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変圧器【へんあつき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

変圧器
へんあつき
transformer
トランス,または変成器ともいう。1つの共通磁心のまわりに,2つ以上のコイルを巻き,電磁誘導作用によって,相互に交流電圧あるいは電流の変換を行う電気機器または部品。商用周波電圧の昇降に用いる大容量電力用変圧器から,電気通信,電子機器に使用される小型,小容量のものまで多種多様のものがある。一次,二次コイルの巻数をそれぞれ n1n2 とし,一次コイルに e1 という交流電圧を加えると,誘導によって二次コイル両端に生じる電圧 e2e2=(n2/n1)e1 となる。 n2n1 ならば昇圧で,二次電圧のほうが高い。一次,二次の間で電力の増加はなく,むしろ鉄心のヒステリシスや渦電流または銅線の抵抗などに基づく損失がある。電力用変圧器では大多数が油入り変圧器である。変圧器油の任務は高電圧に対する絶縁と冷却である。最近では高温に耐える絶縁物の開発により,風冷式の乾式変圧器が,かなり大容量のものまでつくられるようになった。鉄心とコイルの位置関係から内鉄型と外鉄型に分けられる。鉄心には4%程度の高ケイ素鋼板を用いて十分鉄損を少くする。通信用変圧器はいわゆる電源変圧器を除いて電力用変圧器とは種々の点で異なる。すなわち,使用電力が少い,使用周波数が高くかつ帯域幅が広い,直流に高周波を重畳して使用する,インピーダンス整合用に用いる,などの差異があるため,設計上,構造上に多くの工夫がなされている。

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世界大百科事典 第2版

へんあつき【変圧器 transformer】
トランスフォーマー,略してトランスともいわれ,場合により変成器ともいわれる。変圧器は交流の電圧および電流の大きさを電磁作用により変成する電気機器である。一般には,共通の磁気回路(鉄心)のまわりに二つの巻線が巻かれており,一方の巻線に電力が入り,他方の巻線から電力が出る。前者を一次,後者を二次といっている。変圧器は,その名の示すとおり,交流の電圧を変成するのが主要な用途である。大は発電所・変電所用の500kVA,1000MVA(100万kVA)を超える大容量のものから,手の平にのせられる電子回路用の小型のものまで各種各様のものがある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

へんあつき【変圧器】
電磁誘導を利用して交流電圧を昇降させる装置。トランス。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

変圧器
へんあつき
transformer
電圧を所用の値に変換する装置。略してトランスともいう。電圧の変換は同時に電流の変換を意味し、電流を所用の値にしたいため変圧器を使用する場合もあるが、多くの場合は電圧の変換が目的であると考えてよい。
 電気は交流と直流に大別できるが、変圧器は交流専用で直流には使えない。電力系統の大部分に交流が採用され、直流は電気鉄道など一部にしか採用されていないが、その理由は交流は変圧器が使えるからである。送電線で輸送できる電力には限界があり、その限界値は送電電圧の2乗に比例し、送電距離に反比例する。近年の電力系統は、主力となる大発電所が需要地から遠ざかる傾向にあり、長い送電線で大きな電力を輸送する必要がある。このため送電電圧はしだいに高くなり、日本では50万ボルトも採用されている。一方、工場なり一般家庭ではこのような高い電圧では不都合であるから低い電圧に変換する必要があり、このために変圧器が用いられる。[岡村正巳]

原理

鉄心に二つのコイルを巻いた二巻線変圧器を例に原理を説明する。鉄心は磁束の通路となる。二コイルの場合は、一つを一次コイル、他を二次コイルとよぶ。いま一次コイルに交流電源を接続すれば電流が流れ、鉄心には交番磁束が発生する。この磁束は二次コイルとも鎖交し、かつ交流電流の周波数にしたがって交番的変化をするため二次コイルに電圧が発生する。それぞれのコイルの巻数をn1n2とすれば、一次コイルの電圧V1と、二次コイルの電圧V2とは、おおよそ次の関係がある。

 したがって、所用のV2を得るためにはn1n2の関係を調整すればよい。また一次コイルの電流をI1、二次コイルの電流をI2とすれば、おおよそ次の関係がある。

 これは電圧と逆の関係にある。いずれの式も若干の誤差を無視した場合に成り立つ。また、二次端子にZ2の値のインピーダンスを接続した場合、一次端子からみたインピーダンスの値Z1とは、おおよそ次の関係が成立する。

 したがって、一次端子側からみたインピーダンスは巻数比(n1/n2)を変化させることによって変えられる。電気通信の回路では、変圧器はこのようなインピーダンスの変換用として用いられる場合が多い。[岡村正巳]

構造

しかし、このような構造では一次コイルと二次コイルの磁気的結合がよくない。すなわち、一次コイルと鎖交した磁束のすべてが二次コイルと鎖交することが望ましいが、このような構造では一次コイルと鎖交しても二次コイルと鎖交しない磁束や、その反対に二次コイルと鎖交するが一次コイルと鎖交しない磁束が増える。このような磁束を漏洩(ろうえい)磁束とよぶが、これが増えると変圧器の効率が悪くなる。このため実際にはコイル配置として漏洩磁束を少なくするようにしている。また、鉄心とコイルの位置関係で、内鉄型と外鉄型がある。[岡村正巳]
放熱装置
変圧器は運転中、コイルの抵抗によるジュール損失(I2R)、鉄心中の交番磁束によるヒステリシス損失、鉄心やケース内に発生する渦電流損失などのため熱を発生し、放熱が十分でないと温度が上昇して絶縁物の劣化を早める。このため放熱装置が必要となる。
 変圧器は鉄心とコイルを鉄函(てつばこ)内に収め、鉄函を油で満たしたいわゆる油入(ゆにゅう)変圧器がもっとも多い。密封タンク内に六フッ化硫黄(いおう)ガスなどを封入し、内部送風機により巻線内を循環冷却させるガス冷却変圧器や、鉄心とコイルをケースに収めることなく空気中で使用する乾式変圧器などもあるが数は少ない。もっとも多く採用されている油入変圧器では、油は原油から精製した鉱油で変圧器油ともよばれている。油の任務は二つあって、一つは絶縁材としてであり、他の一つは冷却材としてである。したがって変圧器油は絶縁耐力が高いこと、粘度が低い流動性の高いものであることが望ましい。発生した熱は油に伝わり、温められた油は対流をおこす。自冷式では変圧器外箱の表面積を大きくして冷却効果を高めるため、ひだをもたせたり、放熱器を取り付けたりする。風冷式ではファンで風を放熱器に当てる。水冷式は水冷管を油中に設けて冷却水を通す。送油式は温められた油をポンプで導き出し、自然冷却、風冷、水冷などの方法で冷却する。[岡村正巳]
油劣化防止装置
油入変圧器は、負荷の変動や周囲温度の変化により油の温度が変化する。このため油の容積も変化するので、タンクに開口部があれば空気が出入りする。これを呼吸作用とよんでいる。呼吸作用があると、外界の湿気が吸入されることと、空気中の酸素が油と反応して不溶解性のスラッジを生成することにより、油の絶縁耐力と冷却作用を低下させ故障の原因となる。このため種々の油劣化防止装置が実用されている。開放式は、呼吸口に吸湿装置(シリカゲル)を置いて吸い込む空気から湿気を取り除く方式である。密封式は、コンサベーター上部に窒素を封入密閉する。したがって油温の変化に伴い窒素の圧力が変化することになる。隔膜式は、コンサベーター内部に柔軟な耐油性ゴム膜で油と外気との接触を遮断する方式である。[岡村正巳]
安全管
油入変圧器は長い使用歴を有する信頼性の高い機器であるが、万一の絶縁破壊故障に備えてタンク上部に安全管を有している。これは、タンク内部で絶縁破壊が生じ、アークのため油圧が異常に高まった場合、タンクが破壊する前に安全管から油を放出し、油圧を低下させるものである。安全管から放出される油は高温の可能性があるため、空気と接触して発火したり他物に被害を及ぼしたりしないよう、地下タンクに導かれる構造のものもある。[岡村正巳]
鉄心
電力用変圧器はすべて鉄心を有している。鉄心は磁束を発生しやすくして変圧器の効率を高めるために使われる。使われる鉄心はケイ素を含んだケイ素鋼板とよばれるものであるが、渦電流損失を少なくするために0.3ミリメートルくらいの薄板を重ね合わせる。重ね合わせる面も電気的に絶縁されている。大型変圧器の鉄心は短冊型のケイ素鋼板で閉磁路を形成するが、ケイ素鋼板の突き合わせ部分にギャップがあると効率低下の原因となるので慎重に組み立てられる。[岡村正巳]

特殊な変圧器

単巻変圧器は巻線が一つだけの変圧器で、小型にすることができ、テレビやラジオの受信機などに広く用いられている。
 計器用変圧器は高電圧の測定に用いるもので、低電圧に変換したときの変圧比から元の電圧を求める。負荷時電圧調整器は、負荷を遮断することなく電圧を調節するもので、電力系統で広く用いられている。[岡村正巳]

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精選版 日本国語大辞典

へんあつ‐き【変圧器】
〘名〙 鉄心に二つまたはそれ以上の巻線を備えた装置。交流電圧の昇圧、降圧などに用いる。〔電気訳語集(1893)〕

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デジタル大辞泉

へんあつ‐き【変圧器】
電磁誘導の作用によって交流電流電圧を変える装置。トランス。

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