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化学療法【かがくりょうほう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

化学療法
かがくりょうほう
chemotherapy
細菌,ウイルス,真菌,原虫,寄生虫などの病原体に特異的に作用する化学物質を用いて,病原体の成長抑制,または殺滅を選択的に行なって,宿主の疾病治療する方法。これに使われる薬剤を化学療法剤という。マラリアに対するキニーネ,結核に対するストレプトマイシン,PAS (パス) ,イソニアジド,および梅毒に対するサルバルサンなどは化学療法剤の例である。ほかに,抗生物質や悪性腫瘍に対する抗癌剤も広義の化学療法剤である。化学療法は,血清療法とともに微生物による疾病の重要な治療法である。

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デジタル大辞泉

かがく‐りょうほう〔クワガクレウハフ〕【化学療法】
病原微生物や癌(がん)細胞を化学的に合成された薬品や抗生物質を用いて殺滅・抑制しようとする治療法。

出典:小学館
監修:松村明
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栄養・生化学辞典

化学療法
 化学物質を投与することによって,疾病の治療を行う方法.

出典:朝倉書店
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PET検査用語集

化学療法
抗がん剤を投与して、がん細胞の増殖を抑えたり死滅させる治療法。がんによって有効な抗がん剤は異なり、薬によっては、吐き気や食欲不振などの副作用が強 いこともあります。

出典:PET検査ネット
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世界大百科事典 第2版

かがくりょうほう【化学療法 chemotherapy】
化学療法とは,創始者P.エールリヒによれば,化学物質を用いて人体や動物体内に侵入した病原体を殺す原因療法と定義される。そして,そのような物質(化学療法剤)は,人体には無害で病原体にのみ選択的に毒性を発揮するものであり,消毒薬のように,いずれにも有害であるため,体外での使用しかできない薬剤とは根本的に異なる。化学療法はL.パスツールやR.コッホによって確立された病原微生物学の上に発展したものであり,エールリヒの選択的毒性の概念は,彼自身の研究経験である細菌の色素親和性や免疫現象における特異性の問題にそのヒントを得ている。

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大辞林 第三版

かがくりょうほう【化学療法】
化学的に合成した薬品や抗生物質を用いる治療法。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

化学療法
かがくりょうほう
化学物質を用いて生体内の病原寄生体に対し直接その増殖を阻害したり殺菌することによって疾患を治療する方法をいう。薬物療法の一種であるが、対症療法ではなく、原因療法の一つである。[柳下徳雄]

沿革

化学療法はドイツの細菌学者エールリヒによって創始された。1899年、新設の国立実験治療研究所の所長となったエールリヒは、数百に及ぶ化学物質を動物実験に用い、化学物質と抗菌作用の関連を追究していたが、留学中の秦(はた)佐八郎が同研究所で梅毒をイエウサギに感染させることに成功すると、ただちに前述の化学物質を投与して効果をみることを命じ、1909年、606番目の化学物質サルバルサンによってようやく梅毒の治療に成功、翌年これを発表した。また、エールリヒは化学療法を学問的に体系づけたことでも知られ、薬効係数や化学物質の作用機序などの理論は現在もなお認められている。
 1932年に、殺菌性染料を研究中のドイツのドーマクは、発見されたばかりの赤色染料プロントジルを、溶血性連鎖球菌によって敗血症をおこさせたハツカネズミに投与して卓効のあることを確認し、35年に発表した。その後、プロントジルの作用の本態が、生体内でアゾ結合が分解して生ずるスルファニルアミドであることがわかり、36年には合成されたスルファミンに抗菌性のあることが確認された。さらに37年、イギリスでスルファピリジンが肺炎の治療に用いられて成功するに及んで、次々に多数のスルファミン誘導体が合成され、多くのサルファ剤が出現した。しかし、実際に使われているサルファ剤は、その数に比べてきわめて少ない。
 ついで抗生物質が登場したが、その発見は1928年である。イギリスのフレミングはインフルエンザウイルスの研究中に、実験室内で空中から落下したアオカビがブドウ球菌の培養器内で増殖し、その周囲が無菌状態になっているのを偶然発見、アオカビの培養物のエキスをつくり、これを800倍に薄めてもブドウ球菌の増殖を抑制することをつきとめ、この物質をペニシリンと名づけた。しかし、このエキスは物質として純粋なものでなかったこともあり、治療効果の面では評価されないまま10年を経過した。39~40年、イギリスのフローリーとチェインらは共同研究の結果、ペニシリンを純粋な物質として抽出することに成功し、動物の連鎖球菌感染症を治療した。このペニシリンが注目されたのは44年、当時のイギリス首相チャーチルの肺炎を治し、奇跡の薬として全世界に報道されてからである。
 また、1943年にはアメリカのワックスマンがストレプトマイシンを発見し、45年から結核の化学療法が始まった。以来、多くの抗生物質の研究開発が行われて、多くの感染症の原因療法が容易となったが、一方、化学療法剤に対する耐性菌も出現した。そして、この耐性菌にも有効な新しい化学療法剤の開発、それに対する耐性菌の出現、という繰り返しが現在まで続けられている。また、化学療法の対象は病原寄生体にとどまらず、近年は抗悪性腫瘍(しゅよう)剤(制癌(せいがん)剤)の開発も盛んに行われている。
 一般に、化学療法史上では、サルバルサンの発見を第1期とし、サルファ剤時代を第2期、抗生物質時代を第3期と称している。[柳下徳雄]

化学療法剤

化学療法に用いられる化学物質をいう。狭義には、微生物が産生する物質である抗生物質を別にして、あくまで合成された化学物質をもって化学療法剤とするが、抗生物質にも合成されるものが出現して、この区別があいまいになり、現在では広義に抗生物質を含んでよばれることが多い。
 化学療法剤は、生体に寄生する病原体を目標として投与されるのが特徴で、一般の薬物療法に用いられる薬剤が生体に対する薬理作用を利用しているのと異なる。化学療法剤では、生体そのものに対する作用は、副作用となる。また、病原体に対する親和性は効果であり、生体の組織細胞に対する親和性は毒性とみられ、両者の比を化学療法係数という。
 化学療法剤には、その薬物に感受性のある病原体が決まっており、選択毒性という。これは効果の有効範囲を示すもので、グラム陽性菌のみに有効とか、グラム陽性菌と陰性菌の両方に有効といったことが選択毒性で、化学療法剤にはかならず有効な菌種や無効な菌種などの程度を示す抗菌スペクトルが示されている。また、化学療法剤の耐性は病原体そのものが耐性をもつことを意味し、生体がその薬物に対して耐性をもってくるのではない。その機序については、病原体の遺伝子の細胞融合や酵素系に関連するといわれる。
 化学療法剤の作用には、病原体の発育を抑制するだけの静菌作用と、殺菌してしまう殺菌作用の二つがある。静菌作用は発育を阻害するだけであり、病原体は増殖しないが死んではいないので、環境の変化があれば増殖することがある。したがって、化学療法剤の種類やその濃度に留意すべきで、投与間隔が問題にされる。静菌性のものは投与間隔を短く、頻回に投与する必要があるが、殺菌性のものは再増殖を始めるまでに時間がかかるので、投与間隔は長くてもよい。また、作用機序については、(1)病原体の細胞壁の合成阻害、(2)細胞壁の透過性を変える、(3)増殖に必要なタンパク質の合成阻害、(4)核酸の合成阻害、(5)代謝拮抗(きっこう)、などがあげられている。(1)と(2)は溶菌をきたし、殺菌作用を示す。(3)~(5)の場合は増殖阻害作用であり、静菌作用を示す。[柳下徳雄]
『『臨床医』7巻1号「化学療法――基礎と臨床」(1981・中外医学社) ▽ガリル著、塚田隆訳『化学療法』(白水社・文庫クセジュ) ▽真下啓明他著『臨床薬理学大系10 化学療法薬』(1964・中山書店)』

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