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作家主義【さっかしゅぎ】

日本大百科全書(ニッポニカ)

作家主義
さっかしゅぎ
politique des auteurs
1950年代中ごろにフランスの映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』で、フランソワ・トリュフォーら若手批評家たちが掲げた批評的戦略。映画作品を作り手の個人的で直接的な表現とみなし、映画の文体を創造し統御する演出家(=監督)を、映画「作家」として称揚するという方法論である。制度化された映画の規範や使い古された映画文法を覆す独自の文体をもった監督として、ジャン・ルノアール、ロベルト・ロッセリーニ、アルフレッド・ヒッチコック、ハワード・ホークスなどが称揚された。当時から過激な排他主義や特定の作家の神格化など、行き過ぎた作家主義の弊害についての批判はあったが、映画の形式的特徴を主題と結び付けて観察・分析する方法により、映画をめぐる言説を活性化した意義は大きい。近年では、映画の社会的・技術的・産業的背景や歴史性に対する視点が欠如しているという点から、作家主義の限界が指摘されている。[伊津野知多]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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