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公債【こうさい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

公債
こうさい
public debt
国や地方公共団体が,将来における元本と利子の返済を租税収入でまかなうことを条件に,原則として証券発行という方式で行なう借入金。ただし地方公共団体の発行する地方債については,交通・水道事業など公共料金でまかなわれるべき地方公営企業の建設費を調達する場合にも発行される。また公社公団など政府の企業部門が将来の公共料金,手数料収入を担保として発行する政府保証債などまで含める場合には,一般に公共債という用語が使われる。公債は発行条件などに関して公権力により一方的に決定が行なわれる場合があり,また公債の保有者である債権者側に債務の履行に対する強制力がない。第2次世界大戦後,公債は公債管理政策により経済安定政策の重要な手段の一つとしても利用されている。日本の公債は,発行主体により国債と地方債,償還期限の長短により長期公債と短期公債,募集地により内債と外債,資金の使途により生産公債と非生産公債,あるいは建設公債(→建設国債),赤字公債(→赤字国債)などに分類される。なお 1947年制定の財政法により,公共事業費,出資金および貸付金の財源とする建設国債や主として国庫の短期的な資金繰りのための政府短期証券を除き,公債の発行は原則として禁止されている(4条)。また建設国債についても市中消化を原則とし,日本銀行引き受けはできないとされている。公債の募集,利子の支払い,借換え,償還に要する経費を公債費という。国債の場合は一般会計の国債費として計上されているもので,国債整理基金特別会計へ繰り入れられている。(→政府保証債・政府保証借入金

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知恵蔵

公債
国や地方自治体、あるいは政府関係機関などの借金、つまり公的債務のこと。社会保険などの行政債務や政府紙幣も広い意味での公債といえる。一般的には、経費調達を目的とする借金、すなわち財政債務で債務証書の形態をとる借金をいう。経費の調達は租税によって賄うのが原則であり、公債での調達は例外的にしか認められないのだが、現在では常態になっている。しかし、公債で調達してもいずれは租税で返済する必要があり、公債は租税の前取りといってもよい。公債は国が発行する国債と、地方自治体が発行する地方債に分けられるが、政府が債務を保証する政府保証債も準公債ということができる。国債には、償還期限が1年以内の短期債(例えば財務省証券などの政府短期証券)や1年を超える長期国債がある。
(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

こう‐さい【公債】
国または地方公共団体歳出の財源を得るため、また一時的な資金不足を補うために、国民などから借り入れる金銭債務。また、その債券債務者が国の場合を国債、地方公共団体の場合を地方債という。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

こうさい【公債】
公債という言葉はいろいろに使われ,その意味するところは必ずしも明確でない。最狭義には国債と同義ないし区別せずに使われ,また国債および地方債総称として使われる。いずれの場合も債券を通じての借入れpublic loan,または発行された債券そのものpublic bondを指す。民間の事業会社などが発行する民間債に対する用語である。広義には,国,地方公共団体がそれぞれ発行する前記の国債,地方債に加えて,公社,公団,公庫が発行する公社債,公団債,公庫債も含めて公債という。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

こうさい【公債】
国または地方公共団体が、債券の発行を通じて行う借金により負う債務。また、その発行された債券。国債および地方債の総称。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

公債
こうさい
広くは国や政府関係機関、地方公共団体といった公的部門の債務を意味し、市場での金融商品を意味する場合には、国や政府関係機関、地方公共団体が発行する債券(国債、政府関係機関債、地方債など)のことをさす。[浅羽隆史]

公債発行の意義

公債発行の意義としてまずあげられるのは、税収の補完である。政府による財源調達の基本は税であるが、税収は景気状況などにより変動する。税収が減少し財源が不足する際、公債発行により補完する一方、税収が増加する際には、公債の償還財源を確保する。各年度で財政を均衡させた場合、景気低迷時には税収減による歳出抑制が景気をより悪化させる要因となる一方、好景気の際の税収増を歳出増にあてると、景気過熱によるインフレーション(インフレ)を招きかねない。
 景気への対応ということでは、不況時に公債発行を用いて景気対策を実施することもあげられる。非自発的失業や生産設備の余剰がある場合、公債発行による減税や公共事業の追加といった財政政策の実施が可能である。経済構造や社会情勢、金融政策との関係などにより、公債発行を伴う財政政策による景気浮揚効果がどこまで得られるか議論は分かれるものの、少なくとも下支えの効果は認められる。
 次に、負担の世代間調整である。公債の使途を公共事業に限定して考えれば、整備された社会資本の便益は将来にもわたる。そこで、公共事業の財源に公債を用いることで、負担を将来の受益者である後世代にも負担させることが可能となる。また、財政支出と財政収入の年度間調整も考えられる。とくに財政規模の小さい地方公共団体にとって重要な考え方で、多額の財源を必要とする事業について公債を用いることで財政負担が平準化される。さらには、大規模災害による被害の復旧など突発事項への対応も、公債発行の意義と考えられる。日本においては、1990年度(平成2)における湾岸戦争への対応のための臨時特別公債や、2011年度(平成23)の東日本大震災に対応するための復興債などをその例としてあげることができる。[浅羽隆史]

公債発行の問題点

公債発行の問題点として、もっとも極端な例としてあげられるのは、債務不履行(デフォルト)の発生による経済破綻(はたん)である。2002年1月に発生したアルゼンチンの債務不履行は、巨額の公債発行が経済的な破綻につながった典型的な例である。
 1999年にブラジルが変動相場制へ移行し自国通貨レアルの価値を実質的に切り下げた影響を受け、米ドルと通貨価値を一定にするドル・ペッグ制を維持したアルゼンチンの通貨ペソが相対的に高くなり輸出競争力を喪失、国際収支が悪化した。その後、外貨準備の減少や国際通貨基金(IMF)との交渉の失敗などもあり、公務員給与や年金の支払いが滞るようになり、アルゼンチン政府は2001年12月23日に公的債務の一時支払い停止を宣言した。そして、2002年1月3日にイタリア・リラ建て国債の利払いが実行されず、債務不履行となった。自国通貨への内外の信用がきわめて低かったことから、当時のアルゼンチンの公的債務の多くは外国通貨建てであった。
 債務不履行の影響は、国民生活に幅広く及んだ。国内預金の一部封鎖や外貨の引出し制限など、国の金融システムは大混乱した。それに、激しいインフレや増税、行政サービスの低下が追い討ちをかける。外貨準備は払底し、海外からの投資は減少、実質所得の低下や失業率の上昇など、アルゼンチン経済は大打撃を受けた。
 債務不履行までいかなくとも、マクロ経済への悪影響も考えられる。公債発行によるマクロ経済への悪影響として指摘されることに、まず金利の上昇やインフレを起こすことがあげられる。公債発行の拡大は、金融市場において貨幣需要の増加につながるので、資金の需給が逼迫(ひっぱく)し金利の上昇要因になる。そして、金利の上昇は、貨幣価値の低下を意味するので、インフレを引き起こす可能性が高い。極端な例としては、第一次世界大戦後のドイツや第二次世界大戦後の日本をあげることができる。
 次に、クラウディング・アウトcrowding outの発生の可能性が指摘される。クラウディング・アウトとは、公債の発行が民間の資金需要を「押し出す」crowd outことである。政府と民間が資金を取り合った場合、同じ条件では信用度の面で政府が有利である。さらに、国際的信用の失墜によって当該国通貨の価値が下落することも考えられる。海外の投資家から、公債発行の拡大が将来のインフレにつながると評価されれば、当該国通貨を売る要因になる。それにより、輸入インフレが発生する可能性がある。
 ただし、公債発行による問題が発生するかどうかは、その国の経済状況などにより異なる。国内で資金調達可能で海外から資金調達する必要が乏しい場合や、企業の投資資金需要が活発ではない場合、中央銀行による公債の大量の買入れなどがあると問題は発生しづらい。
 公債発行による、後世代への負担転嫁のおそれもある。後世代への負担転嫁の問題は、負担や受益の定義、前提条件などによって結論が分かれる問題である。ただし、世代間の公正を阻害する可能性のあることは、踏まえておく必要があるだろう。また、財政の硬直化により政策選択の幅が狭まる。これは、財政運営上の問題と密接に関連しているが、実際の予算策定上などで明らかに生じていることである。[浅羽隆史]

建設公債の原則

公債発行の歯止めとして、日本では建設公債の原則が規定されている。建設公債の原則とは、公共事業等を公債発行の対象として限定(対象規定)、もしくは公共事業等の総額を公債発行の上限として規定(上限規定)することである。日本のものは対象規定であり、上限規定の例としては2009年に改正されるまでのドイツ(ドイツ連邦共和国基本法、旧115条)をあげることができる。
 建設公債の原則の理論的起源は、A・ワーグナーによる。ワーグナーは、支出を経常的支出と臨時的支出に区分し、臨時的支出にのみ公債の充当が許されるとした。日本における建設公債の原則とは異なるが、公債の発行対象を限定する点や、経常的経費を公債発行対象から外す点において共通する。制度として建設公債の原則の原型は、ワイマール憲法(1919年制定)にさかのぼる。そこでは、企業性を有する貸付けや出資を含む事業目的の経費に、公債発行の対象を限定するというものであった。
 日本における建設公債の原則の始まりは、1947年(昭和22)制定の財政法においてである。財政法第4条で、まず公債の原則不発行主義をうたい、但書で公共事業費、出資金および貸付金の財源のみ、国会の議決を経た金額の範囲内で公債の発行を認めている。制定時における公債の原則不発行の趣旨は、戦費調達手段として公債を増発し戦争の拡大や継続に寄与してしまったこと、そして大量発行された公債が戦後のハイパー・インフレ(超インフレ)をもたらし国民生活破壊の原因となったことへの反省である。但書の趣旨は、景気を財政で調整するという公債政策の新しい考えの採用にあった。しかし、戦争財政への反省があるため、公債発行の規模と発行対象に歯止めが必要である。そこで当時のスウェーデンやノルウェーの予算制度を参考に、公共投資等を使途とする場合のみ例外的に容認するという建設公債の原則を導入した。[浅羽隆史]
『大蔵省財政史室編『昭和財政史 第4巻――終戦から講和まで 財政制度・財政機関』(1977・東洋経済新報社) ▽神野直彦著『財政学』改訂版(2007・有斐閣) ▽井手英策編著『危機と再建の比較財政史』(2013・ミネルヴァ書房) ▽浅羽隆史著『建設公債の原則と財政赤字――厳格な発行ルールと巨額財政赤字』(2013・丸善プラネット)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

こう‐さい【公債】
〘名〙 国または地方公共団体が、歳入の不足を補うためなどに、国民、団体、外国などから借り入れる金銭の債務。また、その証書。その債務者が国家の場合を国債、地方公共団体の場合を地方債、発行場所が外国である場合を外国債、国内の場合を内国債という。〔音訓新聞字引(1876)〕
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉写生帖「いっその事公債(コウサイ)にでも引換へて置いたがよからふ」

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