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地球物理学【ちきゅうぶつりがく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

地球物理学
ちきゅうぶつりがく
geophysics
地球上および内部の自然現象を,物理学的手段を用いて研究する自然科学。広義には,宇宙空間,惑星,月,太陽などを対象とする宇宙物理学をも含む。研究対象によって多くの学問分野に分けられる。地球内部や表面を対象とするものには,地震学,火山学,地球内部物理学,固体地球物理学,地球力学,測地学などがあり,海洋を対象とするものには海洋物理学があり,大気圏磁気圏を対象とするものには気象学地球電磁気学超高層大気物理学がある。またほかの天体を対象とするものには,惑星物理学,月物理学,太陽物理学,宇宙空間物理学などがある。

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デジタル大辞泉

ちきゅう‐ぶつりがく〔チキウ‐〕【地球物理学】
物理学の手法を用いて地球全体や、その各部分を研究する学問。測地学・地震学・地球電磁気学海洋学・気象学などを含む。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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岩石学辞典

地球物理学
物理学的方法による地球の研究に関する科学をいい,重力調査,地磁気,地震学などを含む.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

ちきゅうぶつりがく【地球物理学 geophysics】
地球を物理学的方法によって研究する地球科学の一分野。固体としての地球(岩石圏)を取り扱う測地学,地震学,火山学,地磁気学などと,地球表面あるいは近傍の水圏および気圏を取り扱う海洋学,気象学,陸水学,超高層物理学などの2大分野に大別される。測地学は地球の形,大きさ,内部構造などを測地観測の結果をもとに議論し,また地殻の変動を議論する。地震学は地震計測によって地震活動を検出し,その結果を用いて地球上各地域の地震活動度を解明する。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

ちきゅうぶつりがく【地球物理学】
物理学の立場から地球を研究する科学。測地学・地震学・火山学・地球熱学・地球電磁気学・海洋学・陸水学・気象学・超高層物理学などの分野がある。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

地球物理学
ちきゅうぶつりがく
geophysics
地球上や地球内部、さらに太陽系の各惑星やその間に広がる空間などを対象とし、おもに物理学手法で研究する学問の分野。地質学、地理学、地球化学などとともに地球科学を構成する。[河野 長]

歴史と発展

古代エジプト文明の時代には、毎年のナイル川の氾濫(はんらん)によって肥沃(ひよく)な土砂が運ばれてきたことが、農業の発展の基礎となっていたが、氾濫によってわからなくなった土地の境界を決め直す必要から測量技術が発達した。また紀元前3世紀に、エジプト北部のアレクサンドリアに住んでいた自然科学者エラトステネスは、アレクサンドリアとナイル川中流のシエネ(現在のアスワン)との間の距離と、両地点での夏至の日の太陽の高度から、地球の周長を1割以下の誤差で正しく推定している。これらは、地球物理学の一分野である測地学の誕生と考えることができる。暦をつくる必要から古代エジプトやメソポタミアでの天体観測に始まった天文学と並んで、測地学はすべての自然科学のなかでもっとも古い歴史をもつ学問である。
 16世紀から17世紀にかけて近代科学が発展を遂げた時代には、地球に関する問題が物理学の重要な課題であった。イギリスのW・ギルバートは、磁石(ロードストーン)を球状に整形し、その上で磁針の指す方向の分布を測ったところ、地球上での地磁気の分布とよく似ていることを発見した。これは実験物理学を創始したともいえる。
 I・ニュートンが力学をつくりあげる際には、ケプラーやコペルニクス以来の惑星の運動の観測が重要な基礎となったが、ニュートンはまた、自転があるために地球は球形からずれて、赤道付近が張り出した回転楕円(だえん)体になっていることを予言している。この予言は、約1世紀後にフランスのアカデミーが、北極圏内のラップランドと赤道近くの南アメリカ・エクアドルに派遣した探検隊による緯度1度の長さの測量によって証明された。こうした、物理学の対象の重要な問題としての地球の諸現象という関係は、ほぼ19世紀終わりごろまで続いた。ドイツのガウスによる地球磁場の解析は電磁気学の大きな発展といえるし、イギリスのG・ストークスが行った流体力学の研究では海水の運動の解明が重要目標であった。
 20世紀に入って、物理学の主要な対象がよりミクロな世界へ移っていったのに伴い、地球物理学が物理学から分離した。初めは地震波の伝搬を解析して地球内部構造を求めたり、地球の自転の変動を弾性論によって説明しようとするなど数理科学的色彩が強かったが、観測手段が急速に進歩するにつれて、大量のデータから情報を抽出する実証的な科学へと変化してきた。とくに1950年代からの海洋観測の進展と、1960年代からの人工衛星や宇宙探査機の登場は、地球科学にとって未知の分野であった海底や宇宙空間に観測を広げた点で画期的であった。海洋観測からは海洋底拡大説、さらにそれが発展したプレートテクトニクスが誕生し、細分化、専門化の道をたどっていた地球科学をふたたび統合するきっかけを与えた。また宇宙探査は、それまで地球周辺に限られていた地球物理学の対象を月や惑星やその間の空間に広げた。[河野 長]

地球物理学の各分野

地球物理学は大きく分けて、(1)固体地球を対象とするもの、(2)大気や海洋など流体部分を対象とするもの、(3)大気の上に広がる磁気圏や惑星間空間を対象とするもの、に分類される。
 (1)は狭い意味での地球物理学とよぶこともある。このなかには、地球の形・大きさ・重力の分布を調べる測地学、地震の発生の機構や地震波の地球内部での伝搬の仕方、さらに地球内部構造の解明を目的とする地震学、地球深部での高温高圧下における物質の性質やマントル対流の機構などを研究する地球内部物理学、地球のもつ磁場の性質や、地球内部での電磁感応現象を対象とする地球電磁気学、地球内部でのマグマの生成や火山の噴火などに焦点を当てる火山学などがある。もちろん、これらの分け方は便宜的なものであり、同じ固体地球を対象とする以上、相互に密接に関連している。また火山学は地球物理学と地質学の境界領域でもある。さらに、月や惑星の形成史や構造などを扱う惑星科学が発展してきているが、これも固体地球物理学の関連分野になっている。
 (2)の流体圏を対象とするもののなかには、大気中での風や降水などの現象を調べる気象学(または大気物理学)、海洋における水の循環や移動が対象となる海洋学(または海洋物理学)、湖沼や河川など陸上の水について研究する陸水学、雪や氷さらには氷河や大規模な氷床の生成維持機構を対象とした雪氷圏物理学などがある。
 (3)は、大気圏より上層の、とくに電離した気体が重要となる高度(電離層など、高度約50キロメートル以上)を対象とする学問で、もともと地球電磁気学の一分野として出発したが、今日では超高層物理学とよばれる独立の大きな分野に発展した。この分野はまた宇宙空間物理学とか太陽地球系物理学とよばれることもあり、電離度の高い気体(プラズマ)が広がる地球磁気圏から惑星間空間、さらには惑星磁気圏など、太陽系の広い空間を研究対象としており、近年の発展は著しい。
 地球物理学の各分野が基礎としているのは、力学、熱力学、電磁気学、弾性論、流体力学など、おもに19世紀までに完成をみた古典物理学が主であり、量子力学や素粒子物理学など、現在の物理学の最先端の分野に関係することは少ない。しかし、100万気圧、3000℃といった高温高圧の極限条件下での物性など、地球物理学が学界をリードしている部門もある。また基礎方程式は知られていても、サイズや時間などが人間のスケールと違いすぎて実験室では検証できない現象などは、実際の地球の研究にまたなければならない。この意味で、地球は自然科学の巨大な実験場であるともいえよう。[河野 長]
『坪井忠二編『地球物理学』(1966・岩波書店) ▽上田誠也、水谷仁編『地球』(1978・岩波書店) ▽力武常次著『地球物理学』(1978・学会出版センター)』

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