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地質学【ちしつがく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

地質学
ちしつがく
geology
地層・岩石など地球を構成する物質,地球の構造,地球に働く作用とそこに起る諸現象,地球上の生物とその変遷,地球の歴史など,地球のうちでも地殻を中心とした領域を対象とする自然科学の分野をいう。
地質学は普通地質学または一般地質学 physical geologyと地史学 historical geologyの分野に大きく分けることができる。前者は堆積作用や堆積条件を扱う堆積学,地質構造の成り立ちとその形成発達を扱う構造地質学,海底の堆積物・岩石とその構造および環境を扱う海洋地質学,岩石の組成・構造と成因を扱う岩石学,地層・岩石の年代測定法と地質時代の編年を扱う地質年代学などを含み,後者は地層や化石の重なり方および新旧を扱う層序学・生層序学,化石を材料に過去の生物とその変遷を扱う古生物学,ある地域または地球全体の歴史を扱う地史学を含む。
このほか,石炭・石油などの天然資源を対象とする石炭地質学・石油地質学,国土開発などに関係する土木地質学,自然災害の防災を対象とする自然災害科学など,人間社会への応用面を扱う分野をまとめて応用地質学ともいう。このように多くの分野から成っているが,それぞれはまた独立した自然科学としても発展している。
同じように地球を対象とする自然科学には,ほかに自然地理学,水文学,土壌学,鉱物学,地球物理学,地球化学などがあるが,地質学はこれらとともに地球を研究する地球科学の一分野でもある。そのような意味を含めて地質学を地質科学 geological scienceということもある。さらに,これらの学問分野と海洋学気象学天文学などをあわせて,地球に関するすべての自然科学をまとめて地学または地球科学 geoscience,earth scienceという。
地質学が他の自然科学と異なる特徴の一つは歴史科学の性格が強い点である。これは地球で起った諸現象は長大な地球の歴史のなかでそれぞれの進化発展過程として起ったものであり,それらを理解するためには歴史的観点からとらえる必要があることを表わしている。
海の生物の化石が山の上から掘出されるというようなことは,古くは聖書に書かれている「ノアの箱舟」の洪水のような天変地異によるものと人々は考えた。 18世紀末にイギリスの J.ハットンは過去の地質現象も現在と同じ法則に支配されていたとする斉一説 uniformitarianismを主張し,天変地異説との間に論争が続いた。同じくイギリスの C.ライエルの著書『地質学原理』 The Principles of Geology (全3巻,1830~33) は近代地質学の基礎を築き,斉一説を強調し,ダーウィンの進化論にも大きな影響を与えたとされる。「現在は過去を解く鍵である」という彼の有名な言葉は斉一説の内容を端的に表わしている。
地質学はイギリス,フランス,ドイツなどヨーロッパで,石炭の資源開発などの社会的要請もあって発展し,18世紀になって層序学の体系ができ,19世紀に入って化石,岩石の記載,生物進化の研究,構造地質学の発展など,近代科学としての形を整えた。地質学が日本に入ってきたのは 1870年代で,当初は鉱山の調査から始ったが,東京開成学校でも取入れられ,1877 (明治 10) 年東京大学理学部に地質および採鉱冶金学科が設立され,ドイツから E.ナウマン教授を迎えて近代的教育研究の道を進みはじめた。
日本は太平洋プレートの縁に沿う,新第三紀に成立した弧状列島であり,環太平洋造山帯,火山帯,地震帯の一部をなす。そのため地殻変動が激しく,地層は褶曲・断層作用を受け分断されている。先カンブリア時代と考えられるものは,能登・飛騨地方の基盤に分布する変成岩類がそれで,古生代の地層は北上山地と中国などに比較的広く,中生代の地層は北海道の脊梁山地と西南日本に比較的広く分布する。新第三紀の海成層と第四紀の火山灰層は最も広く分布する。そのためもあって,火山灰の層序と編年に基づく火山灰年代学,国際的な浮遊性微化石年代尺度による新第三紀の生層序学,太平洋地域における地史研究の近年の進歩はめざましい。中・古生代についてもプレートテクトニクスの進展に伴い,大陸の周期的離合集散,ゴンドワナ超大陸・ローラシア超大陸の形成と分裂,それらと日本にある岩片・岩体との関係を研究する地質学の分野が急速に進みつつある。いずれにしても,多くの分野で日本の中だけでなく,全地球を背景とした国際的な協力研究を進めるべき段階となっている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ちしつ‐がく【地質学】
地殻の組成・構造・性質・歴史などを研究する地球科学の一分野。ジオロジー(geology)。

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岩石学辞典

地質学
地球の科学で,その起源,組成,構造,歴史などの学問.geologiaという語は地球科学(earth science)という意味で,ダーラム(Dahram)の僧正であるRichard de Buryが最初に用いた.彼は“Philobiblon”(The Love of Books)という本を1473年にCologneで出版した.Cologenはドイツ西部のケルン(Köln)のこと.ケルンの旧称はCöln[ランダムハウス:1994]. 近代的な意味での地質学は1657年にエショルト(Escholt)が用いたが,この語をそれまで用いられたジオグノシー(geognosie)という語に置き換えることは,19世紀の初期には受け入れられてはいなかった.地質学(geology)は,結晶学,鉱物学,岩石学,地球化学,古生物学,層位学,地形学,構造地質学,地球物理学など多くの専門化された科学の分野を包括した語[Escholt : 1657].

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

ちしつがく【地質学 geology】
地球,とくにその表層の地殻を構成する岩石を対象とし,その種類,組成,形成の歴史などを研究する自然科学の一分野。欧米語は,ギリシア語で土地を意味するgeōと学問を意味するlogiaとの合成語で,17世紀ころから用いられ,最初は地形,自然地理なども含む広い意味であった。岩石の分類,記載については,古代からの自然史学natural historyの伝統をつぐ。地殻,岩石の形成史は,地球起源論とむすびつくもので,18世紀のヨーロッパではR.デカルトなどの地球起源論――高温の熱球にはじまり,その冷却によって地球全体が水におおわれ,ついで水が減少したとする――が支配的で,それによる水成説ではすべての岩石を水からの沈殿物,また堆積物とした(ドイツのA.G.ウェルナーら)。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ちしつがく【地質学】
地球の特に表層部の組成や構造・性質・成因・歴史を研究する地球科学の一分野。岩石学・鉱物学・構造地質学・層位学・堆積学・古生物学・鉱床学などを含む。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

地質学
ちしつがく
geology
鉱物、岩石、地層、化石の研究を通じて、地球の構成物質の性質と分布、そのでき方を明らかにし、地球と生物の歴史、地球を舞台とする物理・化学・生物現象の解明を目的とする学問。地球を研究目的とするが、基本的研究手段としてつねに鉱物や岩石などの物質を取り扱うため、マントル上層部以上の岩石圏、とくに地殻上層部が地質学の主要な研究対象である。しかし、地球の研究にとって大きな手助けとなる、月の岩石や隕石(いんせき)など他の天体の物質もまた対象とされる。地質学はその研究対象によって、岩石学、地史学または層序学、古生物学、構造地質学、地震地質学、応用地質学(鉱床学、石油地質学、石炭地質学、土木地質学、水文(すいもん)地質学などを含む)などに細分される。[木村敏雄]

分類

岩石学はさらに火成岩岩石学(火山岩岩石学)、変成岩岩石学、堆積(たいせき)岩岩石学または堆積学に分けられる。これらの諸岩石が、いつ、いかなる原因で、いかなる経過を経て生じたかを研究する。岩石を構成する単一または複数種の鉱物が物理化学の法則に従って形成されかつ共存するので、これら鉱物の研究が野外における産状の調査研究とともにおもな研究手法となる。鉱床学は金属・非金属鉱床を研究対象とするが、手法はこれらに似る。堆積学は堆積岩そのもののほかに堆積現象をも取り扱う。岩石学の分科である火山地質学は火山岩岩石学を背景に置くが、火山にある溶岩、火山砕屑(さいせつ)岩の性質や分布を調べ、火山噴火の仕方や原因を明らかにする。
 層序学は、堆積学の知識をもとにして地層の堆積順序を明らかにし、標準化石を用いてその時代、すなわち層位を明らかにする。またそれにとどまることなく示相化石の研究をあわせて堆積環境の変遷を明らかにする。かつては、時代の決定は標準化石のみによってなされたので、地史学は地層堆積史すなわち層序学と同意とみなされた。しかしながら、放射年代測定が容易に行われるようになったため、地史学は本来の姿として、堆積岩系のみならず、火成岩系、変成岩系をも含め、また構造地質学的な変遷をも含めた総合的な歴史学になってきた。古生物学は化石の記載と分類とを行い、過去の生物の生息環境、進化史について研究する。かつては標準化石、とくに大型化石についての研究によって層序学に大きく寄与した。現在は微化石としての標準化石の研究が行われているが、古環境や、それを踏まえての生物進化の過程の研究に主体が移りつつある。構造地質学は、岩石・地層の中の割れ目、断層、褶曲(しゅうきょく)など地質構造の分布とその成因を研究する。また大陸や海洋、大山脈や大地溝などの分布と成因、それらの形成史を研究する。地震地質学は、新生代第四紀に活動した、今後も活動する可能性のある活断層や、歴史的地震活動記録をもつ断層(地震断層)などについて研究し、地震学に寄与している。[木村敏雄]

社会への寄与

地質学は、鉱床学、石炭・石油地質学などを通じて、地下資源探査に力を発揮し、人類文明の発展に寄与してきたし、いまでもそうである。しかし、地下資源が乏しくなった日本では、土木建設に際しての地盤・岩盤の安定性、地盤・地震災害がおこる原因やそれについての安全性の調査、研究にあたるなど、社会に対する寄与として土木地質学のウェイトが大きくなりつつある。[木村敏雄]

歴史

古くは、ドイツ人のアグリコラが、鉱山の開発に関して、地下での鉱物や岩石の生成について考察している。その後、イギリスのハットンが、現在おこっているのと同じ現象によって、過去の岩石が形成されたことを明らかにして、斉一(せいいつ)説(現行説ともいう)の考えが生まれた。この考えが、イギリスのライエルを通じて、その後の地質学研究の指導原理となった。イギリスで地質図を初めてつくったW・スミスは異なる地層に異なる化石があることをみいだして層序学の基礎を築いたが、その事実もまたライエルを通じて、進化論を生み出すうえで、ダーウィンに大きな影響を与えた。地質学は長く博物学的であった。それを抜けるには岩石の生成や変形についての実験を必要とした。実験岩石学においてはアメリカのボーエンが大きな貢献をした。
 日本には1870年代にドイツのナウマン、アメリカのライマンらによって地質学が輸入された。日本人としては、小藤文次郎(ことうぶんじろう)が地質学と岩石学、また横山又次郎(またじろう)が古生物学の創始者である。[木村敏雄]
『岩生周一・木村敏雄著『一般地質学』(1975・朝倉書店) ▽R・W・オジャカンガス、D・G・ダービー著、堀福太郎訳『生きている地球』(1979・サイエンス社) ▽A・ホームズ著、上田誠也他訳『一般地質学』(1984・東京大学出版会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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