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墓誌【ぼし】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

墓誌
ぼし
死者の姓名経歴,没年,事を後世に伝えるために記してに埋めたもの。銅板,石,塼などの材質を用い,墨書,朱書,刻がある。棺や蔵骨器に直接墓を記した例もある。一般に墓内に納めるが,墓前に置く場合には墓碑,墓標 (表) ,神道碑などと呼ばれる。古代のエジプト,ギリシア,ローマなどの墓誌は墓碑の形式をとるものが多い。中国では後漢時代から始り,六朝,隋,唐の時代に盛大に行われ,遼,宋,元の時代まで続いた。漢代の遺例としてえき県出土の延熹6 (163) 年の石製『臨為父作封記墓誌』がある。六朝時代には石材の使用を禁じたため,瓦 塼のものを墓中に埋める例が多くなった。形式も方形となり,この形が以後ほぼ一定化した。さらに墓誌に方形のふたを置くようになり,四神,双竜,蓮弁,流雲,忍冬などの様を線刻した場合もみられる。隋・唐代には大部分が有蓋墓誌の形式となる。遼代には慶陵出土の墓誌 (皇帝の墓誌銘は哀冊という) のように,漢字と契丹文字の両方を刻んだ墓誌がつくられた例もある。宋・元代以降は墨書だけの簡略な 塼墓誌が多くなった。日本では中国の風習が伝えられ,奈良時代から平安時代にかけて盛んに行われて,一部では鎌倉時代まで続いた。奈良時代のものは長方形の銅板が多く,蔵骨器に刻銘した例もある。最古のものは船氏王後墓誌 (668) ,小野朝臣毛人墓誌 (677) などである。遺例は近畿地方が中心であり,山陰・山陽地方にもわずかにみられる。

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朝日新聞掲載「キーワード」

墓誌
有力者が亡くなったときに姓名や先祖位階官職、事績などの情報を石などに記した墓の埋納品。中国では唐代(618~907)に盛んにつくられた。来世での身分証明書という宗教的な性格とともに、盗掘されても被葬者が特定できる目的もあったとされる。近年西安洛陽などで開発が進むに伴って発見が相次いでいる。日本でも7~8世紀の墓誌がみつかっている。
(2019-12-26 朝日新聞 朝刊 2社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

ぼ‐し【墓誌】
金石に死者の事などを記して墓中に納めたもの。また、墓石に死者の事跡などを記した文。

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世界大百科事典 第2版

ぼし【墓誌】
墓誌銘ともいう。本来,中国の文章のジャンルの一つで,墓中に埋め,時代が移り変わっても,墓の主がだれかをあきらかにするための文をいう。通例,墓主の伝記を書いた散文の〈〉と,墓主を記念賛頌する韻文の〈銘〉とから成るが,どちらか一方を欠くばあいもまれにあり,〈銘〉がなくても〈墓誌銘〉と呼ぶのがふつうである。刻される材料は,土中でも保存されるように,石を使用するのが一般的であるが,塼(せん)や金属,特に銅板が使用されることもある。

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大辞林 第三版

ぼし【墓誌】
板石・青銅板などに刻まれて墓中に納められた文。広義には墓石など墳墓の地上部分に刻まれたものをも含める。死者の経歴・事跡などを記し、末尾に韻文の銘(墓誌銘)を入れる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

墓誌
ぼし
墓前に立てる墓碑に対して、石・(せん)・金属に故人の姓名・経歴・没年などを記して墓に納めたものを墓誌とよぶ。中国では後漢(ごかん)代に墓記・封記・葬などが登場し、魏(ぎ)・晋(しん)以後は墓碑がたびたび禁じられたため、墓中に納める墓誌が一般化した。北魏中葉には方形の石に文を刻むようになり、北魏末には蓋(ふた)を伴い、蓋石に題字を、誌石に姓名・経歴を記し、末尾に韻を踏む銘を付す形制が完成する。また蓋には精緻(せいち)な文様を施す例も現れ、この形制は隋(ずい)・唐を経て遼(りょう)・宋(そう)・元にも及ぶ。
 日本古代の墓誌は7世紀後半から8世紀末にかけての18例の出土が知られている。その起源は中国にあるものの、内容・形制ともに特色があり、また時代による変化も認められる。その要点を記すと、7世紀末から8世紀初頭にかけては長方形板状の墓誌の表裏や、銅製骨蔵器に直接銘を記す例が多いが、やがて板状墓誌が多数を占め、銘文も片面にのみ記し、8世紀後半には蓋を伴う例も登場する。またその縦横の比率もしだいに横幅が広くなり、周囲に唐草(からくさ)文などの装飾を施す例も出てくる。このような新しい傾向はいずれも中国墓誌の影響と理解される。古代の墓誌は火葬の採用とともに官人層を中心に普及して、僧侶(そうりょ)・女性の例もある。文章は長文で中国風の銘を有するものもあるが、大半は姓名・官位・卒年のみを記す簡単な例が多く、『喪葬令(もそうりょう)』に定める墓碑の代用としての性格も指摘されている。平安時代以降は、いったん衰退するが、中世には僧侶の在銘骨蔵器として復活し、近世には武家や富豪階層を中心に三たび盛行する。[大脇 潔]

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精選版 日本国語大辞典

ぼ‐し【墓誌】
〘名〙 墓石に刻まれた文、あるいは板石に刻まれて墓中に納められた文。狭義には、板石に刻み墓室に平納したもの。中国後漢代に始まると考えられ、死者の貫籍・閲歴・業績などを塼・石槨・碑などに記す。日本のものには、当初、板石と篆蓋をともに納める中国の影響がみられるが、後に蔵骨器の蓋表に刻名するなど独自なものが現われる。〔随筆・過庭紀談(1768)〕 〔文体明弁‐墓誌銘〕

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