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ライ症候群【ライショウコウグン】

デジタル大辞泉

ライ‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【ライ症候群】
インフルエンザ水痘(すいとう)のような症状のあと、突然に嘔吐(おうと)・痙攣(けいれん)・昏睡(こんすい)状態を呈する病気。小児に多く、死亡率が高い。1963年にオーストラリアの病理学者ライ(R.D.K.Reye)が報告。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

らいしょうこうぐん【ライ症候群】
 かぜや水痘(すいとう)(水ぼうそう)にかかって5~7日後に、急に吐(は)き、数時間後に意識がもうろうとなります。重症だと、けいれんをおこし、昏睡(こんすい)状態になって死亡するおそろしい病気です。
 おもに、脳と肝臓の細胞のミトコンドリア(細胞のエネルギーを生み出す部分)がおかされます。4~12歳の子どもに多くみられ、以前は原因が不明でした。
 その後、アメリカの調査で、ウイルス(とくにインフルエンザウイルスや水痘ウイルス)に感染したとき、鎮痛解熱薬(ちんつうげねつやく)としてアスピリンを使うと発病することがわかりました。アスピリンをやめることでほぼ発生しなくなっています。
 アスピリン以外でも、鎮痛解熱、抗炎症のはたらきがある薬を使うと、似たような病気がおこる可能性が否定できません。そのため、できるだけ使わないようにすべきです。

出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ライ症候群
らいしょうこうぐん
Reye syndrome

ウイルス感染症、とくにインフルエンザや水痘(すいとう)などにかかったあと、脳圧亢進(こうしん)と肝障害のために突然の嘔吐(おうと)、意識障害、けいれんなどをおこして生命が危険になる急性脳症の一型をいう。オーストラリアのシドニーにある小児病院の病理学者ライR. D. K. Reyeらが1963年に初めて報告した疾患で、原因は、インフルエンザや水痘等のウイルスのほか、薬物(サリチル酸等)が一因子として関係する可能性があるとされている。

 発病は1~8歳の小児に多く、一般に病状の進行がきわめて急激なため、軽い上気道感染数日後、激しい嘔吐や意識障害、あるいはけいれんがおこる。肝機能障害が著明で血中アンモニアの増加、凝固異常、脳浮腫が生じる。早期発見、早期受診がたいせつで、ライ症候群の場合は救命処置の受けられる病院で治療を受けることが望まれる。

[山口規容子]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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六訂版 家庭医学大全科

ライ症候群
ライしょうこうぐん
Reye syndrome
(子どもの病気)

どんな病気か

 オーストラリアのライらが1963年に報告したもので、急性脳症に肝臓などへの脂肪の沈着を伴う病気です。ウイルス感染症(とくに水痘インフルエンザ)に続発し、解熱薬として内服したアセチルサリチル酸(アスピリン)も誘因となって、脳と肝臓の機能障害を来します。乳幼児に多くみられますが、アスピリンの使用を禁じる警告が出てから発病数はかなり減りました。

原因は何か

 原因は不明です。ウイルスや薬物が誘因となって全身のミトコンドリアが機能障害を来し、脳浮腫、高アンモニア血症、低血糖、脂肪の沈着が起きると考えられています。

症状の現れ方

 かぜや水痘インフルエンザ、下痢症の回復期に急性脳症の症状が現れます。発熱はありません。

 重症例では除皮質(じょひしつ)(上肢を曲げ下肢を伸ばす)・除脳(じょのう)(四肢を伸ばし反り返る)の姿勢をとります。

検査と診断

 急性脳症にかかり、血液検査で肝臓酵素の上昇、高アンモニア血症、凝固(ぎょうこ)障害、低血糖症を示し、類似した病気(一部の先天代謝異常症など)を除外することで診断します。

治療の方法

 入院して全身管理をしながら抗けいれん薬を使用し、脳浮腫(のうふしゅ)の治療(輸液制限、マンニトール点滴)も行います。高アンモニア血症にはラクツロース(モニラック)、凝固障害にはビタミンKや新鮮凍結血漿、低血糖にはブドウ糖補液で治療します。

 予後はさまざまですが、重症例の予後はよくありません。

病気に気づいたらどうする

 急性脳症の初期症状がみられたら、救急車を呼んで小児科を受診してください。

関連項目

 急性脳症

千田 勝一

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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ライ症候群
ライしょうこうぐん
Reye's syndrome
(感染症)

どんな感染症か

 小児にみられる急性脳症のひとつで、ウイルス感染が先行する場合と、薬剤との関連が指摘される場合がありますが、はっきりとした原因はわかっていません。

 インフルエンザ水痘(すいとう)にかかった小児の解熱にアスピリンを使用したこととの関連が指摘されてから、これらの病気の解熱にはアスピリンは使用しないように勧告されています。

 アスピリンの投与を受けていない小児でも、この病気は認められます。急性脳症の症状以外に特徴的なのは、肝臓の機能異常です。肝臓の生検(針で肝臓の一部を採取して調べる)をすると、顕微鏡で脂肪滴、脂肪変性が認められます。脂肪酸の代謝異常がその病態に関連しているといわれています。

 また、ミトコンドリアの機能に異常がみられ、電子顕微鏡で見るとミトコンドリアが膨化(ぼうか)しています。

症状の現れ方

 かぜ症状に引き続いて起こることが多いとされ、発熱、下痢、嘔吐に引き続いて、けいれん、意識障害が急速に進行します。数日で死亡することもある重篤な病気です。治っても神経系の後遺症を残すことが多いため、予後は良好とはいえません。

検査と診断

 臨床症状に加えて、血液所見では肝機能の異常、アンモニアの上昇、低血糖、乳酸の上昇、低ケトン血症などが認められます。髄液(ずいえき)の検査では細胞数の増加はありません。肝臓の生検で、脂肪滴を確認することが診断につながります。肝臓の所見は発症して3日以内でないと認められないといわれています。頭部のCTやMRIでは著しい脳浮腫(のうふしゅ)(脳のはれ)を認めます。

治療の方法

 この病気に特異的な治療法はありませんが、ブドウ糖液を点滴で投与しながら、急性脳症に対する脳浮腫対策が中心となります。肝臓や腎臓の機能異常に対する治療も必要です。脂肪酸の代謝異常に対しては、L­カルニチンが投与されることがありますが、発症早期でないと効果は低いといわれています。

病気に気づいたらどうする

 急激に発症することが多く、緊急に入院施設のある小児科への搬送が必要です。

 予防としては、すべてのライ症候群を予防するものではありませんが、インフルエンザ水痘にかかった時は、アスピリンなどのサリチル酸系解熱鎮痛薬を15歳未満の患者さんへ投与しないことになっています。自宅での急な発熱の際に、他の人に処方されていた解熱薬や大人用の解熱薬(これらの成分を含んでいることがある)を絶対に使わないよう注意が必要です。

多屋 馨子

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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