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壁画【へきが】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

壁画
へきが
mural painting
聖堂,寺社,宮殿などの建築物の内壁,天井,柱などの表面に描かれた絵画。古い時代から存在し,旧石器時代に洞窟の岩面の粗地に顔料を施した動物画の壁画が現存する。エーゲ海のクレタ文化の時代にはすでに漆喰の化粧地の壁面に描かれ,この方法が,ポンペイの壁画が示すように古代ローマ時代には高度の技法と芸術性のある壁画に発展した。古代末期から中世にかけては,フレスコ画をはじめ漆喰壁と,上塗りが乾いたのち膠着剤の入った水で絵具を溶いて描くア・セッコの壁画がキリスト教聖堂を飾り,さらにジョット,マサッチオに始るイタリア・ルネサンスに入ると,こうした技法による壁画が科学的遠近法の表現形式と相まって最高度の絵画表現に達した。またテラコッタや板,紙に描いた絵,あるいは油彩画によるカンバスを壁面に張付けるものもある。他方初期キリスト教時代やビザンチン時代のようにモザイクによる壁画,エジプトやメソポタミアの低浮彫による作品も一種の壁画とみることができる。中国では敦煌の壁画にみられるように,石壁の表面に下塗りの塗料を施し,その上に描く技法,また宮殿建築におけるように絹紙に描いた絵を壁面に張付ける方法が行われた。日本では法隆寺金堂の場合のように,荒壁の上に中塗りと,アマと膠着剤を入れた上塗りを施し,その上に白土を塗って描いた技法による壁画がある。また平安時代には平等院の鳳凰堂のように板壁や扉の表面に下地の胡粉を塗り,その上に描く方法もあった。

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デジタル大辞泉

へき‐が〔‐グワ〕【壁画】
建物や洞窟(どうくつ)内の壁・天井などに描かれた絵画。また、建築壁面に組み込まれたカンバス画・板絵

出典:小学館
監修:松村明
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デジタル大辞泉プラス

壁画
矢代静一による戯曲。初演は劇団新人会(1955年)。同年、第1回新劇戯曲賞(のちの岸田国士戯曲賞)にて佳作となる。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

へきが【壁画 mural painting】
建築の内壁(外壁の場合もあるが,風雨にさらされて傷みやすいので例は少ない)に顔料を用いて描いた絵。西洋では古代メソポタミア(テル・ウケル,前3000ころ),東洋では漢代の中国,アジャンター(前1世紀以降)に初期の作例が見られ,日本では,5~7世紀の,いわゆる装飾古墳の壁面に彩色が施されている。垂直壁だけでなく,水平またはそれに近い天井ないしボールトの壁面の場合をも含み,また洞窟内の人工壁の場合(アジャンター,敦煌莫高窟カッパドキアなど)もある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

へきが【壁画】
壁面・天井などに描いた絵画。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

壁画
へきが
wall painting英語
peinture muraleフランス語
Wandmalereiドイツ語
建造物の壁面や天井に顔料で直接描いた絵画、あるいは予定した建築壁面のために描き、完成後そこに組み込まれたカンバス画や板絵をいう。主として建築や墳墓の装飾として発展したが、ラスコーやアルタミラの旧石器時代の洞窟(どうくつ)壁画や、タッシリ・ナジェールの岩壁画のような天然の岩面に描かれた絵、またモザイクやタイルなどによる壁面装飾も広義には壁画の一種ということができるであろう。作品の規模や質は異なるとしても、絵画のもっとも古い形として、ほとんどの地域と時代にわたって作例がみられる。
 壁画はその目的および造形・技術面でも、それが描かれる建造物と密接な関係がある。古代には王宮や神殿、墓室の壁面を飾るモニュメンタルな作例が多い。古代エジプトでは玄室の壁画に優品が多数あり、メソポタミアでもテル・ハリリ遺跡のマリの宮殿などで発掘されている。エーゲ海地方では、クレタ島のクノッソス宮殿とサントリン島(ティラ島)のアクロティリ遺跡で発掘されたものが名高い。歴史時代の古代ギリシアの壁画は現存しないが、パウサニアスなどの文献によって、ギリシア建築も壁画で飾られていたことがわかる。アテネのアゴラにあったストア・ポイキレはポリュグノトス、ミコン、パナイノスの三大画家によるフレスコで美しく装飾されていたという。ローマ時代以前の古代イタリアでは、タルクィニアなどのエトルリアの都市で、壁画のある地下墓室が数多く発見されている。古代ギリシア絵画の反映を伝えるローマ時代の作例は、ベスビオ火山の噴火で埋没した二つの都市、ヘルクラネウムとポンペイから発掘されている。
 初期キリスト教時代にはカタコンベに壁画が描かれ、中世においてもライヒェナウ修道院やサン・サバンの聖堂などにみられるように壁画制作は続いた。しかし、ビザンティンの聖堂ではむしろモザイクが盛んとなり、一般に中世には耐久性の乏しいセッコ技法で描かれたこともあって、保存のよい壁画は少ない。西洋絵画史上、壁画がもっとも重要な位置を占めた時代は、ジョットを先駆者とし、マサッチョ、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、マンテーニャらを経てミケランジェロに至る「真のフレスコ」技法が隆盛したイタリア・ルネサンスである。ついでティントレットやベロネーゼに代表されるベネチア派の後期の画家たちは、壁に直接描くのではなく、油彩でカンバスの大画面に描く方法を採用するようになる。バロック時代のイリュージョニズムの天井画を最後に、西洋での壁画は衰退する。
 東洋の壁画は、仏教遺跡と墳墓の墓室にみられる。墓室壁画の古い例は中国前漢時代にまでさかのぼる。アジャンタの石窟、敦煌(とんこう)石窟(千仏洞)などは壁画で著名な仏教遺跡である。なお、アフガニスタンのバーミアン石窟の壁画も著名であるが、2001年軍事勢力であるタリバン政権により磨崖仏(まがいぶつ)(摩崖仏)とともに破壊され、大部分が失われた。日本では高松塚古墳の墓室壁画、法隆寺金堂の壁画、平等院鳳凰(ほうおう)堂の扉板絵などが代表的作例である。わが国では建築構造や美意識の違いからか、建築壁面に固定された壁画は発展せず、それにかわるものとして、襖(ふすま)や屏風(びょうぶ)に描いた障屏(しょうへい)画がある。
 壁画と建築の関係には実にさまざまな問題が含まれ、壁画の絵画空間と建築自体の空間との関係に焦点を絞れば、およそ次のようないくつかの類型があげられる。
 単純に平面的な装飾画として壁面自体の平面性と一体化した壁画は、建築の空間構成を強調し明瞭(めいりょう)にする。開かれた窓あるいは扉のような効果を壁画で表現する方法はポンペイに例があるが、この方法を推し進めると、周囲の壁面をくまなく自然の景物で覆い尽くすことで建築を否定し、建築空間を変質させるような壁画も生まれる(サントン島の壁画や古代ローマのビラの壁画など)。石窟の仏教壁画や中世のキリスト教聖堂壁画は、見る者の立つ空間に働きかける絵画であり、ルネサンスの壁画は、想像力の世界を開く象徴的な窓である。そしてポンペイの開かれた扉の方法を、垂直方向の誇張した遠近法に変形させれば、バロックのイリュージョニズムの天井画となる。[長谷川三郎]
『宮下孝晴著『フレスコ画のルネサンス――壁画に読むフィレンツェの美』(2001・日本放送出版協会) ▽横山祐之著『芸術の起源を探る』(朝日選書) ▽大野彩著『フレスコ画への招待』(岩波アクティブ新書)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

へき‐が ‥グヮ【壁画】
〘名〙
① 壁面に描かれた絵画。広く柱や天井に描かれたものをもいう。
即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉梟首「月光の一の壁画を照すを見れば」 〔楓牕小牘〕
② 壁にかけた絵画。〔広益熟字典(1874)〕

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