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地すべり【じすべり】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

地すべり
じすべり
landslide
土塊または岩塊が斜面上を下方へ徐々に移動する現象。「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)では,土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象またはこれに伴って移動する自然現象と規定される。急激な崩壊をすることもある。地下水を含んだ粘土がある場合にすべり面ができて地すべりを起こしやすく,この粘土を地すべり粘土と呼ぶ。地すべりの原因となる地質的条件により,新第三紀層地すべり,破砕帯地すべり(断層などで岩石の崩れている部分に起こる地すべり。→断層破砕帯),温泉地すべりなどに分類される。地すべりが起こると,斜面上部には凹地,下部には高まりが生じ,断面形は階段状をなし,平面形は馬蹄形を呈する。日本では,新潟県の新第三紀の丘陵地帯や,吉野川,紀ノ川などの破砕帯の地域などに地すべり地形が多い。(→斜面崩壊土石流

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世界大百科事典 第2版

じすべり【地すべり landslide】
地表を構成する土石の層が,塊のまま日々の変化を追える程度の速さで斜面下方へすべり動く現象。マス・ムーブメントの一形式であるが,現象が複雑で多様性に富むため,日本でも諸外国でもさまざまに定義されている。最も広い意味では,クリープソリフラクションおよび凍結融解に関連する表層物質の緩慢な移動,それらを除いた他の様式による地表の物質移動すべてをさす。この場合,地表下および周囲の不動部分との間に生じたすべり面とよぶ明りょうな境界面によって区切られた斜面物質の一部が,ひと塊になって斜面をずり落ちる点でそれらと区別される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

地すべり
じすべり
土地の一部が重力の作用によってしだいに高所から低所へずり下がっていく現象。急な斜面が急激に崩れ落ちる現象を山崩れ、崖(がけ)崩れといい、1日に何ミリメートルから何センチメートルというように緩やかに移動するものを地すべりというが、両者を厳密に区別することはむずかしい。地盤の中に、水を含むと粘り気を失って糊(のり)状に変化するような軟弱な層(粘土(ねんど)層)があると、過剰な地下水が供給されたとき、その層に沿う摩擦力の減少と、層より上の土塊が水を吸って重くなることの二つの作用により地すべりがおこりやすい。このため、長雨や豪雨、急激な雪融(ゆきど)けなどのあとに地下水面が上昇すると地すべりがおこりやすい。こうした場所で地山の一部を切り取る工事などをすると均衡が崩れ、地すべりを誘発することもある。
 地すべりは特定の地質または地質構造の所に多く発生する。第三紀(新・古)層の酸性白土や黒色頁岩(けつがん)などの分布している山形、新潟、富山、長崎、佐賀などの諸県は地すべりの多い地方である。そのほかに西南日本の中央構造線や中部日本の大地溝帯(フォッサマグナ)などのような地質構造線に沿って、断層などのために地質構造が細切れになっている所では集中的に生じている。徳島県吉野川(よしのがわ)流域、静岡県由比(ゆい)地方の地すべりはこの例である。地すべり地は特徴的な地形をしており、地形図や空中写真あるいは現地踏査で容易に判別できる場合が多い。すなわち、地すべりの頭部に急斜面または断崖(だんがい)があって、その直下に凹地または平坦(へいたん)地があり、それに続いて緩斜面があり、緩斜面の下方にふたたびやや急な斜面が続くという地形である。一度地すべり地形が形成されると、滑動土塊中にも2次、3次の地すべりが生じ、断崖と平坦面の数を増し、ついに階段状の地形となり、この地形を利用して千枚田(せんまいだ)、棚田(たなだ)などがつくられ、「田毎(たごと)の月」のような表現も生まれた。
 地すべりが原因となって山崩れや土石流を誘発し、人命や財産に損傷を与えたり、鉄道・道路などの構造物が被害を受けることも少なくなく、その防止対策は社会的に重要な問題である。基本的な対策としては、地表水排除工(排水のために地表面に種々の排水施設を設置する工事・工法)により地すべり地内への雨水の浸透をできるだけ少なくすること、横井戸やボーリング孔などによってすべりに関与する地下水を排除することであり、そのほか、上部の切り取り、下部の押え盛土、杭工(くいこう)などがあるが、いずれも地すべり地の規模、すべり面の位置、地すべりの活動状況などに関して適確な把握が基礎となる。[芦田和男・水山高久]
『小橋澄治著『地すべり・崩壊・土石流 予測と対策』(1980・鹿島出版会) ▽山口真一著『地すべり・山崩れ 実態と対策』(1990・大明堂) ▽藤田崇著『地すべり――山地災害の地質学』(1990・共立出版) ▽古谷尊彦著『ランドスライド――地すべり災害の諸相』(1996・古今書院) ▽中村三郎編著『地すべり研究の発展と未来』(1996・大明堂) ▽申潤植著『地すべり工学――最新のトピックス』新版(2001・山海堂) ▽藤田崇著『地すべりと地質学』(2002・古今書院)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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