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切字【きれじ】

世界大百科事典 第2版

きれじ【切字】
連歌,俳諧の発句(ほつく)や近代俳句で,句の表現が完結,独立するように機能する語で,例えば,〈や〉〈かな〉〈けり〉などであるが,句の切れは必ずしも特定の切字のみでなされるわけではない。句が切れることにより,詠嘆の強調や情感の交響が行われ,表現に深まりや広がりを与えると考えられる。句の切れは,連歌,俳諧では平句に対する発句の要件であり,近代俳句でも切字の重要性は認められている。【石川 八朗】

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日本大百科全書(ニッポニカ)

切字
きれじ
俳句用語。一句のなかで特別に強くいいきって詠嘆する働きをもつことば。「荒海や佐渡に横たふ天の川」(芭蕉(ばしょう))の「や」、「富士ひとつうづみ残して若葉かな」(蕪村(ぶそん))の「かな」、「大根(だいこ)引き大根で道を教へけり」(一茶(いっさ))の「けり」の類。この三つがもっともよく用いられる切字だが、ほかに「つ」「ぬ」「ず」「らん」なども切字とされる。切字は一句の中に一つなければならないが、二つ以上あってはいけないとされている。ただし、そのような特定の語だけが切字でなく、いいきって詠嘆する気分が表されていれば、どんな語でも切字となるという考えがある。「あかあかと日はつれなくも秋の風」(芭蕉)の「(カ)ゼ」が切字だというのである。しかしそれは切字というより、そこに句切れがあると考えるほうがよい。句切れが切字のかわりをするわけである。切字によって一句ははっきりと独立し、内容に深みが感じられることになる。俳句のような短い詩型にとって、切字はとくに有効である。また、連歌、俳諧(はいかい)においては、切字の有無によって発句と付句が区別される。室町時代の連歌の発句では、「かな」「けり」「もがな」「し」「ぞ」「か」「よ」「せ」「や」「れ」「つ」「ぬ」「へ」「ず」「いかに」「じ」「け」「らん」の18が切字とされたが、江戸時代の芭蕉は、内容本位に考えて、切字に用いるときはすべての文字が切字になりうるといっている。[山下一海]
『浅野信著『切字の研究』(1962・桜楓社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

きれ‐じ【切字】
〘名〙 連歌、俳諧の発句で、句末に用いて一句を独立させたり、句中に用いて一句に曲折を与えたりする、詠嘆の意をもつ語。「野ざらしを心に風のしむ身かな」の「かな」、「古池や蛙飛びこむ水の音」の「や」、「旅人と我が名呼ばれん初しぐれ」の「ん」、「塚も動け我が泣く声は秋の風」の「動け」など、終助詞活用語終止形、命令形などが主であるが、今日では詠嘆の意で文法的に切れる場合をすべて称している。
※宗祇袖下(1489頃)「発句の切字の事、もすそやぬれしよとなせり。如此字入候てきれ候べし」
[語誌]発句に「いひきる」ことを求めるのは「八雲御抄‐一」に「発句者必可言切」とみえるのが早く、宗祇「白髪集」では十八の切れ字が掲げられる。「運歩色葉」には「十八切字(キレジ) 連歌 ハニトリヌルヲカレウツナクテキメシミ」とあるなど諸説あり、「表に見えぬ切字は口伝あり」〔連歌教訓〕のように秘伝的側面もあった。

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