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【すみ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


すみ
文房具の一種松煙油煙などのすすをなどで練り固めた書画用具。中国では,殷,周代の甲骨片に墨書が残されているが,実物は不明。前のものは,墨粉に膠汁を混ぜて石製磨墨具ですったものらしく,後漢になって固めた墨丸を使用するようになる。唐代には製墨法が進歩し名工を生んだ。日本では正倉院にこの時代のものが残っている。奈良が製墨地として最大であり,歴史も古い。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

すみ【墨】
油煙松煙(しょうえん)膠(にかわ)で練り固めたもの。また、それを水とともに硯(すずり)ですりおろしてつくった黒色の液。書画を書くのに用いる。
顔料などを固めて作り、硯などですって絵などを描くのに用いるもの。青墨(あおずみ)朱墨(しゅずみ)など。
物を燃やしたときに出るすす。「鍋底(なべぞこ)の
イカやタコの体内にある黒い液。「イカがを吐く」
墨染め」の略。「の衣(ころも)」
墨糸」「墨縄」の略。
[下接語]烏賊(いか)の墨唐(から)墨下げ墨摺(する)墨(ずみ)藍(あい)墨青墨赤墨油墨入れ墨薄墨臙脂(えんじ)墨切り墨具(ぐ)墨靴墨濃(こ)墨渋墨朱墨白墨釣り鐘墨中墨鍋(なべ)墨奈良墨掃(はい)墨眉(まゆ)墨油煙墨

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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ぼく【墨】[漢字項目]
常用漢字] [音]ボク(漢) [訓]すみ
〈ボク〉
書画に用いる黒の顔料。すみ。「墨痕(ぼっこん)墨汁墨跡翰墨(かんぼく)古墨筆墨文墨水墨画
すみで書いたもの。「遺墨・断簡零墨」
ものを書く道具。「白墨
いれずみ。いれずみの刑。「墨刑
大工道具の一。すみなわ。「縄墨
中国古代の思想家、墨子(ぼくし)。「墨家墨守
隅田川のこと。「墨水墨堤墨東
メキシコ。「日墨米墨戦争
〈すみ(ずみ)〉「墨絵薄墨靴墨朱墨(しゅずみ)眉墨(まゆずみ)
[難読]墨西哥(メキシコ)

出典:小学館
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デジタル大辞泉プラス

錦鯉の飼育用語のひとつ。大正三色や昭和三色に生じる黒い模様、またその色合いや出かたをさす。

出典:小学館
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色名がわかる辞典

すみ【墨】
色名の一つ。JISの色彩規格では「」としている。一般に、マツ科マツなどの木材を燃やした煤すすニカワで練ってかためた墨の濃い色。「墨のようい黒い」と形容されるように、イメージとしては黒。古くから顔料として用いられていた。ただし、実際の墨の色は多彩で、明るい灰色から黒に近い色まで無限にあるといっても言い過ぎではない。また墨の色に布地を染める場合はつるばみなどの染料を使ったとされる。「橡」とはブナ科クヌギの古名で、その実のドングリを古来から染色に用いてきた。媒染によって色が異なり、鉄を使うとみがかった黒となる。その色は黒橡くろつるばみともいう。

出典:講談社
(C)Kodansha 2011.
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世界大百科事典 第2版

すみ【墨】
松や植物油などを燃やして得た(すす)と膠(にかわ)を主な材料とし,これに香料や若干の薬剤を加えて練り固めた文房具。材料によって松煙墨,油煙墨,工業煙墨に大別され,形は円形方形,楕円形,小判形円柱角柱長方形多角形から,人形,魚形,琴形,扇面形など,自然や器物に模してさまざまなものがあり,その面には墨名,詩,賛やさまざまな図形が配される。
[中国]
 後漢の許慎の《説文解字》には,〈墨は書する墨なり。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

ぼく【墨】

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日本大百科全書(ニッポニカ)


すみ

書写のための液をつくる黒色の固型体。硯(すずり)ですって用いる。文房四宝の一つ。墨という字は黒と土との合字で、中国では昔、天然に産出する石墨(せきぼく)(黒鉛)の粉末に漆(うるし)を混ぜて用いた。和訓の「すみ」は「染み」の転訛(てんか)とも、漢時代に名墨を産した陝西(せんせい)省の隃麋(ゆび)の転訛ともいわれる。

[植村和堂]

中国の墨(唐墨)

J・アンダーソンの発掘した新石器時代の土器や殷(いん)代の甲骨、陶片に墨書したものがあり、木簡や帛(はく)にも墨が用いられているが、古代の墨がどのようなものであったかは判明していない。現在のように膠(にかわ)を用いて炭素の粉末を固めたのは漢代になってからである。『漢書(かんじょ)』に「尚書令墨丞郎(ぼくじょうろう)。月に大墨一枚、小墨一枚を賜う」とあり、また『東宮故事』に「皇太子初めて拝するや、香墨四丸を給せらる」とあることから、当時すでに固型の墨があり、丸い形か板状のものであったと推察される。宋(そう)の晁以道(ちょういとう)の『墨経(ぼくけい)』には「松煙の製(せい)や久し。漢に扶風(ふふう)、隃麋。終南山の松を貴ぶ」とあることから推して、漢代では松を燃してその煙からとった炭素を用いた松煙墨(しょうえんぼく)が石墨とともに用いられていたことがわかる。

 晩唐時代には李(り)超、李廷珪(ていけい)といった墨匠の名が伝えられ、わが国の正倉院には唐代の松煙墨が収められている。このころからしだいに、桐油(とうゆ)からとった油煙墨(ゆえんぼく)もつくられ始めた。明(みん)時代は造墨の盛んなときで、上質の墨が多数つくられた。清(しん)朝に入って墨の質は低下したが、乾隆(けんりゅう)年間にはふたたび隆盛期を迎えた。清代の代表的な墨匠に程君房(ていくんぼう)、曹素功(そうそこう)、胡開文(こかいもん)があり、明治初期からわが国にも大量に輸入されて、唐墨とよばれて当時の文人に用いられた。

[植村和堂]

日本の墨(和墨)

中国製の墨を唐墨というのに対し、日本の墨を和墨という。『日本書紀』巻20に「推古(すいこ)天皇18年春3月、高麗(こま)王、僧曇徴(どんちょう)を貢上す。曇徴よく紙墨を作る」とあるが、実際にはそれ以前に製墨法が伝来したと思われる。平安初期の『延喜式(えんぎしき)』には油煙による造墨法が記され、造墨長1人が4人の造墨手を使い、長さ五寸幅八分の墨を年間四百挺(ちょう)生産したとある。『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』巻三に後白河(ごしらかわ)法皇熊野詣(もう)でのおりに、紀州藤代(ふじしろ)の宿において松煙が献上され試用された記事がみえるが、これは和墨に関する唯一の文献とされている。

[植村和堂]

墨の種類

松煙墨と油煙墨がある。松煙は墨の異名として昔から用いられたように、中国では古くからつくられ、老松の枝または根を燃焼し、その煙からとった煤煙を膠で練る。松煙墨の墨液は濃いときは純黒だが、薄めて淡くすると青みを帯びる。とくに青色の強いものを青墨(せいぼく)とよぶ。松煙墨の粒子は油煙墨よりやや粗く、硯面への当たりはややざらついている。淡墨にした場合、線の重なりぐあいが明瞭(めいりょう)なものを良墨とする。淡墨にすればにじみが出、墨色の美しさを増す。油煙墨は桐油、ごま油、菜種油などの植物性油を用いる。墨液は褐色を含んだ黒色で、すると水に石油を浮かしたような美しい色をたたえる。良質の油煙墨は黒紫色の光沢があり、紙への浸透力がよく、硯面への当たりが滑らかである。このように松煙墨は淡墨にしたときもっともその墨彩が豊かで、油煙墨は濃墨にしたときその光沢を発揮する。

 このほか和墨・唐墨とも中級以下の品には多く鉱物性炭素のカーボンブラックを用いており、黒い輝きはなく、墨色もよくない。

[植村和堂]

墨の用途と用法

墨は古代、竹簡や帛にも用いられ、紙の出現によって、書に欠かせない用具となったが、こうした筆記以外では、唐代から拓本をとるのにも用いられている。

 日本の墨は主として油煙墨であるが、平安時代に仮名書きの料紙の地模様に墨流しが使われた。これは、水面に墨滴を垂らして、広がった墨面を紙にすくって定着させる方法で、偶然性とデコラティブな効果をねらったものである。昭和の初めごろに墨象(ぼくしょう)とよばれる前衛書道がおこって、それまでの書にはみられなかった超濃墨や淡墨、にじみなどを利用してアブストラクトな造型美を表現するようになった。また染色や版画など、書以外の美術でも墨のもつモノクロームの色彩効果が注目されている。

 墨をするときは硯の墨堂(墨をするところ)に水滴で少しずつ水を注ぎ、すった墨汁を墨池にためる。墨池に水を入れて、墨で引き上げながらするのはよくない。墨は45度に硯面に当たるようにして軟らかにゆっくりする。墨をすったまま墨堂に立てておくと、よい硯ほど密着して、無理にとると穴があくことがある。すり終わったらただちに紙か布で墨のぬれた面をぬぐう。とくに唐墨はぬれたままにしておくとひび割れが生ずることがある。

[植村和堂]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

すみ【墨】
〘名〙
① 毛筆で書画を書くのに用いる文房具。なたね油や松根を燃やしてできた良質の油煙をにかわで練って、これに香料などを加えて型に入れて長方形に固めたもの。これを硯(すずり)ですって水にとかして使う。上代では黒土を材料とし、その後は黒灰を用いた。
※正倉院文書‐天平宝字五年(761)造法華寺金堂所解「墨一百十四廷 中品二廷 下品百十二廷已上買」
※源氏(1001‐14頃)梅枝「女房二三人ばかりすみなどすらせ給て」
② 絵の具を固めて作り、墨のように硯ですって使うようにしたもの。朱墨、藍墨など。
※書紀(720)皇極三年六月(北野本訓)「即ち、金の墨(スミ)を以て書(か)いて大法興寺の丈六の仏に献る」
③ 墨①の汁(しる)
※万葉(8C後)一六・三八八五「わが耳は 御墨(みすみ)の壺 わが目らは 真澄の鏡」
※枕(10C終)七五「物語・集など書き写すに、本にすみつけぬ」
④ イカ、タコ類の体内にある黒い液。
※俳諧・暁台句集(1809)春「烏賊の墨ながるる小家の節句哉」
⑤ 物を燃やした時に出る黒いすす。
※竹取(9C末‐10C初)「賓頭盧の前なる鉢の、ひた黒にすみつきたるをとりて」
⑥ 黒い色。すみいろ。
※霊異記(810‐824)中「王、三日を経て、墨の如くにして卒(みまか)りぬ」
⑦ 「すみぞめ(墨染)」の略。
※蓬左文庫本江湖風月集抄(1558‐91)下「柱も本の礎盤に、墨もちがはず立る也」
⑨ 和歌などの評。→墨(すみ)を付く

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ぼく【墨】
〘名〙
① 字や絵を書くための黒色の顔料。すみ。〔和英語林集成(初版)(1867)〕 〔説文解字‐一三篇下・土部〕
② 墨子(ぼくし)の学説を奉ずる先秦の一派。墨家。〔孟子‐滕文公・下〕
③ 「ぼっけい(墨刑)」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔周礼‐秋官・司刑〕
④ 「メキシコ」にあてた「墨西哥」の略。

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