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辞書

【じん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


じん
ren
儒教が主張した愛情の一形態。愛とは,他人を大切に思い,いつくしむ感情をさす語である。それとは別に仁という語が成立しているからには,仁と愛とは同義ではない。語源については,一般には,仁とは,人間の姿を示す象形文字であるが,(太古においては,他部族の者は人ではないから) 自分の身近にいる親しい間柄の「仲間」,または,二人の人と人との間の愛情の味,といわれる。儒教でも,仁をほぼ同様の意味で用いている。「克己復礼」,すなわち,私的なわがままを押えて,礼すなわち社会的規範に従うことが仁である,と孔子が述べているように,仁という愛では他人との身分的境界が常に意識され,礼という公の規準が先行している。したがって,普遍的な人間愛 Humanismや仏教の平等愛である慈悲などとは違う。儒家が,墨子の説いた兼愛を,親子君臣の区別を無視する態度だとして非難していることからも,仁が身分的隔差と上下関係を前提とした愛情,礼を基準にもつ愛情であることが知られる。現代語では,血縁愛,同朋愛などがあたるであろう。

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じん
nucleolus
細胞の核の中に,染色糸とは別に1~数個ある粒状体。小核ともいい,また核小体の語が比較的多く用いられるようになってきた。リボ核酸と蛋白質を含み,ことに塩基性蛋白質と各種酵素が多い。仁を真正仁,染色仁,両性仁に分けるが,染色仁は染色体が異常凝縮したもの,両性仁は真正仁と染色体の一部が接着したものであるから,狭義には仁は真正仁をさす。真正仁は光の屈折率が高く,生細胞でも認めやすい。形は球形のものが多いが,そのほか不定形でアメーバ運動をするものもある。比重は核中最大である。核分裂の中期で仁が見えなくなるのは,仁が小さくこわされ,核液と混るためである。また終期には染色体上の仁形成体によってつくられるといわれる。

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デジタル大辞泉

じん【仁】
思いやり。いつくしみ。なさけ。特に、儒教における最高徳目で、他人と親しみ、思いやりの心をもって共生(きょうせい)を実現しようとする実践倫理。「智・・勇」
「―ある君も用なき臣は養ふ事あたはず」〈浄・国性爺
ひと。→御仁(ごじん)
「若いに似合わぬ物の分った―だ」〈有島或る女
果実の核。さね。たね。にん。
細胞の内にある1個から数個の粒状構造。主にRNAたんぱく質とからなる。核小体。

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じん【仁】[漢字項目]
[音]ジン(漢) (慣) ニン(呉)
学習漢字]6年
〈ジン〉
他者への思いやり。情け。「仁愛仁義仁君仁慈仁術仁道仁徳寛仁不仁
人。また、人を敬っていう語。「仁兄御仁
〈ニン〉
思いやり。「仁徳
果実のさね。「杏仁(きょうにん・あんにん)桃仁
[名のり]きみ・きむ・さと・さね・しのぶ・ただし・と・とよ・のり・ひさし・ひと・ひとし・ひろし・まさ・まさし・み・めぐみ・めぐむ・やすし・よし
[難読]親仁(おやじ)仁王(におう)

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栄養・生化学辞典

 (1) 果実の核の中にある部分.(2) →核小体

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世界大百科事典 第2版

じん【仁 rén】
中国古代思想,とくに儒家思想の最も重要な倫理・政治上の概念。金文では,古文ではと書き,これらの字形の象徴の解釈をめぐり,背に荷物を背負った身体障害者の形象であり,重任にたえる意,忍耐の意に転じたとする説,あるいは〈〉は数の二とせず,点を重ねたもので,人の座する衽席(じんせき)(しきもの)の象(かたち)を示すものとし,衽席の安舒(あんじよ)の状態から和親の意に転じたとする説などがあり,字源解釈は一定しないが,ふつうは人が二人ならぶ象と解し,人と人とが親しみあっているようすとする。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じん【仁】
己に克ち、他に対するいたわりのある心。儒教における五常の一。
愛情を他におよぼすこと。いつくしみ。おもいやり。 「 -の心が厚い」
〔仁の道を行う人の意から〕 ひと。かた。 「どこの-かは存ぜぬ」 「見上げた御-だ」
種子から種皮を取り去った内部。胚と胚乳から成る。にん。

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日本大百科全書(ニッポニカ)


じん
中国倫理思想の重要概念。もっとも素朴な用法は、『詩経』叔于田(しゅくうでん)に、男を褒めて「まことに美且(か)つ仁」という表現である。「愛情深い」「親切な」などの意であろう。孔子は仁をもって最高の道徳、日常生活に遠いものではないが、容易に到達できぬものと考えた。孔子は弟子の問いに対して仁をさまざまに定義する。若い(はんち)に対しては「人を愛すること」といい、もっとも優秀な顔回(がんかい)に対しては「己れに克(か)ち(己れを克(よ)くし)礼に復(かえ)る」という(ともに『論語』顔淵(がんえん)(へん))。前者は外に対しての行為、後者は自己の内なる修養をさす。具体的な心構えとしては、仲弓(ちゅうきゅう)の問いに答えて「己れの欲せざるところ、これを人に施すなかれ」(顔淵篇)というのがもっともわかりやすい。つまり思いやりの心で万人を愛するとともに、利己的欲望を抑え礼儀を履行すること。ただし万人を愛するといっても、出発点は肉親への愛にある。「孝弟(悌)(こうてい)なる者はそれ仁の本(もと)たるか」(学而(がくじ)篇)。孟子(もうし)は、仁の徳の源は人間性に内在する惻隠(そくいん)の心(赤ん坊が井戸に陥りかけているのを反射的に抱きとめる心)にあると説く。孟子は、人間性に根ざす主要徳目として仁義礼智(ち)の四つを数える。漢の董仲舒(とうちゅうじょ)などは、これに信を加えて五つとする(五常(ごじょう))。これには五行説の影響もあろう。『漢書(かんじょ)』律歴志(りつれきし)によれば、仁=春(木)、義=秋(金)、礼=夏(火)、智=冬(水)、信=中央(土)。春の草木を生育させる暖かさと、仁すなわち愛の徳との連想による。[本田 濟]

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精選版 日本国語大辞典

じん【仁】
〘名〙
① 孔子の道徳の根本原理。親に親(した)しむという自然の親愛の情を、万人にひろめ及ぼした道徳的心情。
※十訓抄(1252)六「『妖は徳にかたず』『仁は百禍を除く』などいへり。仏天よく信力を感じたまふゆゑ也」 〔礼記‐礼運〕
② 愛情を他に及ぼすこと。いつくしみ。なさけ。思いやり。
※十七箇条憲法(604)「六曰。〈略〉其如此人。皆无於君。无於民。是大乱之本也」 〔易経‐乾卦〕
③ 仁道を行なう人。仁者。有徳の人。
※御伽草子・鴉鷺合戦物語(室町中)「親にて候し者仁にあらず分限もなかりしかども」 〔春秋左伝‐隠公六年〕
④ ひと。にん。
※平家(13C前)四「変化(へんげ)の物つかまつらんずる仁は頼政ぞ候」 〔論語‐雍也〕
⑤ 果実の核。さね。たね。
※和名集并異名製剤記(1623)「郁李仁〈略〉六月に根を採る、実は核中の仁をとり用」 〔恵洪‐春去詩〕
⑥ 細胞核に含まれる一~数個の球形または棒状の小体。おもに蛋白質とリボ核酸とからなり、デオキシリボ核酸を含まないので染色仁と区別される。作用については明らかでない。〔癌(1955)〕
[語誌](1)「仁」は、漢音ジン、呉音ニンである。これは「人」と同様で、③④等のように「仁・人」両字が相通じて使用される場合がある。
(2)孔子は、天から人間に与えられた人間の本性の働きで、たんなる情念ではなく、知と勇とをかねそなえ、克己復礼、孝悌、敬、忠恕、愛などに表現され、また制度としての礼の中にも具体化されるとした。

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にん【仁】
〘名〙
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)五「仁(ニン)(〈注〉キミ)の、龍宮にゆきて、化せるところの衆生」
② =じん(仁)⑤〔書言字考節用集(1717)〕 〔顔氏家訓‐養生〕

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