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信託統治【しんたくとうち】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

信託統治
しんたくとうち
trusteeship
自立能力の不十分な非自治地域国際連合の監督のもとに,ある国家が統治すること(国連みずからも統治できる)。国際連盟委任統治制度を受け継いだもので,施政権者(普通,施政を行なう国)は同地域に対して立法,行政,司法の権限をもつ。この基本目的は,(1) 国際の平和と安全を増進すること,(2) 信託統治地域住民の政治的,経済的,社会的,教育的進歩を促進し,自治あるいは独立の漸進的発達を促進すること,(3) 人権の尊重を奨励し,世界人民の相互依存の認識を助長すること,(4) 国連加盟とその国民のため社会,経済,通商上の事項で平等の待遇を確保することなどであり,これが施政権者の義務ともなっている。国連による監督は,総会および総会の権威のもとで信託統治理事会が行なう。ただし戦略地域については安全保障理事会が行なう。

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デジタル大辞泉

しんたく‐とうち【信託統治】
国際連合の監督下に、信託を受けた国(施政権者)が一定の非自治地域で行う統治。→信託統治理事会
[補説]信託統治地域には、国際連盟委任統治下にあったもの、第二次大戦の敗戦国から分離されたもの、領有国が自発的に信託統治下に置くものの3種がある。ただし3種目の実例はない。国際連合発足時には11の地域に適用されたが順次独立し、1994年パラオが独立して以降、信託統治地域は存在しない。

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世界大百科事典 第2版

しんたくとうち【信託統治 trusteeship】
国際連合憲章は〈人民がまだ完全には自治を行うに至っていない地域〉を〈非自治地域〉とする(73条)が,これは〈植民地〉とほぼ同じ意味の言葉である。信託統治は,信託統治協定という特別の協定によって,特定の非自治地域を国連の監督下におき,統治国または国連自身に施政させる制度である。 国際連盟の委任統治性質は,〈住民の発達程度〉により,A式,B式,C式の3クラスに分類された。A式は旧トルコ領の中近東地域に適用されたが,同地域の住民は,独立国として仮承認を受けられる発達程度に達していた。

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大辞林 第三版

しんたくとうち【信託統治】
国際連合の監督下で、その信託を受けた国(施政権者)が一定の非自治地域に対して行う統治。国際連盟の委任統治の後身。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

信託統治
しんたくとうち
trusteeship
国際連盟の下で行われていた委任統治を受け継ぎ、これを改良して国際連合が設けた制度で、まだ十分に自立する能力をもっていない人民が居住する地域を、施政権者に指定された国が、国連の監督を受けて統治することをいう。施政権者は、信託統治地域を事実上自国の領域とほとんど同じ仕方で統治することを許されるが、統治の大綱は国連憲章と個別的な信託統治協定とによって定められており、そのうえ、統治の実態について国連の監督を受けなければならない点で、通常の領域に対する統治とは性質を異にする。すなわち、施政権者は、地域住民の政治的・経済的・社会的・教育的進歩、ならびに自治または独立に向かっての住民の漸進的発達を促進することと、人種、性、言語、宗教による差別なく、すべての者のために人権と基本的自由を尊重することを義務づけられた。また、監督の任務は総会と信託統治理事会とが担当して、施政権者の提出する年報を検討し、住民の請願を審査し、地域を定期的に視察する権限を与えられた。これを委任統治に比べると、一部の地域についてだけ課せられていた地域の独立を促進する義務が、すべての地域についていわれていたり、住民が直接に請願を行う権利を認めるなど、施政権者の義務の面でも、監督の方法に関しても進歩している。その反面、国連による平和維持の観点が重視された結果、委任統治では地域の軍事的利用が禁止されていたのに、それが許されたり、特定の地域を戦略地区に指定して、これを安全保障理事会の監督の下に置くことにより監督を緩和したのは、住民の保護の見地から問題であった。
 信託統治制度の下に置かれるのは、(1)委任統治地域のうち独立したものを除く地域、(2)第二次世界大戦の敗戦国から分離される地域、(3)施政に責任を負う国が自発的にこの制度の下に置く地域、とされたが、(2)が適用されたのはイタリア領ソマリランドだけで、(3)の適用例はまったくない。かくして11の地域が信託統治地域となったが、通常の地域はその後次々に独立を達成し、残ったのは唯一の戦略地区であり、アメリカを施政権者とする太平洋諸島のみとなった。その太平洋諸島も、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、北マリアナ諸島、パラオとしてそれぞれ独立、あるいはアメリカとの自由連合を組み、94年、パラオ共和国のアメリカ信託統治の終了により、信託統治領はすべて消滅した。[太寿堂鼎]
『小林泉著『アメリカ極秘文書と信託統治の終焉――ソロモン報告・ミクロネシアの独立』(1994・東信堂) ▽矢崎幸生著『ミクロネシア信託統治の研究』(1999・御茶の水書房)』

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精選版 日本国語大辞典

しんたく‐とうち【信託統治】
〘名〙 第二次世界大戦後、国際連合の信託をうけた国が一定の非自治地域で行なう特殊な統治形態。国際連盟下の委任統治に修正を加えたもので、信託領土には国際連盟の委任統治地域、第二次世界大戦の結果として枢軸国から分離された地域、領有国が自発的に信託統治の下におく地域の三種がある。国連の信託統治理事会が監督にあたる。最後の信託統治地域であったパラオが一九九四年独立して事実上消滅した。〔国際連合憲章(1956)〕

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