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余計者【ヨケイモノ】

デジタル大辞泉

よけい‐もの【余計者】
いて困る人。いないほうがいいような厄介者(やっかいもの)。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

よけいもの【余計者 lishnii chelovek[ロシア]】
19世紀ロシア文学に現れた貴族知識人の一典型。lishnie lyudiともいう。滔々(とうとう)と流入する西欧の知識の吸収に急で,消化不良を起こして観念的となり,農奴制ロシアの後進性が愚かしく政府や自分の属する貴族社会に批判的・冷笑的な態度をとるが,さりとて民衆を知らないために現実から遊離し,活動の地盤をもたない根無し草のような存在である。そのおもな特徴は,政治生活と貴族階級からの疎外,自分の知的・道徳的優越の意識,それと並んで精神の倦怠,深い懐疑主義,言葉と行動の不一致,そして当然のことながら社会的受動性ということになろう。

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大辞林 第三版

よけいもの【余計者】
余計な人。無用者。邪魔な人。 -扱いをされた
一九世紀半ばのロシア文学に現れた、知性と教養にめぐまれながら、無気力で現実を直視し適応する能力を欠いた一連の人物。没落貴族や知識階級の一典型。ツルゲーネフ「ルーディン」やゴンチャロフ「オブローモフ」の同名の主人公など。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

余計者
よけいもの
лишний человек lishniy chelovek 
19世紀ロシア文学が生んだもっとも典型的人間像。西欧的教養と進歩的思想をもち、活動意欲もありながら、農奴制度に支えられた専制政治下ではそれを生かす道をみいだせず、支配層からも民衆からも孤立し、しだいに生活に倦怠(けんたい)し、幻滅のうちに自他に不満なまま、強い自意識に苦しみながら生きる知識人たちをいう。この用語はツルゲーネフの『余計者の日記』(1850)による。題名のみでなく、文中にも「おれは余計者だ」という嘆きが出てくる。主人公チュルカトゥーリンは社会的落後者で、死を前にして生涯を回想し、自らを余計者と定義づける。このタイプを時代の生んだ典型ととらえる文学者は、ほかにオガリョフ(『余計者の告白』1858~59)、ドブロリューボフ(『オブローモフ主義とは何か』1859)、ゲルツェン(『余計者と不平家』1860)、ピーサレフ(『バザーロフ』1862)らがいる。余計者の最初の出現はニコライ1世(在位1825~55)治下であり、デカブリスト事件後、政治的弾圧が強化されたため、志を得ず、むなしく生きる知識人が増え、一つのタイプとなった。このタイプは一様ではない。汚辱に満ちた上流階級を面罵(めんば)するが、かえって狂人扱いにされるチャーツキー(グリボエードフ『知恵の悲しみ』1824)、誇り高く冷たい孤立者オネーギン(プーシキン『エウゲーニイ・オネーギン』1825~33)、反抗的、情熱的エゴイスト、ペチョーリン(レールモントフ『現代の英雄』1839~40)、高い教養と強い個の自覚をもちながら適所をみいだせぬベリトフ(ゲルツェン『誰(だれ)の罪か?』1841~46)、純な心をもちながら惰性的に怠惰な生活を送るオブローモフ(ゴンチャロフ『オブローモフ』1859)、活動の場所がなく弁舌のみに情熱を燃やすルージン(ツルゲーネフ『ルージン』1856)、低俗な貴族社会に幻滅して領地に引きこもるラブレツキー(ツルゲーネフ『貴族の巣』1859)、知識と意志と活動力をもち、革命志向を抱きながら、不慮の死を遂げるバザーロフ(ツルゲーネフ『父と子』1862)、周囲と妥協するすべも知る芸術家肌のライスキー(ゴンチャロフ『断崖(だんがい)』1869)など、さまざまである。チェーホフは戯曲『イワーノフ』(1889)を書くとき、「このタイプをしめくくる」といったが、イワーノフはすでに19世紀前半の余計者とはやや異なって社会的挫折(ざせつ)者に近い。[佐藤清郎]

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精選版 日本国語大辞典

よけい‐もの【余計者】
〘名〙
① 余計な人。いて邪魔な者。いない方がよいような者。厄介者。
※真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉六三「旦那様がゐなければ此家にゐても余計者だから私も江戸へ帰るといふ」
② ロシア文学で、一八二〇~五〇年代に特徴的に現われる文学形象。高い理想を持ちながら現実に適応できず、対社会的に積極的な存在価値をもたない、無気力でペシミスティックな人間像。オネーギン(プーシキン「エフゲニー=オネーギン」)・ルージン(ツルゲーネフ「ルージン」)など。日本では「浮雲」の内海文三、「それから」の長井代助など。
※『細雪』をめぐりて(1950)〈中村真一郎〉「フランスやロシヤの小説に屡々登場する、余計者が全く姿を見せない」

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