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事実婚【じじつこん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

事実婚
じじつこん
内縁と同様,法律上の婚姻成立要件を欠くカップルの関係。内縁との違いは,当該男女が,現行の婚姻制度に対しなんらかの疑問をもち,積極的・自発的に法律婚を選択しないという点にある。たとえば,今日の法律婚は女性の圧倒的多数が男性の,名字)に改姓することを意味するが,選択的夫婦別姓(→夫婦別姓)が容認されない現状で,両性の平等の観点から改姓を選択したくない場合や,家父長制的(→家父長制大家族)な特性を内包する婚姻のあり方などに疑問をもつ場合などである。また,積極的選択からなるパートナー形成であるため,やむをえず法律婚ができない状況は,通常事実婚とはいえない。たとえば,離婚協議中にある人が,生活実態としてはすでに破綻した配偶者と法律婚継続状況にありながら,ほかの相手と事実上夫婦関係をもつことなどは重婚的内縁だが,これは主体的に選択したわけではないので事実婚とは含意が異なる。日本では,旧来の家父長制度が解体し女性の意思決定が重視されるようになった 1960年代以降,内縁の語の否定的側面を払拭するため,マスメディアなどを中心に事実婚の語が使用されるようになった。日本では今日でも事実婚を選択する人は少ない。欧米では 1960年代以降,キリスト教的婚姻観が弱まり,離婚や再婚による家族形態の多様化が進む一方で,女性の社会進出が進み,個人主義化の傾向が強まり,かつ婚外子(→嫡出でない子)に対する差別的な制度が是正されるなかで,事実婚選択者が増加傾向にある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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大辞林 第三版

じじつこん【事実婚】
法律上の婚姻をしていないが、社会的に夫婦と同一の生活を送っていること。特に、婚姻の意思がない点で内縁と区別して使用される。

出典:三省堂
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知恵蔵

事実婚
結婚届を出さないで、事実上の夫婦生活を営む結婚形態。内縁という言葉が、事情があって結婚届を出せないという意味に受け取られやすいため、結婚届を出さないことを「積極的に」選んだことを前面に出すために作られた言葉。夫婦別姓を貫きたいという理由が多いが、職場の人に結婚している事実を知られたくない、夫婦という私的な関係を公的なものに規制されたくないなどの理由も見られる。法的には、内縁、準内縁と見なされ、保護の対象になる。
(山田昌弘 東京学芸大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

じじつ‐こん【事実婚】
届け出を欠くため法律上有効ではないが、事実上の婚姻関係があり、社会の慣習上婚姻と認められるもの。→形式婚法律婚

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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日本大百科全書(ニッポニカ)

事実婚
じじつこん
「結婚している」という意識を当事者はもっているが、婚姻の届出をしていないために、法律上は婚姻とされない共同生活をしている状態をいう。婚姻届出のない共同生活という点では「内縁」と同じである。現在は、当事者の主体的な意思で婚姻届を出していない場合は、第二次世界大戦前に多く存在していた消極的理由から婚姻届出のない「内縁」と区別し、「事実婚」とよぶ傾向にある。しかし、法律上、事実婚は内縁と同様に扱われている。
 事実婚では、結婚式をあげ、夫婦としての役割行動をとるなどして、当事者は社会的にも「結婚」として扱われることを望んでいるケースが多い。一方、意図的に婚姻届を出していないが、自分達の生き方が事実婚として結婚の枠のなかに入れられることに反発を感じている「非婚カップル」が存在する。「非法律婚カップル」は、この「非婚カップル」と事実婚を含め、婚姻届出のないカップルを総称する用語として使われている。
 「同棲」は、法的結婚手続きなしに同居し、性的関係のある状態を表し、英語の「コハビテーションcohabitation」の日本語訳としても使用される。非法律婚と内容は同じであるが、日本では、「短期的な・無責任な性関係」など否定的なイメージを連想する人が多い。
 欧米では、1960年代後半から同棲する人が急増し、同棲はもはや逸脱行動でなく、ライフスタイルの一つとして社会的に受容され、法的保護も進んでいる。その背景には、キリスト教の性・結婚観からの解放、フェミニズム運動による女性の自立志向の高まりなどにより、制度よりも関係性自体を重視する結婚の意味づけの変化がある。
 日本では、非法律婚の生き方を主体的に選択する人たちが出現しているが、届出婚や嫡出制の規範が強く、非法律婚はまだ社会的に許容されていない。日本の「非法律婚カップル調査」では、経済力をもった自立的な女性も多く、非法律婚の動機に「夫婦別姓を通すため」「戸籍制度に反対」「性関係を国家に届ける必要ない」といった制度的理由をあげる人が多い。[善積京子]

法的保護の沿革

明治民法では、婚姻の成立に戸主の同意が必要とされ(男30歳、女25歳までは親の同意も必要)、戸主または家督相続人が他家に入ることも禁止されていた。現民法改正までは、親や戸主の同意が得られない長男・長女同士であるなどの法的婚姻障害で婚姻届が出せない場合も少なくなかった。家の跡継ぎの子を出産するまで届出を遅らせる婚姻慣行、経済的事情、法律知識の欠如などからも内縁が生じた。こうした当事者の責任に帰せられない理由の内縁が多く発生したために、大正期に内縁関係の法的保護が図られた。現在でも、内縁や事実婚は、婚姻に準ずる関係(準婚関係)として、夫婦共同生活の実質に関する部分では婚姻と同様の効果が一般的に認められているが、夫婦同氏・親族関係の発生・子の身分(嫡出子)・遺産相続権や配偶者控除など税制については準用されない。[善積京子]
『太田武男・溜池良夫編『事実婚の比較法的研究』(1986・有斐閣) ▽森下敏男著『社会主義と婚姻形態――ソビエト事実婚主義の研究』(1988・神戸大学研究双書刊行会、有斐閣発売) ▽二宮周平著『事実婚の現代的課題』(1990・日本評論社) ▽二宮周平著『事実婚を考える――もう一つの選択』(1991・日本評論社) ▽大橋照枝著『未婚化の社会学』(1993・日本放送出版協会) ▽善積京子著『「近代家族」を超える――非法律婚カップルの声』(1997・青木書店) ▽西川栄明・西川晴子著『結婚の新しいかたち――フレキシブル結婚の時代』(2001・宝島社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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