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レンズ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

レンズ
lens
等方均質な透明体の両側の表面を共通の回転対称軸をもつ球面でかぎったものの総称。少なくとも一方の面が外側に凸で,縁よりも中央部が厚いレンズを凸レンズ,逆に少なくとも一面が凹で,中央部が縁よりも薄いものを凹レンズという。また肉厚によって薄肉レンズ,厚肉レンズに区別され,光学系の結像素子として用いられる。1枚のレンズだけで使うときは単レンズ,いろいろな収差を除くために何個かのレンズを組み合わせてあるものを組み合わせレンズといい,たいていの光学系(望遠鏡顕微鏡カメラ分光器など)では組み合わせレンズが使われる。通常はガラスを材料とするが,特殊な目的には石英蛍石,フッ化マグネシウム,プラスチック,食塩なども用いられる。ときには反射鏡を組み合わせたものもレンズと呼ぶことがある。近年,両側の面が球面ではなく少なくとも片側が非球面でできている非球面レンズが開発され実用化されている。今日では環境に配慮し,ガラス素材にを使用しない鉛フリーレンズが製造されている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

レンズ(〈オランダ〉lens)
《形が扁球状のレンズ豆から》
二つの球面、または球面と平面とで囲まれる透明体。外部との屈折率の差によって光を収束または発散させる。凸レンズ凹レンズとがあり、眼鏡や光学器械に使用される。
眼球の水晶体(すいしょうたい)のこと。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

レンズ【lens】
ガラス,結晶,プラスチックなどの透明物体の両面を凸または凹の球面に研磨したものをレンズという。特別な場合1面が平面のものもある。中央部が縁よりも厚いものを凸レンズ,その反対に中央部が縁よりも薄いものを凹レンズという。前者には光を集める性質,後者には発散させる性質がある。
【歴史】
 レンズの語源は人類最古の栽培植物の一つであるヒラマメ(レンズマメともいう。ラテン名lens)に由来する。これは直径5mm前後の,両側が膨らんだ丸く平たい形をしていて,凸レンズの形がこれに似ているためである。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

レンズ【lens】
向かい合った二つの表面が、二つとも曲面、あるいは一つが曲面で他が平面になっている板状の透明体。また、それらを複数個組み合わせたもの。その形により、凸レンズ・凹レンズなどがあり、光線束を発散・収束させて実像・虚像を結ぶ。
目の水晶体。
電子線や電磁波を屈折、収束・発散させるための電場と磁場とを配置した装置。 → 電子レンズ

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

レンズ
れんず
lens
ガラス、プラスチックのような透明体の前後の面を球面に磨いたもの(これを単レンズという)で、球面のかわりに非球面または一方の面を平面にしたものもある。周りの媒質との屈折率の差を利用して光を収束したり発散させたりする性質がある。高級な光学器械では、単レンズを2枚以上組み合わせた複合レンズが用いられる。単レンズ、複合レンズの両者を総称して単にレンズとよぶこともある。以下においては主として単レンズの性質について述べるが、その大部分は複合レンズにも成り立つ。単レンズの前後の面の曲率中心を結ぶ直線のことを、単レンズの光軸または単に軸という。レンズの軸と前後の面との二つの交点の間隔を、レンズの厚さという。[三宅和夫]

焦点と焦点距離

レンズの軸に平行に入射した光線は、レンズを通過したのち直接にまたは逆に延長したとき、軸上の1点で交わる。これを像側(ぞうそく)焦点または後側(こうそく)焦点という。像側焦点がレンズの後方にあるものを凸(とつ)レンズまたは正のレンズ、前方にあるものを凹(おう)レンズまたは負のレンズという。反対にその点から発散またはその点に収束するようにレンズに入射した光線が、レンズを通過したのち軸に平行に進むとき、この点を物側焦点または前側焦点という。レンズの厚さが十分に薄いレンズのことを薄いレンズまたは薄肉レンズという。厚さが無視できないレンズのことを厚いレンズまたは厚肉レンズという。
 薄いレンズの中心から焦点までの距離を焦点距離という。
 レンズに関して物体と像の関係にある点は互いに共役であるといい、それらの点の組合せを共役点という。[三宅和夫]

レンズの公式と倍率

薄いレンズの中心から、物体および像までの距離をss'、像側焦点までの距離をf'とする。このときss'、f'はレンズの中心から右方向に測ったときを正とする。

これをレンズの公式という。軸に垂直な物体とその像の長さをyy'(軸から上方を正、下方を負)とすると、それらの比

を横倍率または単に倍率という()。mの値が負になるとき、像は物体と上下が逆になり倒立像という。横倍率が+1となる物体と像の位置を表す軸上の共役点を主点という。厚肉レンズの場合には、ss'、f'をレンズの中心からではなく、主点から測れば、(1)および(2)式はそのまま成立する。[三宅和夫]

近軸光線と理想結像

前出のレンズの公式が厳密に成立するのは、像をつくるのに使われる光線が光軸と小さな傾きをしていて、物体および像が小さい場合に限られる。このような制限下にある光線のことを近軸光線という。すなわちレンズの公式は、近軸光線を使用して像が生ずる場合にのみ成立する。このような像の生じ方を理想結像という。[三宅和夫]

レンズの収差

使用される光線が近軸光線でなくなると、理想結像からのずれ、すなわち収差が現れる。そのうちもっともよく知られているのが球面収差である。この収差は、軸上の物点から出て軸と種々の傾きをなす光線がレンズを通過後軸上の1点に完全に集まらないことによって生ずる。すなわち1点の像が点とならず、いわゆるボケを生ずる。このほか、軸からすこし外れた物点の像が点とならず、彗星(すいせい)のような光の分布(ボケ)を生ずるコマ収差がある。また、さらに軸から離れた物点に対して、光の収束する位置が1か所でなく前後に離れた2か所になる非点収差、および平らな平面状の物体の像が曲がった曲面となる湾曲収差(像面の曲がり)がある。さらに像面の縁のほうに行くにしたがって顕著となる歪曲(わいきょく)がある。これは像が物体に正確に比例せず歪(ゆが)みを生ずるものである。以上五つの収差は、これを研究した研究者の名を冠して、ザイデルの五収差といわれる。
 このほかに、使用するガラスの屈折率が光の波長によって異なるため、像の生ずる位置および倍率が光の波長によって変化する色収差がある。色収差を取り除くことは1枚の単レンズでは不可能であり、複合レンズが用いられる。たとえば、二つの波長の光に対して色収差を除去する(色消しする)には、屈折率の波長に対する変化率(分散)の異なる2種類のガラスを正・負のレンズとして組み合わせる。これをアクロマートという。三つ以上の波長の光に対して色消しされたレンズのことをアポクロマートという。
 ザイデルの五収差を全部完全に補正することは不可能であり、実際にはそのレンズの使用目的に応じて必要な程度にまで収差補正が行われる。レンズを設計するとき収差補正は重要な作業であり、最近は電子計算機を使用してレンズの自動設計が行われている。[三宅和夫]

レンズのいろいろ

単レンズは眼鏡レンズとして用いられる。遠視および老眼の人は凸レンズ、近視の人は凹レンズを使用する。乱視は肉眼の非点収差によって生ずるので、これを補正するため円柱レンズ(シリンドリカルレンズ)、または直交する2方向の焦点距離が違っているレンズを用いる。最近はプラスチックでつくったレンズを眼球に密着して装着し、眼鏡として使用するようになった(コンタクトレンズ)。単レンズは虫めがねとしても用いられる。
 複合レンズとしては、望遠鏡や顕微鏡の対物レンズおよび接眼レンズがある。望遠鏡の対物レンズは、2枚のレンズを接近してアクロマートにしたものが用いられる。天体望遠鏡のように大型のものは高価となるので、レンズのかわりに反射鏡が用いられる。顕微鏡の対物レンズは小型であるが、高倍率用のものは複雑な構成をしている。接眼レンズは望遠鏡のものも顕微鏡のものもほぼ同様で、2枚の単レンズを離しておいて色消しレンズになっている。
 写真レンズは、すべての収差を使用目的に差し支えない程度にまで互いにバランスして補正されている。そのため数枚、場合によっては10枚を超えるレンズからなっている。最近はズームレンズとよばれるレンズの一部分を動かすと、像の大きさは変化するが像の位置は変わらないレンズが用いられるようになった。[三宅和夫]

レンズの性能

レンズの性能を示す量としては、焦点距離、明るさ、解像力などが用いられる。焦点距離のかわりに、その逆数の屈折力という量が用いられることがある。屈折力の単位は、焦点距離をメートルで表した数値の逆数をとり、ジオプターとよぶ。掛け眼鏡レンズの屈折力を表すのに用いられる。
 明るさを表すには、望遠鏡の対物レンズでは、レンズの直径を表す数値が用いられることもあるが、写真レンズと同様に、焦点距離とレンズの有効径との比Fナンバーが用いられる。Fナンバーが小さいほど明るくなる。顕微鏡対物レンズでは、軸上物点から出て対物レンズの縁に入射する光線が光軸となす角をθ、レンズの前方の媒質の屈折率をnとすると、nsinθなる量が用いられ、開口数とよばれる。
 レンズはただ倍率が高ければよいというものでなく、倍率に見合った解像力を有しなければならない。レンズがどのくらい微細な点まで分解するかという能力を表す解像力は、Fナンバーや開口数に関係する。[三宅和夫]
『中川治平著『レンズ設計工学』(1986・東海大学出版会) ▽小倉敏布著『写真レンズの基礎と発展』(1995・朝日ソノラマ) ▽永田信一著『図解 レンズがわかる本』(2002・日本実業出版社) ▽桑嶋幹著『図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み――身近な現象と機器に学ぶ』(2005・秀和システム)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

レンズ
〘名〙 (lens)
① 透明な物体の両面、または片面を球面とし、光線を収束または発散させるもの。ガラス、プラスチック、結晶体などを研摩して作る。中央部の厚い凸レンズと周辺部の方が厚い凹レンズがあり、一つまたは数個組み合わせて光学機械に用いる。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉五「一筒の中凸玻璃片(レンズ)
② 特に、①をカメラに装置したもの。また、その部分。
※政治小説を作るべき好時機(1898)〈内田魯庵〉「斯る処世の哲学家が写真のレンスを学びて世間を逆睹する秘訣に擬(なら)ふて此政治界を大よそに観察せよ」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉六「蛙の眼球のレンズの構造が」

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