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メタボリック症候群【めたぼりっくしょうこうぐん】

知恵蔵

メタボリック症候群
糖尿病、動脈硬化症高血圧症などの生活習慣病の前段階の状態。メタボリックとは代謝異常のこと。肥満耐糖能異常(高血糖)、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症、高血圧などの症状があり、将来、動脈硬化から心筋梗塞脳梗塞などの致命的病気になる可能性が高い。予備軍を含めると40〜74歳の日本人男性の2人に1人いるとする調査もあるが、診断基準について、特に腹囲の基準が厳しすぎるのではないかとの批判が出ている。脂肪の多い食事と運動不足が発症に大きく関係しているので、治療は、食事療法と運動療法が中心になる。
(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

メタボリック症候群
皮下脂肪ではなく、内臓周辺に脂肪がたまる肥満によって、高血圧や糖尿病といった生活習慣病が引き起こされる状態。放置すれば、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など深刻な状態を招くきっかけにもなる。08年4月からは、医療保険の40歳以上の被保険者被扶養者を対象にした内臓脂肪型肥満に着目する健診保健指導の実施が義務づけられる。
(2006-09-23 朝日新聞 朝刊 長野東北信 1地方)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

メタボリック‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【メタボリック症候群】
metabolic syndrome》⇒メタボリックシンドローム

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
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日本大百科全書(ニッポニカ)

メタボリック症候群
めたぼりっくしょうこうぐん

内臓に脂肪が過剰にたまり、それに加えて脂質異常、高血圧、高血糖などの状態が複数重なることにより、動脈硬化による心筋梗塞(こうそく)などの可能性が増す状態。代謝症候群、メタボリックシンドロームmetabolic syndrome、内臓脂肪症候群などともいう。

 2005年(平成17)4月、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本内科学会、日本腎臓(じんぞう)学会、日本血栓止血学会の八つの学会がメタボリック症候群の診断基準をつくった。それによると、へそ周りを測ったウエスト周囲径が、男性は85センチメートル以上、女性は90センチメートル以上であることに加え、
(1)血中脂質 中性脂肪150mg/dL(ミリグラム/デシリットル)以上か、高比重リポタンパク(HDL)コレステロール40mg/dL未満(脂質異常)
(2)血圧 最高血圧が130mmHg(ミリメートル水銀柱)以上か最低血圧が85mmHg以上(高血圧)
(3)血糖 空腹時の血糖値が110mg/dL以上(高血糖)
のうちの二つが当てはまるとメタボリック症候群としている。血中脂質、血圧、血糖の数値は、ともに病気というほど高くはないが、肥満のうえに複数重なると危険が高まる、との警告である。こうした人たちは、X線CT検査をすると、内臓に厚く脂肪が取り巻いている、といわれている。

 ところで、厚生労働省は2006年5月、初めてのメタボリック症候群調査を発表した。肥満+血中脂質、血圧、血糖の基準のうちの二つが該当する「強く疑われる者」と、一つが当てはまる「予備軍」の率は、40歳代以降の男性では50%以上、女性も20%以上になっている、とのショッキングな内容であった。また、メタボリック症候群が強く疑われる者は約940万人、予備軍は約1020万人で、あわせて1960万人とされた。

 厚生労働省は2008年4月から医療保険者(市町村の国民健康保険組合や企業の健康保険組合など)にメタボリック症候群の早期発見、指導を義務づける「特定健診・保健指導」制度を創設した。40歳から74歳までの被保険者を健診し、リスクに応じた保健指導をする。2015年度には糖尿病などの患者や予備軍を25%減らす目標を掲げている。

[田辺 功]

『下村伊一郎・松沢佑次編『メタボリックシンドローム 病態の分子生物学』(2005・南山堂)』『松澤佑次監修、船橋徹・中村正編『やさしいメタボリックシンドロームの自己管理』(2006・医薬ジャーナル社)』『横越英彦編『メタボリック症候群と栄養』(2007・幸書房)』『金川克子他編『新しい特定健診・特定保健指導の進め方――メタボリックシンドロームの理解からプログラム立案・評価まで』(2007・中央法規出版)』『結城康博著『入門 特定健診・保健指導――メタボ対策の制度を知ろう』(2007・ぎょうせい)』『近藤達也・山西文子監修、加藤規弘編『メタボリックシンドローム概論』(2008・メヂカルフレンド社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

メタボリック症候群(代謝・栄養の異常)
概念
 動脈硬化の危険因子は互いに集積しやすい傾向がある.リスク集積性の根幹の原因としてインスリン抵抗性をReavenははじめて取り上げ,このような病態をシンドロームXと命名した.その後,内臓脂肪症候群,マルチプルリスクファクター症候群(危険因子重複症候群),メタボリック症候群(MetS),死の四重奏(deadly quartet),インスリン抵抗性症候群などさまざまな名前でよばれてきた.
 最近は,内臓脂肪型肥満を必要条件とし,さらに,高血圧・耐糖能異常・脂質異常(TGとHDL-C)のうち2項目以上の異常を伴う定義とされている.
原因・病因
1)環境因子:
過食と運動不足が重要である.食事内容では,高脂肪食とともに,食後高血糖をきたしやすい食事は,高インスリン血症も惹起するために,メタボリック症候群との関連が注目されている.ストレスの関与も無視できない.肥満の成因には,中枢の摂食調節・褐色細胞の量と活性・腸内細菌の寄与も注目されている.
2)遺伝因子:
MetSを構成するリスクはいずれも高い遺伝度をもつ遺伝形質である.GWAS(genomu-wide association study)の結果,LPL,CETP,APOA5,GCKR,LIPC,TRIB1,MTNR1B,ABCB11などが抽出される.脂質に関する遺伝子座が多い.
疫学
 日本人の有病率は,端野・壮瞥町研究によると,女性のウエスト周囲長を90 cm超とする日本内科学会基準に準拠すると男性26.4%,女性8.8%で,同様に80 cm超とするIDFアジア基準に準拠すると,男性12.4%,女性18.2%である(図13-5-1).高齢になるほど増加する.
病態
1)内臓脂肪の役割:
肥満にはインスリン抵抗性を伴いやすく,特に,内臓脂肪の増加した内臓脂肪型肥満(別名,腹部肥満・中心性肥満・リンゴ型肥満)においてその傾向が著しい.MetSを構成するリスクも,皮下脂肪型肥満に比較すると内臓脂肪型肥満に合併しやすい傾向がある.その機序としていくつかの仮説が提唱されている(図13-5-2).蓄積した内臓脂肪は皮下脂肪に比較してトリグリセリドの分解回転が亢進しており,VLDL産生を促進しやすい.高FFA(遊離脂肪酸)血症や内臓脂肪に高発現するIL-6もインスリン抵抗性を増悪する.コルチゾンをコルチゾールに変換する11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ11β-HSD1と11β-HSD2も,内臓脂肪型肥満のインスリン抵抗性の形成因子として注目されている.
2)インスリン抵抗性の発症機序(図13-5-2):
肥満が,糖・脂質・血圧に共通の増悪因子として働く理由として,肥満に伴うインスリン抵抗性が注目されている.肥満は複数の経路を介してインスリン抵抗性を惹起する.脂肪細胞から分泌される液性因子を介する経路がある(表13-5-1).
 a)アディポカインの意義:脂肪細胞由来の蛋白はアディポカインと総称される.たとえば,腫瘍壊死因子(TNF-α),レプチン,レジスチン,アディポネクチン,レチノール結合蛋白4(RBP4)(36),IL-6,Sfrp5などがある.
 b)炎症の意義:肥満・インスリン抵抗性は慢性炎症を伴い,炎症マーカーであるCRPとMetSのリスク数の間には強い正相関が知られている.その機序として,肥満者の脂肪組織における炎症性変化が指摘されている.脂肪組織もIL-6,IL-1,TNF-αなどの炎症性サイトカインが分泌し,特に,内臓脂肪において顕著である.マクロファージやリンパ球などの炎症細胞が内臓脂肪に浸潤しやすい.炎症性サイトカインの多くはインスリンシグナルを阻害して,インスリン抵抗性を惹起する. c)小胞体ストレスの意義:肥満・糖尿病の肝臓では小胞体(ER)ストレスが亢進し,それに伴ってインスリン抵抗性が増悪する.
3)リポ蛋白代謝異常の発症機序:
脂肪細胞におけるインスリン抵抗性は,インスリン作用不全を介して,FFAの細胞放出を亢進させる.この効果は内臓脂肪において顕著であり,肥満者では放出させるFFAの絶対量も増加する.FFAは再エステル化を受けてTGとなり,VLDLの形で血液中に分泌される.肝臓のインスリン作用不全もアポB分解を抑制して,VLDL産生亢進に寄与している.
4)高血圧の発症機序:
アディポカインの1つとして脂肪細胞から分泌されるアンジオテンシノーゲンが高血圧の成立に関与するという見解もある.高血圧において亢進状態にあるレニン-アンジオテンシン系がインスリン抵抗性を増悪しているという要素が重視されている.
検査成績・診断基準
 1999年以降,World Health Organization(WHO),European Group for the Study of Insulin Resistance(ESIR),National Cholesterol Education Program’s Adult Treatment PanelⅢ(ATPⅢ),American Association of Clinical Endocrinologist(AACE),International Diabetes Federation(IDF)から,それぞれのMetSの診断基準が公表されてきた.それぞれの診断基準に採用されているリスクを表13-5-2に要約した.腹部肥満の定義に関しては,人種差を考慮する必要がある.そのため,人種に応じて異なるウエスト周囲径の基準値がIDFから提唱され,2005年に日本人の診断基準が策定された(表13-5-2).合併症・経過・予後 MetSは糖尿病と動脈硬化の発症リスクが増加する.
1)動脈硬化:
MetSを有する者では冠動脈疾患と脳卒中の発症リスクが約3~4倍に増加する.
2)糖尿病リスク:
日本人の端野・壮瞥町の男性住人808人の心血管疾患の発症率は2.1倍に増加している.治療 エネルギー制限と運動療法などの生活習慣の改善による内臓脂肪型肥満の解消がMetSの治療の基本である.合併する個々のリスクは,それぞれの治療ガイドラインに準じた治療を行う.[石橋 俊]
■文献
石橋 俊:メタボリックシンドローム.糖尿病学−基礎と臨床(門脇 孝,他編),p.438,西村書店,東京,2007.
岩本安彦,山田信博監修:メタボリックシンドロームup to date. 日本医師会雑誌,136,特別号(1),2007.

出典:内科学 第10版
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