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上越(市)【じょうえつ】

日本大百科全書(ニッポニカ)

上越(市)
じょうえつ

新潟県南西部にある市。近世の城下町高田市(1911年市制)と河口港の直江津市(なおえつし)(1954年市制)が1971年(昭和46)合併して、地域名の上越をとって上越市と改称。2005年(平成17)安塚町(やすづかまち)、柿崎町(かきざきまち)、大潟町(おおがたまち)、吉川町(よしかわまち)、板倉町(いたくらまち)、名立町(なだちまち)、浦川原村(うらがわらむら)、大島村(おおしまむら)、牧村(まきむら)、頸城村(くびきむら)、中郷村(なかごうむら)、清里村(きよさとむら)、三和村(さんわむら)を編入。2007年(平成19)特例市に移行した。

 日本海に臨む高田平野の荒川(関川)下流部にある上越後(かみえちご)を中心とした商工業都市であるが、南東部は長野県と接し、保倉(ほくら)川上流域の豪雪地帯をも含む。古くから水陸交通上の要地で、JR信越本線、えちごトキめき鉄道の日本海ひすいライン(旧、JR北陸本線)と妙高はねうまライン(旧、JR信越本線)、北越急行ほくほく線、国道8号、18号、253号、350号、403号、405号、北陸自動車道、上信越自動車道が通じる。2015年3月には北陸新幹線開業に伴い旧信越本線脇野田駅を上越妙高駅と改称して新幹線の駅が設置された。市域には、佐渡弥彦米山国定公園(さどやひこよねやまこくていこうえん)、米山福浦八景(よねやまふくうらはっけい)県立自然公園、直峰松之山大池(なおみねまつのやまおおいけ)県立自然公園、南波(なんば)丘陵北端の久比岐(くびき)県立自然公園、桑取(くわとり)川の谷と高田平野を貫流する関川の下流の荒川平野、保倉川河口の大瀁(おおぶけ)新田や頸城砂丘、潟湖地帯、東頸城傾動地塊、吉川渓谷と吉川平野などが含まれる。

 中心部は、古代は久比岐国造(くびきのくにのみやつこ)が置かれ、『延喜式(えんぎしき)』の宿駅として「水門(みなと)馬五疋(ひき)」の北陸道の伝馬制が敷かれていた湊(みなと)町で、戦国時代は上杉氏の春日山(かすがやま)城下の外港として栄えた。上杉氏会津(あいづ)移封後は堀氏が福島城に移り、江戸時代は徳川家康の六男松平忠輝(ただてる)の高田城が築城されて、加賀百万石の押さえとなる親藩が置かれ、1741年(寛保1)以降は榊原氏(さかきばらうじ)(高田藩)15万石の城下町として繁栄した。また、北国街道(ほっこくかいどう)などの街道の宿場町、在郷町としても栄えた。安塚区は、中世、上杉謙信(けんしん)の関東進出路として有名な松之山(まつのやま)街道の要衝で、直峰(なおみね)城跡が残る。頸城区では、高田藩が近世初期、大規模な大瀁干拓事業を推進して穀倉地帯に化した。吉川区は、頸北(けいほく)の穀倉地帯で、古くから頸城杜氏(とうじ)の本場として知られる。板倉区は、飯山(いいやま)街道の要衝で在郷町として繁栄、頸南(けいなん)穀倉地帯の中心で、南東丘陵にある東山寺(ひがしやまてら)地区は中世、山岳仏教の聖地として栄え、山寺薬師や、恵信尼(えしんに)(親鸞(しんらん)の妻)廟(びょう)がある。清里区は、岡嶺(おかみね)、菅原(すがわら)などの古墳群の残る古村で、古代久比岐物部(くびきもののべ)一族の栄えた「武士郷(もののふごう)」の地といわれている。三和区は、古代は久比岐郡の里五十公(さといじみ)、美守(ひだもり)の2郷に分かれ、越後に残る唯一の条里制遺跡地であり、近世後期は上越後の天領を支配する川浦(かわうら)代官所も置かれた。牧区は、明治末期までは牧油田で知られたが、現在は廃鉱になっている。中郷区は、1920年(大正9)信越本線二本木駅前に日本曹達(ソーダ)二本木工場が誘致されて以来、カ性ソーダの町として全国的に知られた。頸城区は、第二次世界大戦後、県内初めての農業構造改善事業パイロット村に指定され、大型機械化農業による協業化のモデル村となった。大潟区は、近世は北国街道に沿う半農半漁の浜漁村で砂丘畑の野菜作りで知られたが、1958年ごろから帝国石油(現、国際石油開発帝石)の頸城油・ガス田の開発で一躍石油の町としてにぎわった。原油生産は1964年をピークにその後生産量は減退し、新興住宅地や工場地に転換しつつある。柿崎区は、理研製鋼柿崎工場をはじめとする中小工場が多い。河口港直江津は砂丘内の掘込み式新築港で拡大されて日本海岸の重要港湾に指定されている。直江津は、荒川河口右岸に信越化学、新日鉄住金、大平洋特殊鋳造、三菱ケミカルなどの大工場が集中する臨海工業地帯をなし、鉄鋼、非鉄、一般機械、化学工業を主軸とする新潟県有数の工業都市。高田は住宅都市・観光都市として発展している。山村部では多くが棚田に依存していたが、都市部への就労に伴い兼業農家が増え、和牛肥育、養豚などの畜産や多角経営、園芸などの新分野開拓も行われる。

 親鸞ゆかりの浄興寺(じょうこうじ)本堂、医王寺の銅造如来坐像は国指定重要文化財。また上杉謙信再建の国分(こくぶん)寺(五智(ごち)国分寺)所蔵の木造大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)も国の重要文化財。虫川(むしかわ)の大スギは国の天然記念物。国指定史跡として春日山城跡、水科(みずしな)古墳群があり、同じく国史跡の宮口古墳群からはアスファルト塗の土玉などが出土している。地引網漁に使われた木造船「どぶね」(上越市立水族博物館蔵)は国指定重要有形民俗文化財。謙信の遺品の多い林泉寺(りんせんじ)、サクラの名所高田城跡(高田公園)、越後三十三観音(かんのん)第1番札所の岩屋堂観音、菅原神社、式内社五十君(いじぎみ)神社、長峰(ながみね)窯跡などの旧跡も多い。1911年(明治44)1月、オーストリアのレルヒTheodor von Lerch(1869―1945)少佐が、日本で初めてスキーの指導を行い、日本スキー発祥地といわれる金谷山(かなやさん)スキー場も名高い。文化施設には、高田出身で「郵便の父」と称される前島密(まえじまひそか)の記念館(郵政資料館分館)、当地とゆかりのある応用微生物学者の坂口謹一郎を顕彰する坂口記念館、市立総合博物館などがある。1978年には山屋敷(やまやしき)町に上越教育大学が創立された。面積973.81平方キロメートル、人口19万6987(2015)。

[山崎久雄]

『渡邊慶一著『越後府中文化』(1951・直江津町社会教育奉仕会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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