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大型類人猿

朝日新聞掲載「キーワード」

大型類人猿
アフリカのチンパンジーゴリラボノボ、東南アジアのオランウータンが分類される。チンパンジーはヒトとDNAの98%以上を共有、「進化の隣人」といわれる。森林伐採や農地化で生息地が減り、食肉目当ての狩猟や生きたままの捕獲、戦争にも脅かされ、ワシントン条約や国際自然保護連合のレッドデータブックではすべてが絶滅危惧(きぐ)種。野生の個体数もそれぞれ2万〜11万と推測され、今世紀中に絶滅すると予測する研究者もいる。
(2006-05-06 朝日新聞 夕刊 1社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

おおがた‐るいじんえん〔おほがたルイジンヱン〕【大型類人猿】

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

おおがたるいじんえん【大型類人猿】

出典:株式会社平凡社
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最新 心理学事典

おおがたるいじんえん
大型類人猿
great ape
ヒトと最も近縁な動物で,ヒトとともにヒト科を形成する。いわゆる「サルmonkey」と違って尻尾がない。ヒト科の中でヒト属以外のものを大型類人猿と称し,アジアにすむオランウータン属とアフリカにすむゴリラ属とチンパンジー属がある。

 尾がないことに加え,指の背側を接地するナックルウォーキング(オランウータンはこぶしを接地するフィストウォーキング)という独特の歩き方をすること,頻繁に直立し二足歩行を行なうこと,多彩な行動,豊かな個性と感情,複雑な社会関係,高度な知性など,ほかの霊長類には見られない多くの特徴をもつ。

 オランウータンは,雄が発情した雌と形成するペアや,母子のペアは認められるが,通常雄は複数の雌の遊動域をカバーしながら単独で行動していることが多い。ゴリラは,ごくまれに複数のおとな雄を含む集団や,雄だけの集団も認められるが,基本的な社会単位は単雄複雌で,1頭のリーダー的存在の雄と複数の雌とその子どもたちが一緒に遊動している。チンパンジーとボノボ(チンパンジーの同属別種)は複雄複雌の単位集団を形成するが,集団内はメンバーシップの流動的ないくつもの小集団partyに分かれ,離合集散しながら遊動している。ゴリラの社会は,成熟した子どもが雌雄ともに自分の生まれた集団から移籍することから非母系社会といわれる。チンパンジーとボノボは雌のみが集団間を移籍し,雄は生まれた集団に一生とどまるため父系社会となっている。野生での観察では,チンパンジーによる道具の製作と使用,狩猟と肉食行動,食物の物乞いと分与,多彩な社会的調整行動,個体間の協調,薬草利用,子殺し,殺戮を含む集団間闘争など,人類にのみ固有と考えられていた行動や能力が数多く認められている。道具使用や薬草利用などは,地域に特有な行動様式を示すことから「文化的行動」としてとらえられることが多い。さらに,集団内での順位をめぐる駆け引き,他者を欺く欺瞞,他者の境遇を理解することなども明らかにされている。

 一方,飼育下の言語学研究ではチンパンジーやゴリラが手話を使う能力を有し,数百語以上も操ることができること,またボノボでは有節言語を話すことはできないまでも人間言語のヒアリング能力があり,1000を超える語彙を知っていて文法まで理解できることが明らかにされている。認知科学研究ではチンパンジーによる数字の理解,シンボルと実物との関連づけ,優れた記憶力,自己認識や他者理解,互恵的利他行動など,きわめて高度な知性をもつことが証明されている。また,近年の分子生物学はヒトと類人猿の分岐年代が,オランウータンで1600万~1300万年前,ゴリラが990万~800万年前,チンパンジーとボノボは770万~630万年前であるという分析結果を示した。さらに,チンパンジーとヒトでは,DNAを構成するタンパク質アミノ酸の塩基配列が1.23%の違いしかないことも報告されている。すべての大型類人猿が国際自然保護連合(IUCN)の種保存委員会が提供する「絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」によって絶滅危惧種に指定されている。彼らが絶滅の危機に瀕しているのは森林伐採や環境開発など,いずれもが活発な人間活動に起因する。また,食肉,剝製,ペット,動物実験などを目的とした密猟,生息地での内戦,人間との生活空間が近づいたことによる人獣共通感染症なども彼らの生存を脅やかす要因となっている。それらに対して,さまざまな保護活動や保全政策が講じられているが,十分な効果を上げているとは言いがたい。 →チンパンジー →霊長類
〔伊谷 原一〕

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