,一切経・蔵経・三蔵聖経ともいう
仏教の経(仏の教説集)・律(仏弟子の生活規範)・論(インド仏教学者による経の解釈)の3部(三蔵)を含む。サンスクリット語系とパーリ語系に分かれ,前者には漢訳・チベット訳,後者にはビルマ訳・タイ訳などがある。後者は『南伝大蔵経』として伝わる。

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旺文社日本史事典 三訂版

大蔵経
だいぞうきょう

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