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副甲状腺機能低下症【フクコウジョウセンキノウテイカショウ】

デジタル大辞泉

ふくこうじょうせんきのうていか‐しょう〔フクカフジヤウセンキノウテイカシヤウ〕【副甲状腺機能低下症】
副甲状腺ホルモン分泌が低下することで起こる低カルシウム血症・高リン酸血症などのこと。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

副甲状腺機能低下症
 上皮小体機能低下症ともいう.副甲状腺機能が低下し,副甲状腺ホルモンの分泌が低下して,血漿中のカルシウム濃度が低下する症状

出典:朝倉書店
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日本大百科全書(ニッポニカ)

副甲状腺機能低下症
ふくこうじょうせんきのうていかしょう
副甲状腺ホルモンが足りないためにおこる疾患。原因は自己免疫機序による特発性のものと、甲状腺腫瘍(しゅよう)の手術の際、いっしょに副甲状腺(上皮小体)をやむをえずとってしまった場合や、腫瘍の放射線治療のために副甲状腺機能が低下してしまった場合などがある。特徴的な症状はテタニー発作である。まず手足のしびれがおこり、ついで手の指先をすぼめて手首を曲げた特有のけいれんがみられる。ときには、けいれんが全身におこり、てんかんと間違えられることがある。喉頭(こうとう)に発作が現れると、喉頭けいれんと呼吸困難をおこす。また、爪(つめ)の表面が不整で横溝ができたり(モニリア症)、白内障がみられることが多い。なお、血液中の副甲状腺ホルモンの濃度が正常でありながら、このホルモンを受け入れるレセプター(受容器)が異常でホルモンの効果が現れず、副甲状腺機能低下症を示すものがある。これを偽性副甲状腺機能低下症とよぶ。治療はビタミンDとカルシウム剤を毎日服用すればよい。[高野加寿恵]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

副甲状腺機能低下症(副甲状腺・カルシトニン・ビタミンD)
定義・概念
 副甲状腺からの副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の分泌不全,あるいはPTHの標的臓器における作用不全(PTH不応症)によって,低カルシウム血症と高リン血症を主徴とする一群の疾患を指す.
分類
 術後性や特発性副甲状腺機能低下症(idiopathic hypoparathyroidism:IHP)などPTHの分泌不全によるものと,PTHの標的臓器(腎と骨)における不応症による偽性副甲状腺機能低下症(pseudohypoparathyroidism:PHP)に大きく分類される(表12-5-6).PHPはさらに,身体的特徴や外因性に投与されたPTHに対する反応性(Ellsworth-Howard試験)に基づいて,いくつかの病型に分類される【⇨12-5-8)】.
原因・病因
 術後性の副甲状腺機能低下症は,副甲状腺や甲状腺の手術後,喉頭癌や食道癌に対する手術後に発症することがある. まだ病因不明のものは特発性副甲状腺機能低下症と称されるが,表12-5-6に示すように,近年さまざまな原因遺伝子が同定されている. 副甲状腺機能低下症は,多腺性自己免疫症候群(autoimmune polyglandular syndrome,type I)の一部分症として現れることがあり,Addison病,カンジダ症を3主徴とする症候群はHAM(hypoparathyroidism,Addison disease,mucocutaneous candidiasis)とよばれる.禿頭・悪性貧血・インスリン依存性糖尿病などを合併する症例もあり,広くAPECED(autoimmune polyendocrinopathy-candidiasis-ectodermal dystrophy)とも称され,その原因遺伝子AIRE(autoimmune re gulator)は1997年に同定されている. Ca感知受容体(副甲状腺において血中Ca濃度を感知しPTHの分泌を制御する細胞膜7回貫通型の受容体)の活性型変異では,PTHの分泌が不適切に抑制された結果低カルシウム血症を呈する. 常染色体優性あるいは劣性遺伝性の家族性副甲状腺機能低下症においては,PTH遺伝子のシグナル配列やエクソン-イントロン境界の変異により,PTHの分泌過程や遺伝子のスプライシングに異常が生ずることが報告されている.
 DiGeorge症候群では,第Ⅲおよび第Ⅳ鰓囊の発生異常により,胸腺と副甲状腺の形成不全が生じる.
 PHPについては,次項偽性副甲状腺機能低下症の項で詳述する.
 Mg欠乏・低マグネシウム血症は,アルコール依存症,慢性の下痢・消化不良,薬物(シスプラチン,利尿薬の長期使用,アミノグリコシド系抗菌薬)などに合併して認められる.
病態生理
 PTHの標的臓器は骨と腎である.PTHは,骨吸収による骨から血液へのCaの動員と,腎の遠位尿細管におけるCa再吸収の促進によって血清Caを上昇させる働きがあるが,副甲状腺機能低下症では,これらのPTH作用が十分に起こらない結果,低カルシウム血症がもたらされる. PTHはまた,腎の近位尿細管におけるPの再吸収を抑制(排泄を促進)するため,PTH作用不全では,高リン血症がもたらされる.近位尿細管におけるPTH作用には,細胞内で産生されるサイクリック(cyclic)AMP(cAMP)がセカンドメッセンジャーとして媒介することから,副甲状腺機能低下症ではPTH作用低下を反映して,尿中cAMP排泄が低下する. PTHは,近位尿細管においてビタミンDを活性化し,産生された1,25-(OH)2-Dは腸管からのCa吸収に重要であるため,副甲状腺機能低下症ではCa吸収低下も低カルシウム血症に寄与する.
 低マグネシウム血症によって起こる低カルシウム血症には,PTHの分泌低下と標的臓器におけるPTH不応症の両者が関与する.
臨床症状
 表12-5-7に低カルシウム血症による自覚症状と他覚所見をまとめたが,主として血中イオン化Ca濃度の低下による神経・筋の興奮性亢進による.
検査成績
 PTHは,血清Caを上昇,血清Pを低下させる方向に働くことから,副甲状腺機能低下症では病型の如何を問わず,低カルシウム血症・高リン血症が基本である.血清1,25-(OH)2-Dレベルも低く,尿細管におけるP再吸収閾値(TmP/GFR)は高値を示す. 図12-5-14に示すように,血中PTHレベルは,常に血中Caとの関係において評価する必要がある.術後性および特発性副甲状腺機能低下症などの病態では,低カルシウム血症にもかかわらず血清PTHは低値を示し,PTHの分泌不全があると判断する.一方,偽性副甲状腺機能低下症では,低カルシウム血症に対して副甲状腺が正常に反応し血清PTHレベルは上昇する.
 その他の血液生化学検査では,とりわけテタニー発作や痙攣発作に伴って,LDHやCPKなど筋肉由来の酵素の血中レベルが高値を示す.
診断
 低カルシウム血症による自覚症状・他覚所見(表12-5-7)に加えて,血液生化学検査で低カルシウム血症・高リン血症が確認されれば副甲状腺機能低下症が強く疑われる.さらに血清PTHレベルが低値であれば術後性あるいは特発性副甲状腺機能低下症,上昇していれば偽性副甲状腺機能低下症の診断が示唆される(表12-5-8).
 外因性に投与されたPTHに対する腎の反応性(Ellsworth-Howard試験)は,主として偽性副甲状腺機能低下症のなかでの病型分類に用いるが(【⇨12-5-8】),術後性や特発性副甲状腺機能低下症などでは本来PTHが欠乏しているため,外因性のPTHによく反応して,尿中cAMPおよびリン酸排泄が著明に増加する.
 低マグネシウム血症による低カルシウム血症は,アルコール依存症,慢性の下痢・消化不良,薬物(シスプラチン,利尿薬の長期使用,アミノグリコシド系抗菌薬)などMg欠乏をきたしやすい臨床的背景が存在する.血清Mg値の測定が重要で,血中PTHは低下していることが多い(見かけ上正常でも,低カルシウム血症下では不適切に低いと判断される).
鑑別診断
 低カルシウム血症をきたす疾患の検査所見を表12-5-8にまとめた.
 ビタミンD欠乏症は,高齢者や慢性消耗性疾患の患者にみられ,軽度の低カルシウム血症と,続発性に副甲状腺機能亢進状態となるため,血清PTHの上昇,PTH作用過剰による低リン血症,血清アルカリホスファターゼ(ALP)の上昇を示すのが特徴である.
 腎不全も高リン血症,低カルシウム血症,続発性副甲状腺機能亢進による血清PTHの上昇を示すが,腎機能低下を伴うことから鑑別される.
合併症
 特発性副甲状腺機能低下症には,特発性Addison病および皮膚モニリア症(HAM症候群),あるいは悪性貧血,橋本病,糖尿病,性腺機能低下症など(APECED)を合併することがある.
 偽性副甲状腺機能低下症の一部では,低身長,肥満,円形顔貌,中手骨・中足骨の短縮,皮下の骨化など,Albright遺伝性骨異栄養症(Albright’s hereditary osteodystrophy:AHO)とよばれる身体所見を示すことがある【⇨12-5-8】.
経過・予後
 血清Caさえコントロールできれば,生命予後は一般に良好である.
治療
 全身痙攣発作などの緊急時にはCaを静脈内投与する.ただし,ジギタリス投与中の患者はCaの上昇に対して感受性が高いので,心電図をモニターしながら投与する.
 現在のところ,特発性副甲状腺機能低下症に対してPTHの合成・分泌能を高める,あるいは偽性副甲状腺機能低下症に対してPTHに対する標的臓器の反応性を回復させるような根本的治療法は存在しない.したがって,治療の目的は,血清Caレベルを是正し,テタニーや痙攣発作など低カルシウム血症による症状を防止することに向けられる.
 このような慢性期の治療としては,PTHの分泌低下に基づく術後性や特発性副甲状腺機能低下症に対しては,PTHの投与が次に考えられる合理的手段であるがまだ臨床応用には至っていない.また,PTHに対する不応症である偽性副甲状腺機能低下症には,PTHの投与は当然無効である.したがって,実際の治療は,PTHの分泌不良による特発性副甲状腺機能低下症の場合も,偽性副甲状腺機能低下症の症例に対しても,血清Caを上昇させる第二のホルモンである活性型ビタミンD3製剤の経口投与が行われる.
 1α,25-(OH)2-D3(カルシトリオール)あるいは1α-(OH)-D3(アルファカシドール)を最小量から投与する.1α-(OH)-D3はプロドラッグで,肝臓で25位が水酸化された後に活性型の1α,25-(OH)2-D3になる.活性型ビタミンDは腸管からのCa吸収を促進するが,血清Caを上昇させると同時に尿中Ca排泄も増加する.尿中Ca排泄増加に伴う腎機能低下や尿路結石を防止するため,尿中Ca/Cr比を0.3以下に保ちながら,血清Ca値を正常下限の8.5 mg/dL前後に維持することを目標に治療を継続する.
 術後性および特発性副甲状腺機能低下症では,PTH欠乏の結果,遠位尿細管におけるCa再吸収作用がなく,治療に伴って尿中Ca排泄がより増加するため,偽性副甲状腺機能低下症と比較して約2倍の活性型ビタミンD3の維持量が必要となる(1α-(OH)-D3で平均4 μg/日,1α,25-(OH)2-D3で平均2 μg/日).これに対して,偽性副甲状腺機能低下症は,腎の近位尿細管におけるPTH不応症であり,遠位尿細管におけるPTHのCa再吸収作用は保たれているために尿中Ca排泄が少なく,特発性の症例と比較して少量の活性型ビタミンD3で効率的に血清Ca値を正常に維持できることが知られている(1α-(OH)-D3で平均2 μg/日,1α, 25-(OH)2-D3で平均1 μg/日). 低マグネシウム血症による低カルシウム血症の場合には,Mg欠乏を起こしている基礎疾患を治療することが根本的である.その間対症的にはMgSO4の補給(ゆっくり点滴静注)が有効である.[池田恭治]
■文献
Bilezikian JP, et al: Hypoparathyroidism in the adult: epidemiology, diagnosis, pathophysiology, target-organ involvement, treatment, and challenge for future research. J Bone Miner Res, 26: 2317-2337, 2011.
遠藤逸朗,松本俊夫:鑑別診断と副甲状腺機能低下症の分類.日内会誌,96: 688-695, 2007.
Marx SJ: Hyperparathyroid and hypoparathyroid disorders. N Engl J Med, 343: 1863-1875, 2005.

出典:内科学 第10版
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副甲状腺機能低下症(代謝・内分泌疾患に伴う神経障害)
(6)副甲状腺機能低下症
概念
 PTHの作用不足により低カルシウム血症,高リン血症をきたした状態.PTHの分泌不全による特発性または続発性副甲状腺機能低下症と,PTHに対する不応性による偽性副甲状腺機能低下症に分類される.
臨床症状
 低カルシウム血症によるテタニー症状(てんかん様の四肢の強直性痙攣,Chvostek徴候,Trousseau徴候),精神障害などを認める.
診断
 低カルシウム血症,高リン血症,頭部CTで大脳基底核や大脳白質内に異常石灰化,心電図でQT延長,PTHが特発性または続発性では低値,偽性では高値,腎原性cAMP低下,活性型ビタミンD3低下.偽性では知能低下,低身長,肥満,第4・5中手骨短縮などを認める.
治療
 活性型ビタミンD3の経口投与,緊急時にはCaの静注.[中里雅光]

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六訂版 家庭医学大全科

副甲状腺機能低下症
ふくこうじょうせんきのうていかしょう
Hypoparathyroidism
(内分泌系とビタミンの病気)

どんな病気か

 副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌や作用が低下することにより、副甲状腺機能亢進症(こうしんしょう)とは逆に低カルシウム血症、高リン血症などを来す病気です。

原因は何か

 副甲状腺からのPTH分泌が低下した特発性および続発性と、PTH分泌は保たれているにもかかわらずPTHの作用が損われている偽性(ぎせい)とに分類されます。前者のうち、続発性には頸部(けいぶ)の手術や外傷による副甲状腺の障害や、先天性の副甲状腺形成異常などが含まれます。これらと違い、原因が明らかでないものを特発性と呼んでいます。

 偽性副甲状腺機能低下症は、PTHによる細胞内シグナルの伝達機構(メカニズム)の障害が原因で、その異常部位によりさらに細かく分類されています。

症状の現れ方

 主な症状は低カルシウム血症によるもので、手足のこむら返り、ぴりぴりするしびれ感、けいれん(テタニー)発作などがみられます。ひどい場合には全身性強直性(きょうちょくせい)(強くこわばる)のけいれん発作が起こり、意識を失うこともあります。このため、てんかん発作と間違えられることもあります。そのほかに白内障(はくないしょう)大脳基底核(だいのうきていかく)の石灰化などもみられることがあります。

 偽性副甲状腺機能低下症のなかには、オールブライト遺伝性骨異栄養症(いでんせいこついえいようしょう)と呼ばれる低身長、短く太い首、第4、5指の短縮などの特徴的な体型がしばしば認められます。

 この場合、ほとんどは遺伝性で同じ家系内に発症がみられますが、副甲状腺機能、カルシウムが正常で体型の異常だけが遺伝することもあります。

検査と診断

 低カルシウム血症と高リン血症があり、腎機能低下がなければ副甲状腺機能低下症と診断されます。PTHの分泌が低下する特発性および続発性では、インタクトPTHという測定法で30Pg/ml以下になります。インタクトPTHが30Pg/mlを超える場合には偽性と診断されます。

 偽性副甲状腺機能低下症の場合には、PTHの細胞内シグナルの異常部位により病型を決めるために、PTHを注射して反応をみるエルスワース・ハワード試験という検査を行います。

治療の方法

 アルファカルシドール(アルファロール、ワンアルファ)またはカルシトリオール(ロカルトロール)という活性型ビタミンD製剤を内服します。活性型ビタミンDは、ビタミンというよりは体内でビタミンDからつくられる一種のホルモンで、PTHとともに血中カルシウム濃度を維持するのに大切な役割を果たしています。

 治療の目的は、低カルシウム血症によるテタニー発作やしびれをなくすことで、必ずしもカルシウム濃度を完全に正常化する必要はありません。

 活性型ビタミンDを内服している副甲状腺機能低下症の患者さんでは、血中のカルシウム濃度に比べて尿中のカルシウム排泄が増えやすくなります。そのため、尿路結石(にょうろけっせき)や腎機能低下の予防に注意し、尿中のカルシウム排泄を尿中のクレアチニン排泄の30%以下に保つことが必要です。

病気に気づいたらどうする

 低カルシウム血症の原因には、副甲状腺機能低下症のほかにもさまざまなものがあります。副甲状腺機能低下症が疑われる場合には、内分泌の専門医の診察を受けることをすすめます。

井上 大輔

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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