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今昔物語集【こんじゃくものがたりしゅう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

今昔物語集
こんじゃくものがたりしゅう
平安時代後期の日本最大の説話集。作者未詳。 31巻。 1040話。天永~保安 (1110~24) 頃成立か。天竺 (インド) ,震旦 (中国) ,本朝仏法,本朝世俗の4部に分けられ,説話の内容によって整然と分類配列される。天竺,震旦部では,仏典や漢籍の翻訳翻案がほとんどで,本朝仏法部では『日本霊異記』以下の仏教説話集により,文章を改め,あるいは潤色を加えている。本朝世俗部は出典が明らかでない説話が多い。各話「今ハ昔」で始る。きわめて行動的な人間を,漢文脈の,強い文体で活写している点,和文により人間の内面を描いた『源氏物語』と対照的であるが,ともに平安時代を代表する作品となっている。近代文学に与えた影響も大きい。

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デジタル大辞泉

こんじゃくものがたりしゅう〔コンジヤクものがたりシフ〕【今昔物語集】
平安後期の説話集。31巻。現存28巻。源隆国覚猷鳥羽僧正)を編者とする説があるが、未詳。12世紀初めの成立。天竺(てんじく)(インド)・震旦(しんたん)(中国)・本朝(日本)の3部に分かれ、一千余の説話を収める、日本最大の古説話集。古写本は片仮名宣命体。書名は、各話が「今は昔」で始まることに由来する。今昔物語

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世界大百科事典 第2版

こんじゃくものがたりしゅう【今昔物語集】
平安時代末期の説話集。編者未詳。12世紀初頭に成立。31巻。ただし,巻八,巻十八,巻二十一を欠く。天竺(てんじく)(インド)(巻一~巻五),震旦(中国)(巻六~巻十),本朝(日本)(巻十一~巻三十一),の3部より成る。標題のみを残す19話,標題と本文の一部を残す説話を含めて,1059話を収録。
[編者と成立]
 《宇治拾遺物語》の序に,宇治大納言源隆国(みなもとのたかくに)が納涼のために宇治平等院の南泉房(なんせんぼう)に籠り,往来の諸人の昔物語を記録したものが《宇治大納言物語》であり,増補されて世に行われている,とある。

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大辞林 第三版

こんじゃくものがたりしゅう【今昔物語集】
〔各話が「今は昔」ではじまるところからいう〕
説話集。三一巻。八・一八・二一巻は欠巻。編者未詳。1120年以後の成立。天竺・震旦・本朝の三部に分かれ、標題のみあるいは標題と本文の一部のみのものを含めて一〇五九の説話を採録。仏教的・教訓的傾向が強いが、本朝部の説話はあらゆる地域と階層の人間が登場し、生き生きした人間性が描かれる。漢字片仮名交じりの簡潔な表現は和漢混交文の先駆をなす。今昔物語。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

今昔物語集
こんじゃくものがたりしゅう
平安後期の説話集。1059話(うち本文を欠くもの19話)を31巻(うち巻8、18、21は欠)に編成する。[森 正人]

成立

1120年(保安1)以降まもなく、白河(しらかわ)院政のころ成るか。編者未詳。中心的編者のもとで複数の人の協同作業であったか、1人の手に成ったかについても、説は分かれている。ただ、構成、素材、文体などを総合的に判断して、仏教界に属する者の編であろう。すべての説話に文献資料があったとみられる。中国の仏教説話集『三宝(さんぼう)感応要略録』『冥報記(めいほうき)』『弘賛法華伝(ぐざんほっけでん)』および船橋家本系『孝子伝』、日本の『日本霊異記(りょういき)』『三宝絵詞(さんぼうえことば)』『日本往生極楽記』『本朝法華験記(ほっけげんき)』『俊頼髄脳(としよりずいのう)』が主要な確実な資料である。また、現在伝わらない源隆国(たかくに)作の『宇治大納言(うじだいなごん)物語』や、いくつかの仏教説話集も有力な資料となったと考えられる。こうして、本書は、それまでの説話集のさまざまの系統を集大成するものとなっている。[森 正人]

内容・特徴

巻1~5を天竺(てんじく)(インド)、巻6~10を震旦(しんたん)(中国)、巻11~31を本朝(日本)のごとく3部に分け、各部をそれぞれ仏法、世俗の2篇(へん)に分ける。各部、篇は、主題、素材によって説話を分類配列し、全体が緻密(ちみつ)に構成されている。各説話は、「今ハ昔」の冒頭句、「トナム語リ伝ヘタルトヤ」の末尾句をもって、形式的統一が図られている。また、各部冒頭から、創始を語る説話が年代順に配列されているから、3国の仏法と王法の歴史を示す基本構想のあったことが認められる。こうして本書は、当時考えられる全世界を説話によって描き出し、すべての事柄とできごとに統一と秩序を与えようとする試みであった。その構想は、古代末期の価値観の動揺、社会的行き詰まりが、意識的にも無意識的にも影響して生まれたと考えられる。説話の舞台は中央から辺境に及び、登場人物も国王や貴族から下層の老若男女、妖怪(ようかい)、動物と多様である。編者はおおむね旧(ふる)い価値観にたちながらも、従来の文学が目を向けることのなかった新しい世界を取り上げ、とくに、山林修行民間布教の聖(ひじり)、武士、盗賊などの精神と行動を具体的に描き出している。したがって、その文学精神は古代的であると同時に、中世文学の出発を予感させる作品ともなっている。また、即物的な漢字片仮名交じり文体は、叙情や人間の微妙な内面を表現するには適していなかったけれども、非伝統的、非貴族的な対象に対しては十分効果を発揮している。『平家物語』などの和漢混交文の先駆とみなされる。[森 正人]

影響

伝本のほとんどが江戸時代の書写で、それらはすべて、鎌倉時代中期を下らない鈴鹿(すずか)本を祖本とするから、中世にはほとんど流布しなかったらしい。中世文学に直接的な影響を与えた形跡もない。江戸時代に本朝部世俗篇の一部が刊行されている。近代に入って、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)がその説話を素材に『羅生門(らしょうもん)』『芋粥(いもがゆ)』などの小説を書き、そのころからようやく文学的価値が注目されるようになった。[森 正人]
『山田孝雄他校注『日本古典文学大系22~26 今昔物語集1~5』(1959~63・岩波書店) ▽馬淵和夫他校注・訳『日本古典文学全集21~24 今昔物語集1~4』(1971~76・小学館) ▽『日本文学研究資料叢書 今昔物語集』(1970・有精堂出版) ▽坂口勉著『今昔物語の世界』(教育社歴史新書) ▽池上洵一著『今昔物語集の世界 中世のあけぼの』(1983・筑摩書房)』

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精選版 日本国語大辞典

こんじゃくものがたりしゅう ‥ものがたりシフ【今昔物語集】
平安後期の説話集。三一巻。うち、八、一八、二一の三巻を欠く。保安元年(一一二〇)頃成立か。作者に関しては、古来の源隆国説、鳥羽僧正覚猷説その他があるが未詳。通称「今昔物語」。内外の文献の翻案を含む説話一〇〇〇余を、天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の三部に分けて収めた、日本最大の古説話集。全体に仏教的な説話が多いが、本朝世俗部などには地方武人や庶民階級の生活を伝える説話も集めてあり、力強い現実描写にすぐれる。漢文訓読調に和文脈をまじえた文体で、古写本は片かな宣命(せんみょう)体の表記法をとり、国語史料としても貴重である。書名は、説話が「今は昔」で始まることに由来。今昔。

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