Rakuten infoseek

辞書

フィブロイン

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

フィブロイン
fibroin
繊維状の硬蛋白質の一種。絹糸腺中に可溶性の液状で存在し,吐糸してをつくるとき,2本の繊維状に固化し,別の硬蛋白質セリシンで固められる。絹糸を精練すると,ほとんど純粋なフィブロイン繊維から成る,いわゆる練りとなる。水,希酸,希アルカリなどに不溶,臭化リチウム,塩化カルシウム硝酸カルシウムチオシアン酸ジクロロ酢酸などの水溶液に可溶。フィブロイン繊維の耐衝撃性は非常によいが,耐酸,耐アルカリ性はあまりよくなく,耐屈曲疲労性は木綿羊毛,ナイロンより弱く,耐摩擦性もナイロン,ビニロンに劣り,耐日光性も弱く,脆化して黄褐色に変色する。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

フィブロイン(fibroin)
絹やクモの糸などの主成分で、繊維状の硬たんぱく質。水・希酸・希アルカリに溶けない。繭糸ではセリシンに包まれている。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

栄養・生化学辞典

フィブロイン
 絹糸の約70%を占める繊維状タンパク質.構成アミノ酸としてはグリシン,アラニン,チロシンが多い.

出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

フィブロイン【fibroin】
昆虫とクモ類の繭糸の主成分をなす硬タンパク質で,生糸の主成分。各種溶媒や希酸に溶けず,タンパク質分解酵素の作用にも抵抗性を示す。生体タンパク質としては最も単純なものの一つ。グリシン,アラニン,セリンおよびチロシンが主要構成アミノ酸で,この4種だけで全アミノ酸の90%近くを占めるものが多い。またグリシン‐アラニンの配列の繰返しの多い部分は結晶部と呼ばれ,みごとなX線回折像を与え,L.C.ポーリングが1955年にポリペプチドのβ‐構造のモデルを提出した際の基礎的なデータとなった。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

フィブロイン【fibroin】
絹の主成分である繊維状タンパク質。繭糸中ではセリシンに包まれて存在する。アミノ酸組成はグリシン・アラニン・セリンに富む。一般の溶剤や希酸に溶けず、酵素によっても分解されない。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

フィブロイン
ふぃぶろいん
fibroin
絹糸を構成するおもな繊維タンパク質。フィブロインは5齢期のカイコの後部絹糸腺(せん)で合成・分泌される。繭の繊維はフィブロインの繊維2本がもう一つのタンパク質セリシン(絹膠(けんこう))に固められたものである。組成はフィブロイン70%、セリシン30%とされている。セリシンの分子量は約6万5000~40万でセリンを約35%含んでいる。生糸をつくるときは繭を希アルカリ(せっけん液)で加温処理してこのセリシンを溶かし、除いている。セリンの名称はこのセリシンからつけられた。クモの糸もフィブロインが主成分である。分子量は約37万で、二つのタンパク質約35万のH鎖と約2万5000のL鎖とからなる。アミノ酸組成に特徴があり、グリシン48%、アラニン31%、セリン12%、チロシン5%で、他のアミノ酸は非常に少ない。H鎖のアミノ酸配列に特色があり、(GAGAGX)n, X=Ser, Valで表わせる(G=グリシン、Ser=セリン、Val=バリン)。つまり、ほとんどの個所でグリシンが一つ置きにある。X線回折像では典型的な平行β(ベータ)構造(タンパク質やポリペプチド鎖がとる二次構造の一種)を示し、立体構造はまだ決定的なものはないが特徴があり、ポーリングによるβ-ひだ状構造(pleated sheet)のモデルとなった。このような構造のため、プロテアーゼによって分解されにくい。
 セリシンには抗酸化作用があり、さらに人工的な腫瘍(しゅよう)に対して抑制作用があることが、2003年(平成15)に広島大学から報告された。また、フィブロインをキモトリプシンで切った断片ペプチドのうちN末端領域には、フィブロブラスト(繊維芽細胞)成長促進作用があることが明らかになった。[野村晃司]
『本宮達也著『ニュー繊維の世界』(1988・日刊工業新聞社) ▽赤井弘・栗林茂治編著『天蚕 Science & technology』(1990・サイエンスハウス) ▽日本蚕糸学会出版委員会監修、小松計一著『シルクへの招待』(1997・サイエンスハウス) ▽宮本武明他編『21世紀の天然・生体高分子材料』(1998・シーエムシー)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

フィブロイン
〘名〙 (fibroin) 昆虫や蜘蛛の絹糸腺から分泌される繊維性の硬蛋白質。セリシンとともに絹糸の主成分で蚕の繭の約七〇~八〇パーセントを占める。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

化学辞典 第2版

フィブロイン
フィブロイン
fibroin

カイコ(Bombyx mori)の繭から取れる絹の主成分のタンパク質.繭ではL-セリンを40% 近く含む水溶性のタンパク質セリシンに覆われた形で存在する.分子量は3×105 といわれるが,水溶液中で会合する傾向があるので正確な値は不明である.アミノ酸組成では,グリシンアラニン,セリン含量が多い.X線回折の解析からフィブロインには逆平行β構造が多く見いだされている.[CAS 9007-76-5]

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

Copyright © MORIKITA PUBLISHING Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

フィブロイン」の用語解説はコトバンクが提供しています。

フィブロインの関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.