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フェニルケトン尿症【フェニルケトンにょうしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

フェニルケトン尿症
フェニルケトンにょうしょう
phenylketonuria
先天性アミノ酸代謝異常症の一つで,常染色体性劣性遺伝により生じる。フェニルアラニン水酸化酵素の欠損が原因で,乳児期早期から精神および身体発育の遅延,けいれん,赤い毛髪,湿疹などの症状が現れる。いったん脳細胞が侵されると治療効果があがらなくなるので,早期に発見し,少くとも生後3ヵ月以内に治療を開始すれば発症を予防できる。この病気は尿の検査紙によるスクリーニングで容易に発見でき,治療には低フェニルアラニン食餌療法が有効である。

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デジタル大辞泉

フェニルケトン‐にょうしょう〔‐ネウシヤウ〕【フェニルケトン尿症】
phenylketonuria「フェニールケトン尿症」とも》先天性の代謝異常の一。フェニルアラニンを代謝してチロシンを生成する酵素が欠如しているため、フェニルアラニンが体内に蓄積し、それから派生するケトン体が尿中に排泄される。脳細胞が侵されるため、精神発達遅滞に陥ることが多い。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

フェニルケトン尿症

出典:朝倉書店
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家庭医学館

ふぇにるけとんにょうしょう【フェニルケトン尿症 Phenylketonuria】
[どんな病気か]
 フェニルアラニンというアミノ酸(体内で合成されるたんぱく質の材料)が代謝(たいしゃ)されず、体内にたまる病気で、常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたいれっせいいでん)します。フェニルアラニンが体内にたまると、フェニルケトンという物質が尿に排泄(はいせつ)されるようになるので、この病名がついています。
 フェニルアラニンは、フェニルアラニン水酸化酵素(すいさんかこうそ)によって、肝臓でチロジンにつくり変えられるのですが、この酵素の作用が生まれつき欠けているために、チロジンに変換されず、フェニルアラニンが体内にたまるのです。
 この病気を治療しないでいると、知能の発育が妨げられます。これは、フェニルアラニンの蓄積が、体内のアミノ酸のバランスを乱し、子どもの脳の成熟に悪影響を与えるためと考えられています。
 日本では、新生児マススクリーニングで10万人に1人の割合で発見されますが、ドイツやアイルランドでは、5000人に1人という頻度です。
[症状]
 新生児期には、まったく症状が現われません。
 蓄積したフェニルアラニンは、メラニンという色素の合成も抑制するので、治療を開始しないでいると、メラニンが欠乏し、生後数か月ごろから毛髪が赤茶色になり、皮膚が色白になります。けいれん、ネズミの尿に似た体臭、治りにくい湿疹(しっしん)も現われてきます。
 生後6か月ごろになると、発達が遅れるようになり、1歳ごろには、発達指数が50前後にまで下がります。
 生後1か月以内に治療を開始すれば、こうした障害を防止できます。
[検査と診断]
 血液中のフェニルアラニンの量の測定が診断の第一歩です。値が基準値よりも高いときは、テトラヒドロビオプテリン欠乏症(けつぼうしょう)(コラム「テトラヒドロビオプテリン欠乏症」)と見分けるために、テトラビオプテリンを使って血液中のフェニルアラニンの量の変化を調べたり、テトラヒドロビオプテリンの関連物質の分析を行なったりします。
[治療]
 フェニルアラニンを制限した食事にし、血液中の値を低く保つのが治療の基本です。ただし、フェニルアラニンは体内で合成できず、これを含む食品を摂取して補わなければならない必須(ひっす)アミノ酸(さん)の1つなので、必要量にみあった自然たんぱく質を加えた食事にします。
 フェニルアラニンの値を、血液1dℓ中、乳児から幼児にかけては2~4mg、小学生前半で3~6mg、小学生後半で3~8mg、中学生で3~10mg、それ以降は3~15mgを維持する食事内容にします(健康な子どもの値は1mg前後)。
●養生
 治療目標は、もって生まれた知的能力を損なわずに成人させることです。そのためには、正しい食事療法を行なうことが必要です。
 家族、医師、栄養士などが一体となって、子どもに病気のことを理解させ、受け入れさせるように指導・教育することがたいせつです。フェニルケトン尿症の子をもつ親どうしが助け合い、励まし合いながら、知恵、工夫、情報を交換し、親睦(しんぼく)を深める親の会「PKU親の会」が組織されています。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

フェニルケトンにょうしょう【フェニルケトン尿症 phenylketonuria】
酵素(フェニルアラニン加水分解酵素)の欠損によって必須アミノ酸のフェニルアラニンの利用障害が起こる遺伝病。灰褐色毛髪,知能障害,痙攣(けいれん)を示し,尿にはフェニルピルビン酸が排出される。新生児期にガスリー検査Guthrie testで診断,特殊ミルクで治療することが必要である。先天性代謝異常【中村 了正】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

フェニルケトンにょうしょう【フェニルケトン尿症】
アミノ酸代謝異常が原因で起きる遺伝性の疾患。血液や脳にフェニルアラニンが蓄積し、そのケトン体が尿中に排出される。生後一か月頃から頭髪や皮膚の色素の減少が目立ち、知能発達障害や痙攣けいれん発作が現れる。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

フェニルケトン尿症
ふぇにるけとんにょうしょう
phenylketonuria
知的障害を伴うアミノ酸の先天性代謝異常で、常染色体性劣性遺伝によって生じ、血族結婚(いとこ婚)により多発する。肝組織中のフェニルアラニン水酸化酵素(ヒドロキシラーゼ)が先天的に欠損しているため、フェニルアラニンを非可逆的にヒドロキシル化してチロシンを生ずることができず、血中にフェニルアラニンが増量し、これがトランスアミナーゼによってフェニルピルビン酸となり、尿中に多量に排出される疾患で、フェニルピルビン酸が化学構造上フェニルケトンであるところから名づけられ、PKUと略称される。1934年に初めて報告され、報告者の名をとってフェーリング病Flling's diseaseともよばれる。
 出生時には正常であるが、数か月後からしだいに精神発達遅滞をはじめ、チロシンからのメラニン形成が不全となるために赤毛(ときに金髪)や色白、淡い虹彩(こうさい)などが目だつ。とくに知能障害は1歳半くらいまで進行が急速で、乳児期には点頭てんかん、けいれん発作、行動異常、異常脳波などがみられることが多い。そのほか、フェニルピルビン酸から生じたフェニル酢酸によるカビ臭い体臭やネズミの尿のような尿臭をはじめ、湿疹(しっしん)や多汗などの身体症状も現れる。
 新生児期に少量の血液を濾紙(ろし)で採取してガスリーGuthrieテストを行うマス・スクリーニングによって早期発見し、ただちにフェニルアラニン摂取を制限する食事療法(低フェニルアラニン治療食)を開始する。この治療食は日本でも3種(「ロフェミルク‐S」「フェニルアラニン除去ミルク」「フェニトール」)が市販されており、少なくとも生後3か月以内に始める。なお、フェニルアラニンは必須(ひっす)アミノ酸であるから、過度に制限すれば欠乏による栄養障害をおこす。また、この治療食は脳の発育の速やかな乳幼児期ほど重要で、中枢神経障害の発生予防上、脳の発育が完成する(10~12歳)まで続けたのちに中止する。
 PKUで食事療法を行ったことのある母親は患者ではないが保因者であるわけで、すでに治療食中止後に血中のフェニルアラニン値はかなり上昇しており、そのまま妊娠すると胎児がその血液で灌流(かんりゅう)され、脳障害や形態異常などをもって生まれることがあるので、受胎前からふたたび治療食を開始し、血中フェニルアラニンを低下させておく必要があり妊娠期間中も続けるようにする。[山口規容子]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

フェニルケトン‐にょうしょう ‥ネウシャウ【フェニルケトン尿症】
〘名〙 (phenylketonuria の訳語) フェニルアラニンの代謝異常によって起こる遺伝性の病気。生後数か月から頭髪や皮膚の色素が減少し、知能の発達障害を起こす。新生児期に発見すれば治療が可能。略称PKU。〔生命を探検する(1964)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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内科学 第10版

フェニルケトン尿症(アミノ酸代謝異常)
(1)フェニルケトン尿症(phenylketonuria:PKU)
病因
 フェニルケトン尿症は,フェニルアラニン水酸化酵素の欠損による常染色体劣性遺伝性アミノ酸代謝異常症の代表的疾患である.体内にフェニルアラニンが蓄積し,チロシンが減少する【⇨図13-3-10】.過剰なフェニルアラニンにより,発育期の脳が障害され,知能障害や痙攣をきたす.チロシン欠乏により,メラニン色素合成が低下する.フェニルアラニンの水酸化酵素は,12番染色体(12q22-24.1)に座位し,おもに肝に発現している.神経症状 新生児期に発見され,早期治療すると病状は発現しない.放置されると,知能障害,痙攣,脳波異常(ヒプスアリスミアなど),行動異常,色白,赤茶けた頭髪,湿疹などをみる.尿は,特有なネズミ様尿臭がある.
鑑別疾患
 ビオプテリン代謝障害による高フェニルアラニン血症を鑑別する.ビオプテリン代謝障害は,フェニルアラニン制限食治療を行っても症状は改善せず,悪性高フェニルアラニン血症ともよばれ,テトラヒドロビオプテリン(BH4)を補充することにより治療される.ビオプテリンは,フェニルアラニン水酸化酵素の補酵素である.
マターナルPKU
 女性PKU患者が妊娠したとき,血中フェニルアラニン値が高くなると,胎児に中枢神経系や心血管系に障害をきたすことがあり,マターナル(母性)PKUといわれる.妊娠中の低フェニルアラニン制限食を厳重に行う.[青木継稔]
■文献
Behrman RE, Kliegman RM, et al eds: Nelson Textbook of Pediatrics, 19th ed, WB Saunders, Philadelphia, 2011.Scriber CR, Beaudt AL, et al eds: The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease, 8th ed, McGraw-Hill, New York, 2001.

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

フェニルケトン尿症
フェニルケトンにょうしょう
Phenylketonuria
(遺伝的要因による疾患)

どんな病気か

 必須アミノ酸であるフェニルアラニンからチロシンへ転換するフェニルアラニン水酸化酵素の異常によって生じます。

症状の現れ方

 新生児期は無症状ですが、生後6カ月ごろから知能障害やけいれん、赤毛や色白などの色素欠乏が現れるようになります。

治療の方法

 出生後早期から、フェニルアラニンを制限した食事療法(フェニルアラニン除去ミルクや低蛋白食)で障害を予防することができます。この食事療法は、成人期も続けたほうがよいとされています。最近、一部の軽症患者では、食事療法以外にも補酵素(酵素のはたらきを助ける)であるビオプテリンの投与で血中フェニルアラニンが低下することが報告されています。

 女性の患者が妊娠した場合、母体の高フェニルアラニン血症に胎児が曝露されると、低出生体重、知能障害、小頭症(しょうとうしょう)心奇形(しんきけい)が生じ、これを母性フェニルケトン尿症といいます。これらの症状は、母体のフェニルアラニン値を良好にコントロールすることで予防することができます。

 一部の高フェニルアラニン血症は、ビオプテリンの欠乏によっても生じることも知られています。尿や血液中のプテリジンの分析、ビオプテリンの負荷試験で鑑別診断がなされます。治療法もフェニルケトン尿症と異なります。

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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