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ネルンスト

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ネルンスト
Nernst, Walther Hermann
[生]1864.6.25. ブリーゼン
[没]1941.11.18. ムスカウ
ドイツの物理化学者。チューリヒ,グラーツ,ウュルツブルク各大学に学び,ライプチヒ大学で F.W.オストワルトの助手をつとめたのち,ゲッティンゲン大学教授 (1895) を経てベルリン大学教授 (1905) ,同大学実験物理学研究所所長 (24) 。 1893年の電極電位差を熱力学的に求めるネルンストの式の導出,1906年の熱力学第三法則の定式化 (ネルンストの熱定理) などのほか化学平衡熱力学理論,高温気体低温固体の研究,光化学に関する研究が知られており,物理化学理論の発展に大きく貢献。ネルンスト・ランプの発明者としても知られる。晩年天体物理学にも関心をもった。熱化学の業績によって,20年ノーベル化学賞受賞。

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デジタル大辞泉

ネルンスト(Walther Hermann Nernst)
[1864~1941]ドイツの物理化学者。化学熱力学を研究。可逆電池考察から、温度絶対零度に近づくとエントロピーが有限値になることを発見し、ネルンストの熱定理(熱力学の第三法則)として発表。1920年ノーベル化学賞受賞。

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世界大百科事典 第2版

ネルンスト【Walther Hermann Nernst】
1864‐1941
ドイツの物理学者,化学者。西プロイセンのブリーセン(現,ボンブジェズノ)の生れ。チューリヒ,ベルリン,グラーツ,ビュルツブルクの諸大学に学んだ。1887年,ビュルツブルクにおいて,熱流の流れている金属板が磁場中にあるとき,この金属板に起電力が生じるというネルンスト=エッティングハウゼン効果に関する論文学位を得,ライプチヒのF.W.オストワルトの助手となった。1891‐1905年ゲッティンゲン大学教授,1905‐22年および1925‐33年ベルリン大学教授を歴任

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大辞林 第三版

ネルンスト【Walther Hermann Nernst】
1864~1941 ドイツの物理化学者。熱力学の第三法則の樹立で知られる。電池の起電力の理論など電気化学の分野に多くの業績を残したほか、低温での比熱の測定、光化学機構の解明など物理化学を発展させた。ソルベー会議の提唱者。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

ネルンスト
ねるんすと
Walther Hermann Nernst
(1864―1941)
ドイツの物理化学者。熱力学第三法則の発見者。6月25日西プロイセンの小村ブリーゼン(現、ポーランドのボンブジェズノ)に生まれる。父はこの地方の判事であった。チューリヒとベルリンの大学で学んだのち、グラーツ大学でボルツマンの指導を受け、金属中の電流に及ぼす熱流と磁場の合成効果(ネルンスト効果)を研究した。1888年ライプツィヒ大学のオストワルトの助手となり、1889年電極物質の電離溶圧の概念を導入して電極電位に関する「ネルンストの式」を導出、物理化学者として認められる。当時ドイツは、1871年のドイツ帝国の統一、1890年ビスマルク退陣後、軍備拡張が急速に進められるなかで、ドイツ合成化学工業が成立、発展を遂げる時期にあり、また第一次世界大戦を挟んで、ドイツ科学がプランク、アインシュタインをはじめ十指に余るノーベル賞学者を擁してその頂点を極めた時代(それはナチスの台頭とともに衰退する)であった。そのなかにあって物理化学もまた急速な発展を遂げるが、その指導者の一人がネルンストであった。1891年ゲッティンゲン大学に転任、1894年同教授となる。
 1905年ベルリン大学教授となり、翌1906年、彼の最大の業績である絶対零度のエントロピーに関する「ネルンストの熱定理」=熱力学第三法則を発見した。ネルンストの研究所ではこの定理を熱力学の一般法則として確立するための実験的研究が続けられ、それは低温における熱測定という新しい分野を開き、量子論の形成に実験の面から重要な寄与をすることになる。またネルンストは気体に対しても彼の定理が成立すると考え「気体の縮退」を予言、その解決はのちに量子統計力学によって与えられた。1918年には水素‐塩素の光化学反応に初めて連鎖反応の考えを導入しその機構を明らかにした。「ネルンスト電球」の発明(1897)もある。熱化学の研究により1920年ノーベル化学賞受賞。1941年11月18日ベルリン近郊でその生涯を閉じた。[常盤野和男]
『K・メンデルスゾーン著、藤井かよ・藤井昭彦訳『ネルンストの世界――ドイツ科学の興亡』(1976・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典

ネルンスト
(Walther Hermann Nernst ワルター=ヘルマン━) ドイツの物理化学者。一九〇五年、絶対零度のエントロピーに関する「ネルンストの熱定理」(=熱力学第三法則)を発見した。また、電溶圧・溶解度積などの研究およびネルンスト電灯の発明などで知られる。熱化学における業績により一九二〇年ノーベル化学賞受賞。主著「新熱理論による物理化学の理論と実験」。(一八六四‐一九四一

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化学辞典 第2版

ネルンスト
ネルンスト
Nernst, Hermann Walther

ドイツの物理化学者.1883年から各地の大学で物理学を学ぶ.H.L.F.von Helmholtz(ヘルムホルツ)の熱力学を聴講し,L. Boltzmannのもとで熱電気効果の実験を行う.この実験をもとに,1887年ビュルツブルク大学のF.W.G. Kohlrauschのもとで学位を取得.そこでの状況が,かれの関心を物理学の化学的問題への適用に向けさせた.同僚S.A. Arrhenius(アレニウス)の紹介で,1888年ライプチヒ大学C.W.W. Ostwald(オストワルト)の助手となる.その後,かれはOstwald,J.H.van't Hoff(ファントホッフ),Arrheniusとともに物理化学の創始者となった.濃淡電池の起電力を表す“ネルンストの式”の導出などの業績により,1891年ゲッチンゲン大学物理化学教授,1905年ベルリン大学物理化学教授となる.当時,化学平衡成立条件の決定が課題であったが,それに必要なギブズ-ヘルムホルツの式の積分中の積分定数が未定であった.かれは,絶対零度付近での比熱のふるまいやその相加性などを根拠に,この積分定数は0になると論じ,その発展がかれの熱定理となった(ネルンストの熱定理,1906年).熱力学第三法則の基礎を築いたこの業績は,量子論に基礎づけを与え,低温物理学の発達を促した.熱化学への貢献で1920年ノーベル化学賞を受賞した.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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