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リバイアサン

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

リバイアサン
Leviathan
イギリスの哲学者トマスホッブズ主著。 1651年刊。「教会および市民のコモンウェルス (共同体) の内容,形態,権力」という副題をもち,緒論,結論を除き4部 47章から成る。リバイアサンとは旧約聖書ヨブ記』に出てくる巨大な永生動物の名で,ここでは教会権力から解き放たれた国家のことをさし,本書はこの国家の成立を論じる。人間は生れつき平等ではあるが,自然状態においては「万人は万人に対して戦い」の状態にある。この自然権の自己否定を脱するため,理性がみずから発見する自然法によって自然権を制限し,さらに絶対主権設立の社会契約によって国家の成立へと導かれる。彼は専制君主制を理想と考えているが,その主権の基礎を人民の自己保存権においており,そこに彼の自然主義の立場がみえる。本書が法・政治思想上に果した役割は大きい。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

リバイアサン(Leviathan)
英国の政治哲学者ホッブズ著書。1651年刊。国家を旧約聖書の怪物リバイアサン(レビアタン)にたとえ、国家は社会契約によって成立したものとして、国家主権への絶対的服従を説き、近代思想に大きな影響を及ぼした。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

リバイアサン【Leviathan】
《ヨブ記》(41:1~34)に記された水棲の巨大な幻獣。レビヤタンともいう。堅いうろこと恐ろしい歯をもち,目は光り口からは火花を発し,鼻からは煙を出し息は炎のようで,その通った跡には強い脂が残るとある。1年ごとに死んで新しく生まれ変わる。ワニか巨大な蛇またはとも想像され,聖書に語られる陸の怪獣ビヒモスと対をなす巨獣である。一説には,地球を背負っている大魚で,最後の審判には救世主が捕らえて,聖なる人の食物にされるといわれる。

出典:株式会社平凡社
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リバイアサン【Leviathan】
17世紀を代表するイギリスの政治哲学者T.ホッブズの主著。1651年に英語版(ロンドン)が,68年にラテン語版(アムステルダム)が刊行された。書名は,《ヨブ記》に記された〈地の上に並ぶものなき〉怪獣の名に由来するが,彼はそれによって,内乱を克服し平和を維持するために絶対主権をもって君臨する国家を象徴した。しかし本書の意義は,国家主権の絶対性を証したその結論にあるのではなく,むしろ,感覚に始まる人間の認識能力と情念動機を置く人間の実践能力とを吟味しつつ,人間を〈素材とし創造者とする〉国家の成立メカニズム,その構成原理を見通した深い哲学性にある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

リバイアサン【Leviathan】
政治思想書。ホッブズ著。1651年刊。自己保存の権利を自然権とし、それは相互間の闘争状態を招き、逆に自己保存をおびやかすとする。それを回避するため、自然法に従った社会契約により、絶対的権力をもつ国家(リバイアサン)を設定すべきだと説く。
旧約聖書のヨブ記などにしるされた水にすむ巨大な幻獣。悪の象徴とされる。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

リバイアサン
りばいあさん
Leviathan
17世紀イギリスの代表的政治哲学者ホッブズの主著。1651年刊。政治学の古典中の古典と目される大著である。リバイアサンとは、『旧約聖書』の「ヨブ記」41章に出てくる怪獣の名前で、神を除き、この地上において最強のものを象徴したことば。ホッブズによれば、この最強なるものとは、人々がその生命を守るために契約を結んで設立した政治共同体=コモンウェルス(国家)を意味した。また、このリバイアサンは海の怪獣、しかも平和の怪獣であったことに注意すべきである。したがって、国家は、人間が生命の安全と平和を確保するために力を合成する契約行為を通じてつくった政治共同体であるから、王族、教会、議会、ギルドなどの集団よりも強い、というわけである。ピューリタン革命という悲惨な政治状況を目の前にして、ホッブズが、いかにして人間の生命や自由を保障できる平和で統一的な政治社会を確立するかを考えて、『リバイアサン』を構想・執筆したことは間違いない。
 彼の政治論は、封建的な身分制秩序や神学的思考からまったく解放された世俗的国家論である。すなわち彼は、従来からある国王と議会の対立とか旧教対新教の対立といった観点からではなく、人間にとっての最高価値とは何かを求めて人間の本性を分析し、そこから生命の保存(自己保存)を最高価値として導出し、それを基礎にしてその政治社会論を構築し、それによって既成の政治論とはまったく異なる近代的な政治理論を提出した。この際、彼は、法律も政府も全然知らない自然状態にあっては、人間は自分の生命を自分で守る権利(自然権)をもち、その意味では自由であるが、他方、自然状態において各人が自然権を主張すれば、「万人の万人に対する闘争状態」が発生する危険性が大であることを指摘する。そして人間がこの危険性から免れるためには、各人は自己保存の欲求のための選択の条件を最終的に決定する判断力(理性)の教えに従って相互に契約を結び、共通の権力を樹立して一つの合議体(政治社会)を設立し、単なる群衆を一人格に統一し、その人格を代表する1人または合議体(主権者)の制定する法律に従って平和に生きよ、という「法の支配」の考え方を人々に教示している。これが有名な近代的社会契約思想の原型である。
 ここでホッブズは、主権者には強い力を与えよと述べているが、その理由は、契約社会を守るために権力を行使するという意味であって、絶対君主のような恣意(しい)的な権力濫用を容認したものではない。なぜなら彼は、自然法の内容(19列挙しているが、第一の基本的自然法は平和の確保)に反する市民法(各国の主権者が制定する法律)は無効である、と述べているからである。また彼は、すべての党派・集団が自己の立場を真理として主張することが騒乱の原因であるとし、とくに相争っているキリスト教各派は、「イエスはキリスト(救い主)である」という一点において和解せよ、と述べていることは、「宗教の自由」「内面の自由」を述べたものとして重要である。本書の結論部分でホッブズは、キリストが再臨するまでは、神は人間が自分たちの力で生きていくために自然法を与え給うたと述べているが、このことは、彼のいう自然法の諸原理(自己保存)に従って生きるほかないと教えることによって、実際には政治理論の近代化・世俗化を主張したものといえよう。彼の政治論が近代民主主義思想の出発点となった理由はここにある。[田中 浩]
『水田洋・田中浩訳『リヴァイアサン』(1966・河出書房新社) ▽水田洋著『近代人の形成』(1954・東京大学出版会) ▽福田観一著『近代政治原理成立史序説』(1971・岩波書店) ▽田中浩著『ホッブズ研究序説』(1982・御茶の水書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

リバイアサン
[1] 〘名〙 (leviathan) =レビアタン
[2] (原題Leviathan) 思想書。トマス=ホッブズ著。一六五一年刊。国家を旧約聖書の怪物レビアタンに比し、こうした暴力をふるう国家を、契約説に基づいて人間の利益になるように治めるにはどうしたらよいかを問題にしたもの。帝王神権説に対して、国家権力の基礎が市民一人一人の権利を集約したところにあることを説いた点と、市民社会が成立した後の統治者の絶対の権力を主張した点に特色がある。

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