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三番叟【さんばそう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

三番叟
さんばそう
(1) 能の『』すなわち『式三番』の後半に狂言方が演じる舞。近年狂言の会などで,『三番叟』の部分だけが独立して演じられることがある。『翁』と同様に特別に神聖視され,直面 (ひためん) で演じる揉 (もみ) のと,黒尉 (こくじょう) の面をつけて舞うの段から成る。 (2) 人形浄瑠璃芝居では,開演に先立って『三番』が演じられてきた。現在文楽では二人三番叟の『寿式三番叟』が行われる。淡路や阿波の人形芝居では,序開きの祝言に「神舞」と称して演じられる。 (3) 歌舞伎では,延宝6 (1678) 年の『古今役者物語』に『式三番』がみえており,かなり古くから開演にあたって演じられたと考えられている。芝居の年中行事が整ってからは,能の『翁』にならい,顔見世,正月の仕初め式,劇場の新築開場式などに,「翁渡し」と称して『式三番』を舞うのが決りであった。現在行われるのは『翁千歳三番叟』である。また,明治中期までは「番立 (ばんだち) 」と称して,毎朝開場に先立って下級の役者が『三番叟』の一部を舞った。歌舞伎では,厳粛な『翁』よりも『式三番』の軽快さを好み,儀式としての『三番叟』のほかに独立した所作事として,趣向の変った多くの三番叟物が作られており,1世中村勘三郎が演じた『乱曲三番叟』がその始りとされている。 (4) 民俗芸能として各地に伝承されている『三番叟』の芸態はさまざまである。山伏神楽の『三番叟』は『翁』のもどきとされる。三河,信濃の山間などに残っている猿楽,田楽の芸能のなかの『三番叟』には,山伏神楽の『三番叟』同様に中央の能にはない長々とした語りがある。埼玉,東京,長野,静岡,山梨などでは,『式三番』を『三番叟』と称して,祭礼などに行うところもあり,これを人形で演じるところもある。風流踊りのなかに取入れられた『三番叟』は,直面で演じられる。

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朝日新聞掲載「キーワード」

三番叟
能楽の中で最も神聖視される祝言曲「翁」の一部。狂言方の三番叟が五穀豊穣(ほうじょう)を願って舞う。「三番叟」の前段「揉(もみ)之段」では、面をつけない「直面(ひためん)」で掛け声をかけながら足拍子を踏んで躍動的に舞う。後段「鈴之段」では黒色の「黒式尉」の面をかけて鈴を振りながらゆったりと舞う。種まきを描きながら回る動きなどがある。
(2016-12-22 朝日新聞 夕刊 文化芸能)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

さんば‐そう【三×叟】
の「翁(おきな)」で、千歳(せんざい)・翁に次いで3番目に出る老人の舞。直面(ひためん)の揉(もみ)の段と黒い尉面(じょうめん)をつける鈴の段とからなり、狂言方がつとめる。また、その役および面。→式三番(しきさんば)
歌舞伎人形浄瑠璃1が移入されたもの。開幕前に祝儀として舞われたほか、一幕物の歌舞伎舞踊としても発達。
地方に1または2伝播(でんぱ)し、各地の民俗芸能に取り入れられたもの。多くは最初に演じられる。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

さんばそう【三番叟】
能楽《(おきな)》(《式三番》)で,千歳(せんざい)の舞・翁の舞に続いて狂言方が担当する役と,その舞事(まいごと)。大蔵流では《三番三》と記す。翁が舞い終えて退場すると勇壮な揉出(もみだし)の囃子になり,三番叟の役が後見座から出て舞いはじめる。二段から成り,前半の揉ノ段は直面(ひためん)で,自身掛声をかけながら軽快かつ躍動的に,後半の鈴ノ段は黒式尉(こくしきじよう)(黒い彩色(さいしき)の老人面)をかけ,鈴を振りながら荘重かつ飄逸(ひよういつ)に舞う。

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大辞林 第三版

さんばそう【三番叟】
能の「翁おきな」の役名。狂言方が勤める。
能の「翁」を、三番叟の部分のみ舞踊化した歌舞伎所作事。舌出し三番・操り三番・雛鶴ひなづる三番・晒さらし三番・二人三番など、趣向を変えたものが作られた。
最初。手始め。 まず-に卵焼きで酒を持つて来る/洒落本・仇手本

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

三番叟
さんばそう
狂言の曲名。大蔵流では『三番三』と書く。能楽では『翁(おきな)』の対(つい)のように考えられ、三番叟を狂言方が勤めるが、『三番叟』を含めて『翁』ともいう。狂言では能の『翁』と同じように祝言曲として取り扱われている。起源は大治(だいじ)元年(1126)の『法華(ほっけ)五部九巻書』に出ていて古く、そのなかで、父尉(ちちのじょう)、翁、三番と記されており、三番というのが三番叟のことである。そこでは三番を弥勒(みろく)にあて仏教的解釈がなされている。三番という名称は父尉、翁に続いて3番目に演ずるという意味のようである。世阿弥(ぜあみ)の『風姿花伝(ふうしかでん)』には三番を世継(よつぎ)の翁と記してあり、後世の書物には、三番叟を住吉(すみよし)大明神にあてたりもしている。翁を天下太平、長寿をもたらす神と考え、三番叟を五穀豊穣(ほうじょう)の神とする解釈もある。また、翁の「もどき」という考え方もある。今日の狂言の『三番叟』は能の『翁』に続いて行う。千歳(せんざい)と翁の舞が終わり翁が退場すると、三番叟が素面で「揉(もみ)の段」を舞い、次に「鈴の段」を舞う。「揉の段」は最初に達拝(たっぱい)風の型をし、続いて露払い風の軽快な舞を舞う。「鈴の段」は黒尉面をつけて鈴を振りながら舞う呪術(じゅじゅつ)的な舞である。「鈴の段」の型は種下ろし、種播(ま)きを表現したものだという解釈もある。三番叟の舞は古い猿楽(さるがく)芸を伝えているともいい、呪師に発するともいう。「揉の段」は千歳舞に、「鈴の段」は翁舞にあたるというが、そうであれば三番叟は翁をまねたことになり、猿楽の本芸である物まね性を根本にもっていることになる。愛知県北設楽(きたしたら)郡東栄(とうえい)町、豊根(とよね)村、設楽町で行われている花祭に出てくる翁は三番叟で、ワキと滑稽(こっけい)な問答をするが、これは古い三番叟の一つの姿を残したものであろう。
 翁面が笑いをたたえ、品格のある福相を示す面であるのに対し、三番叟は翁と同じ面相だが、鼻下、顎(あご)に植毛髭(ひげ)をつけ、顔は黒色で品がない。古い三番叟の面は変化が多く、両方の目の造形が違っていたり、鼻が曲がっていたりして滑稽にできている。三番叟芸の古様を示すものであろう。[後藤 淑]

三番叟物

歌舞伎(かぶき)舞踊、邦楽の一系統。能の『翁(おきな)』を、狂言方の勤める洒脱(しゃだつ)な三番叟中心に歌舞伎化したもので、一般に「~三番(叟)(さんば)」の通称でよばれる。寛永(かんえい)年間(1624~44)初世中村勘三郎が踊った『乱曲三番叟』が最初といわれ、これを後世に改作した『舌出し三番』(清元(きよもと)・長唄(ながうた))をはじめ、長唄の『操(あやつり)三番』『晒(さらし)三番』『廓(くるわ)三番』『雛鶴(ひなづる)三番』、常磐津(ときわず)の『子宝(こだから)三番』、清元の『朝比奈(あさひな)三番』『四季三葉草(しきさんばそう)』、義太夫(ぎだゆう)の『二人(ににん)三番』などが有名で、一中節(いっちゅうぶし)や河東節(かとうぶし)にも曲がある。別に江戸歌舞伎では顔見世興行や正月に、太夫(たゆう)元が翁、若太夫が千歳(せんざい)、座頭(ざがしら)役者が三番叟に扮(ふん)して芝居繁盛を祈る「翁渡し」の行事があり、これを簡略にしたものに下級俳優が開演前に演じる「番立(ばんだち)」があった。この儀式的な性格を伝える長唄の『寿式(ことぶきしき)三番叟』(俗に『式(しき)三番』)が現在でも劇場の開場式などで演じられる。[松井俊諭]
『能勢朝次著『能楽源流考』(初版・1938/再版・1979・岩波書店) ▽本田安次著『翁そのほか』(1958・明善堂)』

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典

三番叟
さんばそう
歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
享保4.11(江戸城二の)

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三番叟
(別題)
さんばそう
歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
三番三
初演
寛文9.12(江戸・松平大和守邸)

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