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労働委員会【ろうどういいんかい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

労働委員会
ろうどういいんかい
労使間の紛争の解決をはかる権限をもつ行政委員会中央労働委員会(厚生労働大臣所轄)と都道府県労働委員会(都道府県知事所轄)がある。委員会の権限は,斡旋調停仲裁の調整的権限と,労働組合の資格審査,不当労働行為に対する救済,労働協約について地域的な一般的拘束力の決定など準司法的権限とがある。委員会は使用者を代表する者(使用者委員),労働者を代表する者(労働者委員)および公益を代表する者(公益委員)各同数で組織され,任期はいずれも 2年。委員の任命は,中央労働委員会は内閣総理大臣が,都道府県労働委員会は都道府県知事が行ない,会長は委員が公益委員の中から選挙する。委員は秘密を守る義務を負う。不当労働行為に関し都道府県労働委員会の救済命令に対しては,使用者は中央労働委員会に再審の申し立てができるが,一般に,労働委員会が行なった処分については,行政不服の申し立てはできない。1988年国営企業の労働関係を取り扱っていた国営企業労働委員会が中央労働委員会と統合。また,国土交通省の外局として設置されていた船員労働委員会は 2008年に廃止となり,中央労働委員会と都道府県労働委員会に所掌事務を移管した。

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デジタル大辞泉

ろうどう‐いいんかい〔ラウドウヰヰンクワイ〕【労働委員会】
労働争議の調整や不当労働行為の審査などを行う行政委員会。労働者・使用者・公益を代表する委員からなり、中央労働委員会都道府県労働委員会がある。
[補説]かつては船員のための船員労働委員会が存在したが平成20年(2008)廃止。業務は中央労働委員会・都道府県労働委員会に移管された。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

ろうどういいんかい【労働委員会】
労使紛争の調整と不当労働行為の審査・救済を主目的とする独立行政委員会。行政委員会という形態は,労使関係につき専門的知識・経験を有する委員が,適切かつ柔軟な事件処理をするために採用されたといわれる。
[種類,機構]
 民間の労使関係を一般的に対象とするものとして地方労働委員会(地労委。都道府県知事の所轄で,各都道府県ごとに設置)と中央労働委員会(中労委。労働大臣の所轄で,東京に設置)がある。そのほかに,船員については,船員地方労働委員会(運輸大臣の所轄で,各海運局ごとに設置)と船員中央労働委員会が,また,公共企業体等の労使関係を対象とするものとして公共企業体等労働委員会(公労委)がある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ろうどういいんかい【労働委員会】
労使関係の調整をはかるために設置された行政委員会。労働者・使用者・公益を代表する各同数の委員で構成、労働争議の斡旋あつせん・調停・仲裁、不当労働行為の審査などを行う。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

労働委員会
ろうどういいんかい
労使間の紛争を解決するために労働争議の調整や不当労働行為の審査などを行う行政委員会。

意義

第二次世界大戦前の大日本帝国憲法の下では労働者の団結権は認められておらず、労働組合を結成したりストライキなどの争議行為を行うことは、治安警察法や行政執行法などの法律で厳しく制限されていた。しかし1945年(昭和20)に日本軍国主義が敗北したのち、日本を民主化していくうえで、労働組合運動を解放し労働者の団結権を承認することが不可欠であると考えられた。こうして早くも敗戦の年の12月に労働組合法(旧法)が制定され、その翌1946年に公布された日本国憲法も「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」(28条)と定めたのである。労働委員会は、このように戦後憲法上保障されるようになった団結権に対する侵害の救済機関として、また労働関係の公正な調整を図るための機関として旧労組法に基づいて設置されたものである。その後1949年に労組法が改正され、使用者の団結権侵害行為である不当労働行為について、それまでの刑罰が科せられるという科罰主義から原状回復主義に変わるなど、いくつかの重大な修正を経て現在に至っている。
 労働委員会が扱う労使間の紛争というのは、労働基準法の遵守や労働契約の個々の解釈をめぐる争いではなく(もちろん密接に関連することが多いが)、使用者による組合結成の妨害などの団結権侵害あるいは労働争議の調整といったいわゆる集団的労働関係をめぐる争いである。労働委員会は、こうした紛争が複雑な内容をもち、しかも迅速かつ柔軟な処理を必要とする点にかんがみて設置されたのであり、厳格な手続に従って当事者間の権利義務関係を確定する裁判所と異なり、その専門性と迅速性に特徴を有する。[木下秀雄・吉田美喜夫]

種類

労働組合法において、労働委員会は、厚生労働大臣が所轄する中央労働委員会(中労委)と、各都道府県ごとに設置される都道府県労働委員会(都道府県労委)からなっている。従来、都道府県労働委員会は地方労働委員会(地労委)とよばれていたが、2005年(平成17)に改称された。中労委と都道府県労委との関係については、中労委が不当労働行為の審査などについて都道府県労委の審査を再審査したり、労働争議調整において二つ以上の都道府県にまたがる事件を管轄するなど若干権限・機能を異にするが、原則としては互いに独立した行政機関として活動している。
 国が経営していた郵政、林野、印刷、造幣の四つの現業部門(林野以外の現業部門は2003年4月に公社化ないし独立行政法人化された)に関する労使紛争の調整や不当労働行為の審査については国営企業労働委員会(国労委)が所管していた。もともと国鉄、専売公社、電電公社といういわゆる三公社とアルコール専売を含む五つの現業については、敗戦後から1949年(昭和24)までは一般の中労委、地労委が所管していたが、マッカーサー書簡に端を発する官公労働者の労働基本権剥奪(はくだつ)と関連して別に公共企業体等労働委員会(公労委)が設置された。その後の公社の民営化などに伴い、1987年4月から四現業のみを所管する国労委が設置された。しかし、この国労委も1988年9月に中労委に統合され、廃止された。また国家公務員や地方公務員には労組法は適用されず、したがって中労委、都道府県労委はこれらの職員団体の事件は取り扱わない。そして中労委、都道府県労委にかわって、これらの職員に対する不利益処分などを取り扱う機関として、人事院、人事委員会、公平委員会が設置されている。なお、2001年以後設立された独立行政法人の大半は中央労働委員会が扱う。また、従来設けられていた船員に関して所管する船員労働委員会は、2008年に廃止され、中労委、都道府県労委の管轄となった。[木下秀雄・吉田美喜夫]

構成

いずれの委員会も、公益を代表する公益委員、使用者を代表する使用者委員、労働者を代表する労働者委員からなる三者構成である。中労委、都道府県労委は公・労・使の各委員同数である。このように三者構成をとっているのが、日本の労働委員会制度の特徴の一つである。[木下秀雄・吉田美喜夫]

権限・機能

労働委員会のもつ機能は、判定的機能(準司法的機能ともいわれる)と調整的機能の二つに大別される。一つ目の判定的機能の中心は、「差別待遇」「団体交渉拒否」「支配・介入」といった使用者の不当労働行為を審査・判定し、裁判所とは別に救済を与える機能・権限であり、これは労働委員会の活動の主要な内容でもある。このほかに労働委員会は、労働組合の資格審査・証明、労働協約の地域的一般的拘束力についての決議、公益事業における争議予告違反に対する処罰請求などを行う。もう一つの調整的機能とは、労働争議が紛争当事者の自主的努力のみで解決されない場合に、労働委員会が関与して、労働争議の解決を援助することをいう。関与の程度によって斡旋(あっせん)、調停、仲裁に分かれる。斡旋は、斡旋員が労使の話し合いをとりなすことであり、調停は、労働委員会に設置された調停委員会が調停案を提示して労使の妥結を促す方法であり、仲裁は、仲裁委員会が労使を拘束する仲裁裁定を提示することによって紛争を解決するものである。労使間の紛争はできるだけ当事者が自主的に解決することが望ましいから、労働争議調整の手続を定めた労働関係調整法も、当該紛争の当事者に自主的調整の努力をする責務のあることを定めている(4条)。
 労働委員会はさらに、必要な帳簿書類の提出を労働組合・使用者に要求する強制権限などももっている。いずれにせよ、判定的機能と調整的機能をあわせもっていることも、日本の労働委員会の特徴である。[木下秀雄・吉田美喜夫]

課題

労働委員会は以上のように、
(1)裁判所による救済と異なり、労使関係の専門家が事件の処理にあたり、また行政機関という性格上事件の処理を柔軟かつ迅速に行いうる、
(2)独立した行政機関であり自主的な権限行使が保障されている、
(3)公・労・使の三者構成をとり、また、判定的機能と調整的機能とをあわせもっている、
などの特徴を有している。
 しかし実際の運用において、とりわけその活動の主要部分を占めている不当労働行為の審査については以下のような問題点が指摘されている。
(1)不当労働行為の審理に要する日数が長期化する状況がみられる。「遅すぎる決定は事実上救済なきに等しい」と批判されているように、労働委員会が審理に手間どっている間に申し立てた労働組合が事実上壊滅させられているというような事態も生じる。そこで、現在では、審査期間の目標を定めることとされており(労働組合法27条の18)、審査の迅速化が課題である。
(2)現行法上、労働委員会が救済命令を出した場合、使用者がその取消しを求めて行政訴訟を起こすことが認められているため、さらに裁判所での争いが地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と続くことになり、救済を申し立てる労働組合・組合員の負担はたいへん大きいものとなっている。このため、労働委員会が救済命令を出した場合、裁判所による審査を一定程度限定しないと、事実上、都道府県労委・中労委の審理とあわせて「五審制」をとることになる点に対する批判もある。
(3)労働委員会が救済命令を出してもその実効性を確保する手段が十分でないことがあげられる。
(4)不当労働行為の審査過程で、団結権侵害の有無を明確にしないまま斡旋的和解により終結することが多くあり、団結権侵害の救済という性格があいまいになる傾向がある。[木下秀雄・吉田美喜夫]
『大和哲夫著『不当労働行為と労働委員会制度の研究』(1987・第一法規出版) ▽日本労働法学会編『不当労働行為』(1988・総合労働研究所) ▽道幸哲也著『不当労働行為救済の法理論』(1988・有斐閣) ▽山本吉人著『労働委員会命令と司法審査』(1992・有斐閣)』

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