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中東【ちゅうとう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

中東
ちゅうとう
Middle East
近東,近東などともいう。第2次世界大戦後の用法では,地中海東岸および南岸に隣接する諸地域で,東はアラビア半島,イラン,ときにはそれ以東から西はモロッコにいたる。この一般的地域は,かつてはヨーロッパ人から「近東」と呼ばれたが,これはヨーロッパを中心に,オリエントを「近東」「中東」「極東」に3分したことによる。これによれば「近東」は地中海からペルシア湾,「中東」はペルシア湾から東南アジア,「極東」は太平洋に面する国々であった。大戦中イギリスの駐エジプト司令部が「中東」と呼ばれたことから概念に変化が生じ,「中東」はギリシア,キプロス,トルコ,シリア,レバノン,イラク,イラン,パレスチナ (現イスラエル) ,ヨルダン,エジプト,スーダン,リビア,アラビア諸国 (サウジアラビア,クウェート,イエメン,オマーン,バーレーン,カタール,アラブ首長国連邦) をさした。その後の情勢により概念はさらに広げられ,チュニジア,アルジェリア,モロッコ,東ではアフガニスタン,パキスタンまでも加えられることもある。さらに 1991年のソ連の崩壊により,カフカス,中央アジアへと拡大しつつある。日本ではバルカン半島とアフリカ諸国を除いた狭義の概念で用いられることが多い。中東の中核は,ヨーロッパ,アジア,アフリカ三大陸の陸橋部分で,各地からの民族移動の波が押寄せ,またエジプトやメソポタミアのように古くから文化が栄えた地域を含み,複雑な歴史をたどった。全体として乾燥・半乾燥気候に属し,イスラエル,ギリシア,キプロス以外はイスラム教国で,ペルシア語,トルコ語,アラビア語が話される。

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知恵蔵

中東
20世紀以降の国際政治上の地域概念。東はアフガニスタン、イランから西はモロッコまで、北はトルコから南はイエメン、スーダン、サハラ砂漠までを含む。19世紀に使われた中近東とは異なり、バルカンは中近東に入っていたが中東には入らず、北アフリカは中近東に入っていなかったが中東には入っている。ソ連の消滅によりコーカサス地方、中央アジアへと中東の概念が広がりつつある。中東は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの唯一神信仰の発祥の地。3宗教の間には密接な関係があり、ユダヤ教なくしてキリスト教はなく、この両宗教なくしてイスラム教はない。アブラハム(アラビア語ではイブラヒム)を祖先と考えるなど共通点が多い。神は人類の発展段階に合わせて預言者を遣わし啓示を与えてきた。従ってモーゼなどのユダヤ教の預言者を認め、またイエスも神の子ではなく預言者として敬うというのがイスラム教の立場である。最大にして最後の預言者がムハンマド(マホメット)ということになる。それゆえ、イスラム教はユダヤ教徒とキリスト教徒を教典の民として保護しており、またエルサレム問題に凝縮されているように、同じ場所を聖地として崇める現象の背景にもなっている。イランでは、ユダヤ教徒、キリスト教徒と共にゾロアスター教徒も保護の対象とされている。ゾロアスター教は、前6世紀以前にゾロアスター(ドイツ語ではツァラトストラ)が西アジアで創始した宗教で、アケメネス朝ペルシア帝国で信者を獲得し、ササン朝ペルシア帝国の国教となった。現在もイランやインドなどに信者がいる。またユダヤ教やキリスト教への影響も重要で、善悪二元論や終末論などは、ゾロアスター教から他の宗教に入った概念であろう。イエスの誕生の際に東方の三賢人が拝みに訪れたという聖書の記述は、ゾロアスター教のキリスト教への影響を暗示しているのかもしれない。なぜならば賢人の原語は「マギ」であり、ゾロアスター教の神官を意味しているからである。この言葉は形を変えマジック(魔術、手品)、マジシャン(特殊な力を持つ人、魔術師、手品師)として英語にも入っている。
(高橋和夫 放送大学助教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

ちゅう‐とう【中東】
Middle East》ヨーロッパからみて、極東近東の間の地域をさしていう呼称通例アフガニスタンイランイラクおよびアラビア半島諸国をさすが、中近東と同義(リビア以東の東北アフリカを含める)に用いられることも多い。

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世界大百科事典 第2版

ちゅうとう【中東】
英語のMiddle Eastまたはフランス語のMoyen Orientなどの地域概念に相応する訳語。東はアフガニスタン,イランから西はモロッコなど北アフリカの大西洋岸まで,北はトルコから南はアラビア半島全域ないしアフリカの角やスーダン,サハラ地域までを包含する地域を指す。その範囲は必ずしも一定しているわけではなく,拡張されたり収縮したりする。中東に含められたり,そこからはずされたりするのは,エリトリアからアフリカの角と呼ばれるジブチソマリア,大西洋に面しモロッコより南の西サハラ,モーリタニアである。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ちゅうとう【中東】
Middle East 西アジアとアフリカ北東部の地域の総称。イラン・イラク・サウジアラビア・トルコ・イスラエル・エジプトなどが含まれる。ヨーロッパから見た名称で、極東と近東の間の地域。二〇世紀初めまではインド半島・イラン・アフガニスタンなどの総称として用いられた。中近東。 → 極東近東

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日本大百科全書(ニッポニカ)

中東
ちゅうとう
Middle East
ヨーロッパよりも東方Eastの世界を、ヨーロッパからの距離感に基づいて三区分した地域概念の一つで、近東Near East、極東Far Eastと対(つい)をなす。元来は、旧オスマン帝国領を意味する近東と、イギリスの植民地であったインド半島との中間地帯を漠然とさす概念であった。しかしその範囲は時代とともに変化し、今日では一般に、東はアフガニスタンから、イラン、トルコ、メソポタミア、アラビア半島、レバノン、イスラエル、エジプト、スーダンなどを経て、西はマグレブ諸国にまで至る、西アジア・北アフリカ一帯を広くさす概念として用いられる。その範囲が広がった最大の理由は、第二次世界大戦時の連合国軍の中東での作戦区域の拡大にあり、ときには西アフリカのモーリタニアまでが中東の概念に含まれるのはそのためである。
 中東と近東とは互いに接触し、その境界も場所によってはあいまいであるが、中東の概念が拡大して近東の範囲に及ぶにつれ、中近東という呼称も一般化してきた。第二次大戦後、近東の一角であったバルカン半島の大半が社会主義圏に組み入れられ、近東から切り離されたことにより、中近東の概念は今日では中東と同義語とみなされる。[末尾至行]

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精選版 日本国語大辞典

ちゅう‐とう【中東】
(Middle East の訳語) ヨーロッパから見て東方の地のうち、極東と近東の中間の地域をいう。アラビア半島およびイラク・イラン・アフガニスタンなどをさすことが多いが、北アフリカから西アジアに至る中近東と同義に用いることもある。
※シェイクスピア(1952)〈吉田健一〉アントニイとクレオパトラ「エジプト、ギリシャから中東に亘る領域の元首も同様の地位にある男が」

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