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合巻【ごうかん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

合巻
ごうかん
江戸時代後期に行われた草双紙一種黄表紙寛政の改革以後風刺諧謔を失い,かたき討ち物に転じると,筋書が複雑化して冊数が増し,3~6冊を1部に合冊して売ることになり,これを合巻と称した。形のうえでは式亭三馬作『雷 (いかずち) 太郎強悪物語』 (1806) が前編5冊,後編5冊の合巻として出たのを初めとする。以後,装丁が美しくなり,鮮かな絵を中心に,婦女子向けの草双紙として幕末から明治初期まで人気を保った。当初は読本風の内容をもち,長さも6編程度であったが,のちには長編化し,読本風のもののほか,挿絵役者似顔絵にするなど歌舞伎趣向を多く取入れ,はなやかなものとなった。人気作の柳亭種彦作,歌川国貞画『偐紫田舎源氏 (にせむらさきいなかげんじ) 』は 38編 152冊にもなり,未完に終っている。ほかに山東京伝於六櫛 (おろくぐし) 木曾仇討』 (07) ,柳亭種彦『正本製 (しょうほんじたて) 』 (15) ,曲亭馬琴『傾城 (けいせい) 水滸伝』 (25) ,二世種彦『室町源氏胡蝶巻』 (64) など。

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デジタル大辞泉

ごう‐かん〔ガフクワン〕【合巻】
江戸後期、文化年間(1804~1818)以後に流行した草双紙の一種。それ以前の黄表紙などが5丁1冊であったのを、数冊合わせて1冊とし、長いものは数十冊にも及ぶ。内容は教訓怪談敵討ち・情話・古典翻案など多方面にわたり、子女のみならず大人の読み物としても歓迎された。作者柳亭種彦曲亭馬琴山東京伝らがいる。合巻本

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世界大百科事典 第2版

ごうかん【合巻】
江戸の草双紙(くさぞうし)の一種。草双紙が赤本,黒本・青本,黄表紙と進展した系統を受け,教化性と伝奇色を強めて,近世後期に盛行した。体裁は美濃紙半截二つ折り,1巻5丁単位で数巻を合冊,当初は絵題簽(だいせん)貼付表紙を,やがて錦絵摺付表紙を適宜添付本文は毎ページ浮世絵の挿絵を入れ,これを主体として周囲を平仮名の細字本文で埋め,画文有機的に関連して筋を運ぶ。よく造本形態の特徴を活用し,絵組に動画的発想と絵巻風の構成を示す。

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大辞林 第三版

ごうかん【合巻】
草双紙の一。江戸後期、文化(1804~1818)初年頃より流行した絵入りの読み物。五丁一巻の従来の草双紙数冊を綴じ合わせて一編としたところからの称で、長さは数十編に及んだ。黄表紙が読み物化し長編化した内容で、実録・読本・歌舞伎などの影響を受け、挿画にも工夫がこらされ庶民層に広く読まれた。合巻物。合巻本。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

合巻
ごうかん
江戸後期の草双紙(くさぞうし)の一態。寛政(かんせい)の改革(1787~1793)による出版取締りで、黄表紙(挿絵入り小説の一種)が、その特質ともいうべき滑稽(こっけい)さ、洒脱(しゃだつ)さ、風刺性を失い、時代に同調した教訓性を前面にたてて、忠孝を賞揚する敵討物(かたきうちもの)が盛行し、それに伴い、筋立てが複雑化して長編の続き物が多くなった。そこで、これまで5丁を1冊とし、数冊を1編としていた草双紙を1冊に合綴(がってつ)するようになった。判型はこれまでの草双紙と同じく中本型(四六判、縦約18センチメートル・横13センチメートル)で、表紙は華麗な錦絵(にしきえ)刷りで描かれ、全ページに墨印の挿絵が入るほか、錦絵刷りや墨印の口絵のつくものも多い。この体裁は早く享和(きょうわ)(1801~1804)末年にみられ、合巻という語も1804年(文化1)には現れるが、広く普及したのは式亭三馬の『雷太郎強悪物語(いかずちたろうごうあくものがたり)』などが出た1806年以後とみてよい。
 その題材から通俗性と伝奇性を特徴とし、血みどろでグロテスクな描写が多く、倫理観も正義より力といった感が強い。初期には山東京伝(さんとうきょうでん)を代表的作者として、読み切りの短編が多く、時を前後しておこった読本(よみほん)の趣向や民話、伝説などを素材としたが、その後を受けた柳亭種彦(りゅうていたねひこ)が『正本製(しょうほんじたて)』(1815~1831)で歌舞伎(かぶき)の趣向を取り入れて成功をみて以来、作中人物の顔なども役者の似顔絵で描くことが流行した。読本作者として名高い曲亭馬琴(きょくていばきん)も中国小説の翻案によって『傾城水滸伝(けいせいすいこでん)』などを書き、合巻の長編化に一役買い、これに触発されて種彦は『源氏物語』を翻案して『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』を書いた。天保(てんぽう)の改革(1841~1843)による言論弾圧で、以後沈滞を余儀なくさせられて、伝奇的な側面が猟奇的、官能的な面でのみ拡大され、明治になると、ついに新聞小説や雑誌の連載小説に発展解消した。[宇田敏彦]
『鈴木重三著『大東急記念文庫講座シリーズ9 合巻について』(1961・大東急記念文庫)』

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精選版 日本国語大辞典

ごう‐かん ガフクヮン【合巻】
〘名〙 近世、文化・文政(一八〇四‐三〇)期以降、近代初頭まで流行した草双紙の一種。従来五丁一冊であった草双紙を一五丁または二〇丁で一冊としたもの。毎丁絵入りで平易な筋をもつものが多く、演劇の趣向を取り入れたものも多く見られる、伝奇的な絵画娯楽小説。作者には、柳亭種彦、曲亭馬琴、山東京伝などがあり、絵師には歌川国貞、勝川春扇などの浮世絵師がある。合巻絵草紙。合巻本。合巻物。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「合巻(ゴウカン)とやら申す草双帋が出るたびに買ますが」

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旺文社日本史事典 三訂版

合巻
ごうかん
江戸後期の草双紙の一つ
黄表紙合巻本ので,従来5丁(10ページ)1冊のものを,数冊合わせて長編物の需要に応じた。表紙には美しい錦絵を用い,歌舞伎・浄瑠璃題材を求めた。柳亭種彦の『偐紫田舎源氏 (にせむらさきいなかげんじ) 』が特に好評で,ほかに滝沢馬琴・山東京伝らが著名。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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